【第80号】 透析について 透析に使用される薬 腎臓食における「たんぱく質」とその質について | くす通信 | 国立病院機構 熊本医療センター

【第80号】 透析について 透析に使用される薬 腎臓食における「たんぱく質」とその質について

【透析について】

 腎臓は、体にとって大切ないくつかの働きを持っています。体内の老廃物(尿毒素)や余分な水分を除去する、電解質のバランスを整え体を弱アルカリ性に保つ、血圧や赤血球の量の調整をする、などです。
 腎臓の働きが低下して尿毒素や水分などの排泄が十分出来なくなった状態を「腎不全」といいます。腎不全になると、浮腫、血圧上昇、易疲労感、食欲不振、無気力などの症状が現れますが、さらに進行すると生命が脅かされます。
 このような末期腎不全に至った患者さんは透析が必要となります。現在、日本には末期腎不全患者さんが23万人以上いると言われています。
透析とは、血液中の老廃物や余分な水分を濾過して血液をきれいにすることで、血液浄化療法とも呼ばれています。これには、血液透析と腹膜透析があります。
 血液透析は、 日本で現在最も広く行われている透析療法です。血液を体外に取り出し、ダイアライザーと呼ばれる透析器(人工の膜)に通すことによって、血液中の不要な老 廃物や水分を取り除き、血液を浄化します。きれいになった血液は、再び体内に戻します。血管に針を刺して血液を連続的に取り出す必要があるため、簡単な手 術によって、前腕の動脈と静脈を皮下でつなぎ合わせてシャントと呼ばれる血液の取り出し口を作ります。透析のため週に3回通院します。
 腹膜透析は、お 腹の中(腹腔)に入れた透析液に血液中の毒素や余分な水分を移行させ、それを入れ替えることによって治療をします。1日数回患者さんご自身で透析液バッグ を交換するCAPDと、夜間就寝中にサイクラーという機械を用いて、透析液を交換するAPDという方法があります。透析液の出し入れをするために、カテー テルという柔らかいチューブを簡単な手術によって腹部に埋め込みます。在宅での治療を基本として、月に1〜2回通院します。
 体の状態や生活スタイルを考えながら主治医と相談して治療法を選択していきます。

腎臓内科 宮中 敬)

【透析に使用される薬】

 透析では造血ホルモン(エリスロポエチン)や骨を丈夫にする活性型ビタミンDの作用を代行することは出来ないので、薬を用いることで腎臓の機能を補います。
 腎臓で作られるエリスロポエチンは骨髄に作用して、赤血球を作る働きをうながします。腎臓の機能が低下するとエリスロポエチンが作られなくなり貧血になってしまうため、エリスロポエチン製剤(エポジン、エスポー)を定期的に注射することで貧血を改善します。
 活性型ビタミンDはカルシウムの吸収をよくすることにより、骨を丈夫にする作用があります。しかし、腎機能が低下するとビタミンDを体内で作用を発揮す る活性型のビタミンDに変えることができなくなるため、カルシウムの吸収が低下し結果的に骨が弱くなります。そこで腎機能が低下している状態でも作用を発 揮することができる活性型ビタミンD製剤(ロカルトロール、アルファロール)が投与されます。
 その他合併症を予防したり、改善したりする薬があります。透析患者様ではリンの高い状態が続くと骨がもろくなったり、カリウムの高い状態が続くと手指や 唇のしびれ、全身の脱力感などの症状が見られたり、心臓に負担がかかります。そのため血液中のリンやカリウムを下げるためにリン結合薬(炭酸カルシウム、フォスブロック)やカリウム抑制剤(カリメート)が投与されます。
 薬の役割を理解し、医師の指示どおりきちっと服用することで不安や疑問を解消しておくことが大切です。

(薬剤師 蔵野 美紀子)

【腎臓病食における「たんぱく質」とその質について】

 腎臓病の食事療法の目的は、腎臓への負担を少しでも軽くすることで、ポイントは(1)たんぱく質を腎臓の機能に見合った量に制限、(2)適正なエネルギーを確保、(3)減塩、場合により(4)カリウムを少なくするため生野菜や果物の調理方法を変える、(5)水分を制限、などです。今回は、(1)のたんぱく質の「質」について取り上げます。
 たんぱく質はたくさんのアミノ酸から出来たもので、様々な食品、特に主菜となる献立に多く含まれています。そのアミノ酸のうち、8種類は「必須アミノ酸」といい、体内では合成できない物ですが、体にとって必要不可欠な物です。この必須アミノ酸がバランスよく含まれている食品ほど、たんぱく質の質が良く、体をつくるために使われます。具体的には、卵、肉類、魚類、牛乳などの動物性食品がこれに当たります。一方、大豆などの植物性食品は必須アミノ酸の一部が欠けているためたんぱく質の質は落ちます。これらは体を作るために使われなかった残りの部分が燃え、「燃えかす」(尿素窒素やカリウム、リンなど)が多く出て、腎臓の仕事を増やしてしまいます。つまり、腎臓に負担をかけないための低たんぱく食では、限られた範囲内で動物性の食品から上手に摂ることが望まれます。しかし、病気と食事との関係は人それぞれですので、きちんと診察を受けた上で食事療法について説明を受けましょう。

(管理栄養士 尾上 陽子)


診療の特色

<腎臓内科>

腎臓内科では、慢性糸球体腎炎やネフローゼ症候群などの内科的腎疾患から、急性腎不全などの腎疾患救急、慢性腎不全に対する透析療法まで、幅広い診療を行っています。慢性糸球体腎炎などに対しては、腎生検にて診断するとともに、ステロイド療法や免疫抑制剤などによる治療を行っています。当院の特色でもありますが、腎疾患救急の患者さんが数多く来院されます。透析を含めた総合的な治療にて腎機能の回復を図っています。透析療法では血液透析や腹膜透析のみならず、血液透析濾過や血漿交換、免疫吸着、LDL吸着、エンドトキシン吸着など多様な手段を駆使して診療を行っています。

診療時間 8:30〜17:00
(診療受付時間 8:30〜11:00)

ただし、急患はいつでも受診できます。

診療科目:総合医療センター(総合診療科、血液・膠原病内科、内分泌・代謝内科、腎臓内科、神経内科、呼吸器科)、心臓血管センター(循環器科、心臓血管外科)、消化器病センター(消化器科)、精神科、神経科、小児科、外科、小児外科、整形外科、脳神経外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、感覚器センター(眼科、耳鼻咽喉科)、気管食道科、リハビリテーション科、放射線科、麻酔科、歯科・口腔外科、救命救急センター、人間ドック、脳ドック