【第87号】 小児気管支喘息について 喘息に使用される薬 小児気管支喘息の食事について | くす通信 | 国立病院機構 熊本医療センター

【第87号】 小児気管支喘息について 喘息に使用される薬 小児気管支喘息の食事について

【小児気管支喘息について】

 小児の気管支喘息は発作性に喘鳴を伴い呼吸困難をくり返す慢性の疾患です。80〜90%が乳幼児期に発症しますが、そのうち60%近くはいわゆる早期一過性喘鳴といわれているもので5〜6歳までに自然軽快が診られます。残りの40%は学童期になっても喘鳴をくり返しますが、そのうち半数は非アトピー型喘息で思春期までに自然治癒し、残り半数がアトピー型喘息として成人喘息に持ち越されます。
 このように全体としてみると、乳幼児期の喘息を発症した児のおよそ80%は軽快していくわけですが、一部に成人になり再発を来す場合もあります。小児喘息の有病率は学童期の場合4〜7%で、近年増加傾向にあります。
 アレルギー疾患の発症には遺伝的要因と環境要因が関与しているといわれます。小児喘息を発症しやすい因子として、アレルギーの家族歴(遺伝子的要因)、本人の既往歴(アトピー性皮膚炎や食物アレルギーなど)に加えて、受動喫煙や屋外大気汚染、室内環境(ダニ、カビ、ハウスダスト、ペットの飼育など)があげられます。最近小児喘息が増加している背景として、とくに居住環境や食生活など環境因子の変化が大きく関与していると考えられています。居住空間の断熱性、気密性の増進などダニやカビの増殖に適した環境は、そこに住む子ども達がアレルゲンに暴露する機会を増やしています。また、大気汚染物質の増加や食生活の欧米化などの、喘息増加の一因として指摘されているところです。
 喘息の治療は抗アレルギー薬の内服や副腎皮質ホルモン剤の吸入が主体となります。一般的には発作の頻度や重症度を評価して、治療ガイドラインに基づき段階的な治療が行われます。長期にわたる内服や吸入は本人や家族にとっても負担となりますが、保護者の十分な理解のもと良好なコンプライアンスを保つことが求められます。
 また、ハウスダストやダニを減らす環境整備も、喘息発症の予防には薬物療法に劣らず重要で、喘息管理の両輪として機能させていくことが必要です。

(小児科医師  伊藤 浩)

【喘息に使用される薬】

 喘息の治療薬は大きく分けて、気道の炎症を抑える抗炎症薬、気道を拡張させる気管支拡張薬、その他漢方薬などに分かれます。
 抗炎症薬にはステロイド薬、抗アレルギー薬があります。ステロイド薬の場合、全身への影響が少なく、そのため副作用の少ない吸入薬が基本的に使用されます。抗アレルギー薬はいくつかの種類があり、アレルギー反応をさまざまな段階で抑えます。現在、喘息で効果的な抗アレルギー薬は体拮抗薬で、喘息を起こす物質を弱める薬です。抗アレルギー薬はあくまで予防薬で、その効果が現れるまでには約2週間程度かかります。
 気管支拡張薬にはβ2刺激薬、テオフィリン薬、抗コリン薬があります。気管支を囲っている平滑筋の収縮を緩めて、狭くなった気道を拡げます。
 β2刺激薬には吸入薬、内服薬、貼付薬などの剤型があります。短時間作用型の吸入β2刺激薬は発作時に使用されるもので、吸入後すぐに効果が現れます。長時間作用型の長期管理薬は発作の有無にかかわらず、定期的に吸入するもので、単独使用ではなく吸入ステロイド薬と併用して使用します。
 テオフィリンは気管支を拡張させる薬です。喘息発作が起こっている時と、喘息を予防する長期管理薬として使用されています。テオフィリンには頭痛、吐き気、脈が速くなるなどの副作用があり、血液中の濃度を定期的に測定しながら治療が行われます。
 喘息の治療で重要なことは、毎日のコントロールです。症状がよくなったからと、自分の判断で勝手に薬を止めたりせず、医師の指示に従って定期的に使用してください。

(薬剤科  冨澤 達)

【小児気管支喘息の食事について】

 小児期は、食物アレルギーが原因で喘息発作を起こすことがまれにあります。アレルゲンとして主なものは卵、牛乳、小麦などがありますが、食物アレルギーをもつ小児の早期からの除去食療法は喘息の発症予防に効果があります。しかし、除去により栄養素が不足するので、それを補うために除去された食品の代替食品を利用します。代替食品の一例としては、米パンやアレルギー用ミルクなどがあります。加工食品などの包装食品はアレルゲン表示が義務付けられていて、卵、牛乳、小麦、そば、ピーナッツは表示を確認することが出来ます。
また、食品添加物の中には、喘息発作を誘発する可能性のある亜硫酸塩なども含まれているので、食品添加物を多用した食品は控えましょう。ただし、周囲があまり神経質になって過剰に除去食品が増えてしまわないようにすることも大切です。
除去食の解除は個人差がありますが、一般に、大豆で1年後、卵、牛乳、小麦で1年半後、ナッツ、魚介類で3年とされています。解除時は、アレルゲンが牛乳なら食パンや焼き菓子などアレルゲン性の少ない食品から利用を進めます。
体質にもよりますが、授乳期や妊娠中は母親の摂取した食物アレルゲンにより出現することがあるため、これらの時期は卵、牛乳などの過剰摂取を避け、偏った食事にならないように注意しましょう。

(管理栄養士  藤崎 まなみ)


診療の特色

<小児科>

 肺炎、胃腸炎、喘息、ウイルス感染症など子どものポピュラーな疾患から髄膜炎、膠原病、川崎病などの重症疾患、さらに心身症、不登校など精神的なものまで含め、幅広い診療を行っています。
 なかでも小児の血液・悪性腫瘍に対しては長年、専門的に取り組んできました。白血病、悪性リンパ腫、再生不良性貧血などの血液重症疾患に対して造血管細胞移植、化学療法、免疫抑制療法など先進的医療を行っております。
病棟には無菌室、無菌ベットが整備され、移植をはじめ白血球減少をきたす患者さんの治療に活用されています。
 また小児の救急疾患(けいれん、急性熱性疾患、事故など)に対しても夜間、日曜、祭日を問わず受付け、入院治療を行っています。
病棟には院内学級が併設され、長期入院療法の子ども達が学校を心配せずに勉強できる環境が整っています。

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