【第98号】 白血球の異常について 白血球減少をきたす薬剤について 白血球と食事 | くす通信 | 国立病院機構 熊本医療センター

【第98号】 白血球の異常について 白血球減少をきたす薬剤について 白血球と食事

【白血球の異常について】

 白血球は、外部からの病原微生物や花粉などアレルギーの原因物質、あるいは体内の悪性腫瘍や炎症に対する免疫反応により体を守るためにはたらく血液細胞です。細菌感染などに対して殺菌作用をもつ好中球、ウイルス感染に対して抗体を産生し様々なサイトカインを出して攻撃するリンパ球、外部からの侵入者や体内の細胞を貪食する単球・マクロファージ、寄生虫感染やアレルギー反応で増加する好酸球、さらに標的細胞を直接攻撃する(これを自然免疫といいます)ナチュラルキラー細胞などがあります。
 白血球の数が増加する場合と減少する場合について考えてみましょう。感染症では一般に白血球数は増加します。また外傷や脳梗塞などの組織障害が起これば、これもまた好中球増加の原因となります。しかし最も注意していただきたいのは、やはり白血病です。白血病にはその経過から急性と慢性があり、細胞の起源により骨髄性とリンパ性にわけられます。多くの場合、患者様自身の症状は軽微です。風邪が長引く、段階を上るときつい、足に赤い斑点(点状出血)ができた、歯を磨くと血が出るなどの症状があり、たまたま血液検査を受けて見つかります。白血病細胞は機能をもたない未熟な細胞で無制限に増殖しますので、造血の場である骨髄の中では逆に正常な血液細胞(白血球、赤血球、血小板)の生産を妨害し、このため感染症が重症化し、貧血や出血傾向が悪化します。
 一方白血球が減少するのは、これもまた感染症による場合があります。ウイルスが感染した細胞を破壊し、あるいは単球・マクロファージを異常に活性化し血球を貪食させ、リンパ球減少さらに汎血球減少(白血球、赤血球、血小板の全てが減少する)をおこします。また細菌感染の重症例でも白血球は減少します。血液疾患が原因ではなく白血球減少をおこす薬剤にも注意が必要ですが、これについては薬剤部の田渕さんが説明します。
 このように白血球の異常には生命にかかわるような重大な疾患が隠れていることがありますので、放置せずに血液・膠原病内科を受診するようにしてください。

(内科医師 武本 重毅)

【白血球減少をきたす薬剤について】

 白血球減少は薬剤によって引き起こされることもあります。抗がん剤などの骨髄抑制をきたす薬剤で起こる場合と、それ以外の薬剤においてアレルギー性(あるいは中毒性)機序として起こる場合があります。白血球減少のうち、特に好中球が著しく減少した場合を無顆粒球症と呼びますが、無顆粒球症の原因で最も多いのは薬剤性です。
 抗がん剤以外で比較的高頻度に無顆粒症をきたす薬剤には、抗甲状腺薬(チアマゾール、プロピルチオウラシル等)、抗菌薬(ペニシリン系、ST合剤等)、解熱鎮痛薬(インドメタシン、フェナセチン等)、抗痙攣薬(カルバマゼピン等)などがあります。しかし、漢方薬や市販薬を含め、抗血小板薬、抗潰瘍薬、降圧薬など、どのような薬剤でも起こりえます。治療の第1は原因薬剤の服用を中止することです。原因薬剤が特定できない場合は、可能性のある薬剤を全て中止します。ほとんどの人は原因薬剤中止後1〜2週間で回復することが多いのですが、場合によっては好中球を増やす薬剤(好中球コロニー刺激因子:G-CSF製剤)を使用することもあります。また、感染症を合併している場合は、抗菌薬を使用し治療します。
 無顆粒球症の初期症状は、発熱や寒気、のどの痛み、倦怠感などです。薬剤を服用中にこのような症状が出たら、かぜと思ってそのままにせずに、すぐに受診して医師にご相談下さい。

(薬剤科 田渕 真弓)

【白血病と食事】

 白血球が異常を示した場合、その要因にはいろいろな疾患が考えられますが、その中でも、白血病について食事との関連を挙げてみましょう。
 白血病は血液のがんと云われています。白血球の減少により細菌の侵入を防御する働きが弱くなり感染症にかかり易くなります。白血球は食事や運動で増加させることはできません。感染に対する体の抵抗力をつけることが大切です。バランスのとれた食事を積極的に摂ることが基本になりますが、生物(刺身、寿司、肉の刺身、生卵、半熟卵、冷奴など)は、完全に火が通った状態で食べるようにします。免疫力をアップさせる食材には緑黄色野菜、キャベツ、大根、玉葱、ニンニク、お茶、紫蘇、生姜、きのこ、バナナ、りんご、ヨーグルト、納豆、チーズ、海草類などが挙げられます。食欲不振や消化不良、口内炎などがある場合は不足がちな栄養素を濃厚流動食で補うこともよい方法です。そのほかには、1.加工食品、インスタント食品などに多く含まれる食品添加物など化学物質を避ける 2.濃い味に慣れると粘膜が傷を受けやすい状態になるので、薄味に慣れる 3.アルコール飲料、カフェイン、炭酸飲料は禁止するなどがあります。
白血球数によって食べられる食品や料理法は変わりますので、専門の医師、管理栄養士によく相談しましょう。

(管理栄養士 浅井 和子)


診療の特色

<血液・膠原病内科>

血液疾患というとめずらしい病気のように思われがちですが、骨髄で造られる赤血球・白血球・血小板という血液細胞の増加・減少の検査と治療で多く患者様を御紹介いただいています。貧血を例にとれば鉄欠乏性貧血のように一般女性にみられる疾患から消化管術後の巨赤芽球貧血、さらに重症で輸血の適応となる骨髄異形成症候群や再生不良性貧血などがあります。血小板減少の原因も様々ですが、脳出血を起こす危険性がありますので早急な診断と治療が必要です。造血器腫瘍(「血液のがん」)である白血病や悪性リンパ腫に対しては、化学療法ならびに造血幹細胞移植による治療を積極的におこなっています。

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