整形外科最新医療 -両側下肢同時手術- | 診療部門ご紹介 | 国立病院機構 熊本医療センター

整形外科最新医療 -両側下肢同時手術-

整形外科医長 福元哲也


 当科では2013年10月より人工関節置換術と骨切り術で、両側同時手術を行っています。

2016年5月まで、

人工膝関節全置換術: 28例
人工膝関節部分置換術: 5例
高位脛骨骨切り術: 6例
人工股関節全置換術: 10例

の合計49例施行しており、手術時間はおおよそ3時間程度で、出血量は駆血の行えない人工股関節全置換術以外は100mL以下、輸血もほとんど行っていません。現時まで、大きな合併症は認めず、安全に手術が出来ています。(下記表)


 上記の手術は通常、片側ずつ時期をずらして行われるのが一般的ですが、非手術側の痛みが残ったまま退院される方が多くみられたことがきっかけとなり、当院では患者様の希望があり、全身状態に問題がなければ、年齢に制限なく両側同時に手術をするようにしています。
 両側同時手術は全国的に行われるようになっていますが、現在、熊本県内では当院のみです。
 当院で両側を行えるようになったのは、手術時間の短縮・出血量の減少と疼痛コントロールができるようになったこと、そして何より、術後ADL制限を必要とせず、リハビリを積極的に行わなくてもよい手術ができるようになったことが挙げられます。
 膝関節と股関節のそれぞれのポイントとしては以下の点が挙げられます。

膝関節

  • カクテル療法(術後に複数の鎮痛剤を混ぜた物を注射)にて術後疼痛の劇的緩和が出来るようになりました。
  • リハビリの積極的介入が疼痛軽減する術後4日目からでよくなりました。
  • 人工膝関節置換術の皮切を外側にすることで膝をつくことができるようになりました。
  • 術後のドレーンを留置せず、術後4日後に創部チェックが終了し、シャワー浴が可能となります。

股関節

  • 前方進入により仰臥位で手術を行うため、術中体位変換が不要です。
  • 筋腱完全温存手術なので、術後疼痛が少なく、脱臼をしないため、術後肢位制限が必要ありません。

人工股関節置換別の術中所見

筋間を展開し、関節包のみ切開。骨頭抜去後、臼蓋のカップを設置する。


関節包、関節周囲靭帯縫合後、筋膜のみ縫合。皮切長は約10cmとなります。


退院転院

 当院が急性期病院であることから、歩行器歩行が自立された術後2週間をめどに転院していただくようにしています。ただし人工関節置換術の20%の症例では術後3週間後には杖で歩いて自宅に帰られています。

まとめ

 一度の手術で済むことによる、患者さんの負担軽減のみならず、トータルでの医療費削減につながり、今後も安全に十分気をつけながら施行していきたいと考えております。

症例

両側人工膝関節置換術 78歳女性 両側内側型変形性膝関節症

 術後1週間で歩行器歩行自立、2週間で杖歩行自立し、希望にて転院されました。

※画像をクリックすると拡大表示されます

両側人工股関節置換術
43歳女性 関節リウマチ症例 両側股関節の外転屈曲位での完全強直例



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