【第83号】 リンパ節腫大 リンパ節腫大に使われる薬剤 リンパ節の働きと食事 | くす通信 | 国立病院機構 熊本医療センター

【第83号】 リンパ節腫大 リンパ節腫大に使われる薬剤 リンパ節の働きと食事

【リンパ節腫大】

 リンパ節は、全身に張り巡らされているリンパ管の要所要所に存在し、細菌や腫瘍が全身に簡単に拡がらないようくい止める役割をしています。このリンパ節はウイルス・細菌・結核などの病原体、膠原病など免疫異常症、悪性リンパ腫や各種の癌など腫瘍性疾患で腫大します。頚部、腋窩、鼠径部のリンパ節は体の表面にあるため腫脹した場合、触ることが可能です。腫大の部位や性状にはその原因により特徴があります。
 たとえば病原体などによる炎症の場合は発熱や痛み、発赤を伴うことが多くリンパ節は比較的柔らかく腫大し、押さえると痛みを感じます。口腔・咽頭など頚部周囲の炎症では耳の後ろや頚部上部、下顎部が腫大し、感染症の一つである猫引っかき病は引っかかれた上肢の腋窩リンパ節が腫大します。食道・胃などの癌の転移の場合、鎖骨上のリンパ節が腫大することが多く、この場合リンパ節は押さえても痛みはなく、石のように固く腫大する傾向があります。原因を調べるための検査として採血、X線検査に加え、超音波検査によるリンパ節の観察が非常に有用です。
 以上の検査で悪性が疑われる場合や良性と思われても原因がはっきりしない場合などに針生検やリンパ節を丸ごと摘出して組織検査を行うことがあります。治療は原因によって異なり、様子観察するだけで治ってしまうものから抗菌薬などの薬物療法や抗がん剤、放射線療法、免疫療法などを行う場合など様々です。
 リンパ節腫大は免疫機構が体の外部や内部からの攻撃に対し防御している反応で、しばしば重要な診断の手がかりとなるため放置せず専門医を受診することが必要です。

(内科医長 日高 道弘)

【リンパ節腫大に使われる薬剤】

 リンパ節腫大に使用される薬剤は、原因となる疾患によって異なります。細菌感染症に対しては、抗菌薬を使用します。白血病や悪性リンパ腫に対しては、抗がん剤による化学療法が行われます。悪性リンパ腫に対して有効な抗がん剤は多数存在しますが、中でもシクロホスファミド(エンドキサン)、ビンクリスチン(オンコビン)、ドキソルビシン(アドリアシン)がよく使用されます。この3つの抗がん剤に副腎皮質ホルモンを加えた4剤による併用療法(CHOP療法)が最も標準的な化学療法とされています。
 さらに最近、B細胞の表面に存在するCD20と呼ばれるたんぱく質に対する抗体療法が開発され、その有効性が注目されています。B細胞リンパ腫に対する抗体療法にはリツキシマブ(リツキサン)という治療薬が用いられます。リツキシマブ(リツキサン)は、他の抗がん剤と異なり、白血球や血小板を減らす副作用が弱いために、抗がん剤の投与量を減らさずに化学療法と併用することができます。CHOP療法やCHOP療法とリツキサンの併用療法(R-CHOP療法)は全身状態のよい場合には外来でできる治療法ですが、主な副作用として、骨髄毒性(白血球減少、血小板減少、貧血)、吐き気、嘔吐、食欲の低下、末梢神経障害(手足のしびれ、神経痛様の痛みなど)、便秘、脱毛、心臓や肺の障害、膀胱の粘膜が荒れやすくなるなどがあります。副作用の重篤化を防ぐためにも、気になる症状のあるときはすぐに医師、薬剤師に相談して下さい。

(薬剤師  田渕 真弓)

【リンパ節の働きと食事】

リンパ節はリンパ管を流れる細菌などを抑え込み、感染症などから体を守る免疫機能に重要な役割を果たしています。リンパ節腫大の原因は様々ですので、食事内容はその原因となる病気を基本としますが、普段からバランスのよい食事を続けることで免疫力が高くなります。ここでは、免疫機能において特に重要な働きをする栄養素について紹介します。
①《ビタミンA》皮膚や粘膜を正常に保ち、細菌に対する抵抗力を高めます。レバー、緑黄色野菜、うなぎなど。②《ビタミンC》血管や皮膚を強くし、抗ウイルス作用があります。いちご、柑橘類、ブロッコリー、小松菜など。③《ビタミンE》老化を防止し、血行を改善します。落花生、納豆、植物油など。④《亜鉛》リンパ球の機能を保ち、感染症にかかりにくくします。カキ、牛肉、カシューナッツなど。⑤《鉄》体内に酸素を運び、免疫力を高めます。レバー、ひじき、ほうれん草など。ビタミンCや銅(レバー、くるみ、ココアなど)と一緒に摂ると吸収しやすくなります。
また、食物繊維(野菜、海藻・・・)や乳酸菌(ヨーグルト・・・)などにより腸内環境を整えることで免疫調整がよくなることも言われています。体をつくる基礎となるたんぱく質(肉・魚・卵・・・)も免疫機能を正常に保つのに重要です。
多くの食材を組み合わせて、規則的な食生活で免疫力の強い体を作りましょう。

(管理栄養士  藤崎 まなみ)


診療の特色

<総合医療センター 血液・膠原病内科>

文字通り血液、つまり白血球、赤血球、血小板、血漿成分に異常をきたす疾患を診療しています。鉄欠乏性貧血、白血球増多、リンパ節腫脹、血小板減少症から再生不良性貧血、さらに白血病、悪性リンパ腫などの造血器腫瘍までさまざまな疾患が含まれます。当科の特徴として県下で唯一骨髄バンクから同種移植の認定を受けた骨髄移植センターであり、全国的にも有数の移植施設であることが挙げられます。県内外から紹介される患者様を受け入れ、無菌ユニットと熟練したスタッフにより年間約50〜60例の移植治療を行っています。また膠原病などの自己免疫疾患の診療にも取り組んでいます。

診療時間 8:30〜17:00
(診療受付時間 8:30〜11:00)

ただし、急患はいつでも受診できます。

診療科目:総合医療センター(総合診療科、血液・膠原病内科、内分泌・代謝内科、腎臓内科、神経内科、呼吸器科)、心臓血管センター(循環器科、心臓血管外科)、消化器病センター(消化器科)、精神科、神経科、小児科、外科、小児外科、整形外科、脳神経外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、感覚器センター(眼科、耳鼻咽喉科)、気管食道科、リハビリテーション科、放射線科、麻酔科、歯科・口腔外科、救命救急センター、人間ドック、脳ドック