【第72号】 うつ病について 抗うつ薬について うつ病と食事 | くす通信 | 国立病院機構 熊本医療センター

【第72号】 うつ病について 抗うつ薬について うつ病と食事

【うつ病について】

 うつ病は、精神科の病気の中でもっとも頻度の高いもので日本人の15人に一人は一生のうちに一度はうつ病にかかると言われております。
うつ病は、ゆううつ感や意欲の低下、疲れやすいなどの状態が長い間続くため日常生活に支障をきたす病気です。だれでも失恋したり、親しい人が死んだりすると気分が落ち込みますが多くは数日で回復します。ところが、うつ病ではこのような状況が2週間以上続きます。その他にも、思考力の低下(思考渋滞)、睡眠障害(特に早朝覚醒)、食欲低下(砂をかむような感じ)、いらいら感などの症状 がみられます。
 また、頭痛、吐き気、寝汗、動悸、便秘などのからだの症状もあらわれるためにうつ病とわからないこともあります(仮面うつ病)。
 うつ病の発症については、性格としては真面目、几帳面であるが融通の効かない人がなりやすく、ストレスとしては環境の変化(就職、転勤、結婚)や身体的な病気、喪失体験(失業、離婚、退職、失恋、家族や友人との死別)などがあります。
 うつ病の治療はうつ病が「こころとからだの極度に疲れた状態」であることから、「休養とくすり」が基本になります。自宅でマイペースの生活を送りながら精神科の病院や診療所で通院治療を行うことでうつ病の多くは治ります。
 家族が注意しておくこととしては、「叱咤激励しないこと、温泉や旅行などに引っ張り出さないこと」が大切です。
 最近SSRIなど副作用が少ない抗うつ薬が発売されており治療の効果が上がっています。うつ病で入院治療が必要な場合は、希死念慮があり自殺企図の可能性が高いときと、食事を受け付けず衰弱しているとき、妄想が強く自宅で対応できないときなどがあります。
 また、うつ病は再発しやすいために再発予防のために抗うつ薬を少量のむことや、今までのライフスタイルや価値観を見直すことも大切です。
「うつ病かな」と思ったら早めに精神科の医療機関で受診してください。

(精神科医長 渡邉 健次郎)

【抗うつ薬について】

 うつ病は、ほとんどが「休養と薬」で良くなると言われています。うつ病の治療薬は、抗うつ薬と呼ばれ、脳内の神経伝達物質の「アミン」を増やし、意欲を高めたり、気分を楽にしたりする作用があります。
 抗うつ薬には、古くからある三環系抗うつ薬(アナフラニール:作用が強いが副作用が出やすい)、四環系抗うつ薬(アモキサン:作用は三環系よりやや弱いが副作用が少ない)、ドグマチール(安定剤としては作用がおだやで、副作用も少ない)などがあります。最近では、選択的セロトニン再取込阻害薬:SSRI(パキシル、ルボックス)や選択的セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤:SNRI(トレドミン)といわれる薬が開発されています。効果が高く、従来の抗うつ薬に多い、口の乾きや便秘、心毒性などの副作用が軽減されています。
 このような薬を、症状に応じて服用していくことになりますが、効果が出るまでには時間がかかることも多くあります。また、副作用(口の渇き、眠気、便秘、めまい、尿がスムーズに出ない、物がかすんで見える、動悸など)もありますが、ほとんどが服用していくうちに消失していくものです。焦らず、自己判断で中止することなく服用することが大切です。ひどいときは早めの受診をお勧めします。
 それから、めったに起こりませんが、重い副作用の初期症状として、悪性症候群(体の強い硬直、じっとして動かない、ふるえ、意識がはっきりしない、発汗、高熱)、けいれん、不整脈などがあります。「おかしい」と感じたらすぐに医師に相談して下さい。

(薬剤科 東島 彰人)

【うつ病と食事】

 うつ病は「心と身体の疲れ」がきっかけとなって起こる病気です。治療の中心は休養と薬物療法。精神面のサポートも行われます。最近では、うつ病は脳の神経の伝達物質である「セロトニン」や「ノルアドレナリン」などの働きが低下することで起こると考えられています。
 セロトニンはトリプトファンから、ノルアドレナリンはフェニールアラニンから作られます。食事から摂られたトリプトファンやフェニールアラニンは脳に入り代謝され、脳の機能調節に重要な役割を持つ物質に変換されると云われています。
 身体の構成成分はたんぱく質ですが、たんぱく質はアミノ酸が結合したもので約20種類あります。そのうち9種類は人間の体内では合成できないので必須アミノ酸と呼ばれます。トリプトファンやフェニールアラニンは不足し易い必須アミノ酸です。トリプトファンは牛乳、チーズ、卵黄、落花生、きな粉などに、フェニールアラニンは魚介類や肉類、卵、大豆製品、かぼちゃ、ごまなどに含まれます。いずれも量が少なく、食品によってたんぱく質のアミノ酸構成は違っていますので植物性、動物性、合わせて多種類の食品から少量ずつ摂ることがたいせつです。
 また、うつ病は精神症状のほかに身体症状も現れます。食欲不振や胃腸障害、体重減少などを伴うことが多い上に、薬物療法による吐き気、頭痛、イライラ、便秘などの副作用もある場合が多いため、充分な栄養補給ができるよう、症状に合わせてきめ細かな配慮がたいせつです。

(管理栄養士 浅井 和子)


診療の特色

<精神科>

当科の特徴は精神病床を有する総合病院の中の精神科であり身体的な問題を有する精神障害の患者様の治療を行っており、入院患者様の約半数は身体合併症を有しておられます。また、単科の精神病院や精神科診療所等では対応困難な患者様を積極的に受け入れています。さらに街の中心部にあり新患が多いことと自殺企図をはじめとする精神科関連の救急症例が多いことです。だれでも気軽に受診できる診療科を目指しています。

診療時間 8:30〜17:00
(診療受付時間 8:30〜11:00)

ただし、急患はいつでも受診できます。

診療科目:総合医療センター(総合診療科、血液・膠原病内科、内分泌・代謝内科、腎臓内科、神経内科、呼吸器科)、心臓血管センター(循環器科、心臓血管外科)、消化器病センター(消化器科)、精神科、神経科、小児科、外科、小児外科、整形外科、脳神経外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、感覚器センター(眼科、耳鼻咽喉科)、気管食道科、リハビリテーション科、放射線科、麻酔科、歯科・口腔外科、救命救急センター、人間ドック、脳ドック