【第71号】 クローン病について クローン病の薬物療法 クローン病と食事 | くす通信 | 国立病院機構 熊本医療センター

【第71号】 クローン病について クローン病の薬物療法 クローン病と食事

【クローン病について】

 炎症性腸疾患のなかで以前に比べて食事の西欧化などにより増えてきた病気として潰瘍性大腸炎とクローン病があります。ここ10年間で倍増しており、患者数は潰瘍性大腸炎で7万人,クローン病で2万人となっています。今回はその中でクローン病についてお話しいたします。
 クローン病は10才台から20才台にかけて発症が多い病気で、腹痛、下痢、発熱が3大症状です。またこの病気は口から肛門までのいずれの消化管に渡っても見られますが一般には小腸か大腸あるいは両方に潰瘍やただれが見られます。この潰瘍やただれがひどくなると腸管が狭くなり、便に血液が混じったり,腹痛を生じたりします。
 原因としては詳細は不明ですが、遺伝的なものと環境的なもの(腸内細菌や食事内容)があると言われています。環境的なものとして腸内細菌や食事により腸に炎症が起きて発症すると言われています。食事としては西欧化に伴い、牛肉、チーズなどが増えてきておりこれらの食べ過ぎが起こしやすくなるとも言われ、また漬物、日本茶、山菜など日本的なものが予防になるとも言われています。
 診断は大腸内視鏡検査による観察や組織検査や小腸造影,大腸造影により行います。
 治療は食事療法を中心として行い、それに薬物療法を組み合わせて治療を行います。食事療法は脂肪の少ない栄養剤を経口的にあるいは経腸栄養といって鼻からチュ−ブを胃内に挿入し、チューブから栄養を入れます。経口摂取の場合には消化のよいものとし動物性脂肪やタンパク質は避けます。薬物療法としては通常ペンタサ、サラゾピリン、プレドニンといった薬を用いますが最近は中等度の活動期または外瘻を有する患者に対して新薬(レミケード)の治療効果が期待されています。下痢、腹痛、便に血液が混じるといった症状が続くときには大腸検査を受けるようにしましょう。

(消化器科医師 加茂 章二郎)

【クローン病の薬物療法】

 クローン病の治療目的は栄養状態を維持し、症状を抑え、炎症の再燃、再発を予防することです。薬物療法はクローン病の症状や炎症の程度によって、抗炎症剤(5−ASA製剤)、ステロイド、免疫抑制剤を単独または併せて使用します。抗炎症剤は比較的炎症が軽い場合に使われます。サラゾピリンは主に大腸に使われ、ペンタサは小腸にも使われます。
 腸におこった炎症にからだの中の免疫がさらに過剰に反応して病気が広がって行きます。免疫を少し抑えれば、あまりひどくならないですみます。ステロイド(プレドニン等)や免疫抑制剤(イムラン、ネオーラル等)が使われます。ステロイドは強い抗炎症作用があります。免疫抑制剤はステロイドの効きが悪い場合やステロイドが減らしにくい場合に用いられますが、効果が現れるまで時間がかかります。
 レミケードはクローン病の治療薬として、期待されて登場した注射薬です。クローン病の炎症に深くかかわっている伝達物質(TNF−α)の働きを抑えることで炎症がおさまります。炎症反応検査(CRP)も低下または正常化してきます。バイオの技術でつくられたお薬です。
 お薬は主治医と十分相談して、指示された飲み方を守ってください。お薬を飲んでいると思わぬ副作用が出てくることもあります。いろいろな症状がありますので、少しでも変わったことがおこったら、主治医や薬剤師に相談してください。

(薬剤科 中川 義浩)

【クローン病と食事】

 クローン病では、その栄養摂取方法は病状により大きく異なり、場合によっては食事と 特殊な栄養剤を併用することもあります。腸の安静と食事中に含まれる刺激となる物質を避けることが食事の基本です。病気と上手に付き合うためには病状に合わせた食事を楽しみながら食べることが大切です。
 一般的な食事としては、

  1. 主食は炭水化物 を主成分とするため、安全で効率のよいエネルギー源です。ご飯を中心に十分な主食を摂 りましょう。中華麺や食物繊維の多いサツマイモやトウモロコシは控えましょう。
  2. タンパク質は刺激となる物質になりやすいものが多いので注意が必要です。白身魚は消化、吸収がよく、ビタミンや亜鉛、セレンなど微量元素が豊富に含まれます。その他抗炎症作用のあるn-3系の脂肪酸を多く含むいわし、マグロなども有効ですが、それに偏ると脂肪の摂り過ぎに繋がります。肉は脂肪の少ない鶏の胸身やささみを選びましょう。また、卵や豆腐も良質の蛋白源で有効です。
  3. 「揚げる」 「炒める」などの油を多量に使う調理法は避けましょう。また、多脂性食品(マヨネーズ、 スナック菓子、ラーメンなど)もできるだけ避 けた方が良いでしょう。
  4. 食物繊維は腸管を刺激して下痢や腹痛の原因となることがあるため、こんにゃく、ごぼう、きのこ、たけのこなど繊維の多いものは避けましょう。 りんご、バナナ、桃の缶詰などにはペクチン という水溶性の食物繊維が含まれ、刺激が少なく、下痢を軽減する効果も期待できます。
  5. 乳製品は病状により異なります。 食事は個人差がありますので詳しくはご相談ください。

(管理栄養士 西久保 百合子)


診療の特色

<消化器病センター>

消化器病センターは急性腹症、消化管出血、急性肝炎などの急性疾患に対する診断と治療、慢性疾患、特に肝疾患、炎症性腸疾患などに対する診断と治療、またポリープなどに対する内視鏡的治療、胃瘻造設を行っています。
外来では上・下部消化管内視鏡、腹部超音波検査、消化管造影検査を毎日行っており、消化器疾患の早期発見に努めています。また消化器疾患に対して栄養科に依頼して栄養相談を行っていますのでお気軽にご相談ください。

診療時間 8:30〜17:00
(診療受付時間 8:30〜11:00)

ただし、急患はいつでも受診できます。

診療科目:総合医療センター(総合診療科、血液・膠原病内科、内分泌・代謝内科、腎臓内科、神経内科、呼吸器科)、心臓血管センター(循環器科、心臓血管外科)、消化器病センター(消化器科)、精神科、神経科、小児科、外科、小児外科、整形外科、脳神経外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、感覚器センター(眼科、耳鼻咽喉科)、気管食道科、リハビリテーション科、放射線科、麻酔科、歯科・口腔外科、救命救急センター、人間ドック、脳ドック