【第69号】 更年期障害 更年期における薬物療法について 更年期と食事 | くす通信 | 国立病院機構 熊本医療センター

【第69号】 更年期障害 更年期における薬物療法について 更年期と食事

【更年期障害】

 更年期とは生殖期から生殖不能期への移行の期間をいい、総ての女性が必ず通らなければならない通過点で、更年期障害とは、この時期に現れる多種多様の症状をいいます。この原因は大きく次の2つに分けられます。  
 1つは年齢をかさねると卵巣(女性ホルモンをつくる)の働きが低下するため女性ホルモンの分泌が少なくなるためににおこる障害です。そのためそれを支配する大脳にある視床下部に変調をきたし、それと密接な関係にある自律神経中枢にも失調を来たし、種々の症状がでます。ちなみに卵胞ホルモン(エストロゲン)は35歳以降急に減少し、あるレベル以下になると、排卵がおこらなくなります。低エストロゲンの症状として代表的なものは、ほてりとのぼせで、閉経女性の約6割の人が自覚するとされます。さらに汗をかきやすい、冷え性、肩こり、腰痛、関節痛、腟や膀胱粘膜の萎縮により、萎縮性腟炎、性交障害、排尿障害が生じます。
 またエストロゲンは骨代謝や、脂質代謝にも影響をおよぼし、骨粗鬆症や、動脈硬化、ひいては虚血性心疾患の原因ともなります。 
 もう1つは、心因性のもので、女性としての衰えを閉経をもって痛切に感じるようになり、さらに老年期へ移行することの不安も重なっておこる障害です。具体的には皮膚の弾力性がなくなりシワが増え白髪が増し、すなわち「女性美」が遠のき、家庭や、対人関係、性的不満を含めた夫との問題などが重なり、不安感、焦燥感、頭痛、疲労感などの精神神経障害や手足のしびれ、知覚鈍麻、蟻走感等の知覚障害が現れます。  
 治療としては、前者には、エストロゲンを主としたホルモン療法が有効とされ、後者には対神経症薬や、カウンセリングを含めた心理療法があります。決して悲観したりあきらめたりすることはありません。参考のため、自分で採点できる「簡略更年期指数」を、掲載しましたので参考にしてください。

(産婦人科部長 三森 寛幸)

簡略更年期指数
 症状の程度に応じ(どれか1つども症状が強く出れば、強とする)、自分で点数を入れて、その合計をもとにチェック

症状 なし
(1)顔がほてる 10 6 3 0
(2)汗をかきやすい 10 6 3 0
(3)腰や手足が冷えやすい 14 9 5 0
(4)息切れ、動機がする 12 8 4 0
(5)寝つきが悪い、眠りが浅い 14 9 5 0
(6)怒りやすく、イライラする 12 8 4 0
(7)くよくよしたり、憂うつになる 7 5 3 0
(8)頭痛、めまい、吐き気がよくある 7 5 3 0
(9)疲れやすい 7 4 2 0
(10)肩凝り、腰痛、手足の痛みがある 7 5 3 0

更年期指数の自己採点の評価法

  •  0 〜25点・・・・・異常なし
  •  26〜50点・・・・・食事、運動に注意
  •  51〜65点・・・・・更年期・閉経外来を受診
  •  66〜80点・・・・・長期間の計画的な治療
  •  81〜100点・・・・・各科の精密検査、長期の計画的な対応

【更年期における薬物療法について】

更年期の症状に対する薬物療法として、以下の治療法があります。

  • ホルモン補充療法・・・低下した女性ホルモンを外から薬で補います。
  • 漢方療法・・・患者さんの主訴をもとに症状や体質に合わせた薬を選びます。ホルモン補充療法を希望しない方や、受けられない方に適しています。
  • 対症療法・・・ホルモン補充療法で改善が十分に認められない場合、不安、憂鬱などの精神的症状が強い場合には、抗不安薬、抗うつ薬、自立神経調整薬が使われます。
  • ホルモン補充療法の実際・・・女性ホルモンにはエストロゲンとプロゲステロンがあります。短期間投与や子宮を摘出した場合では、エストロゲン単独で投与しますが、原則として二剤併用します。使用法は、エストロゲンを約4週間使用し、後半約2週間にプロゲステロンを併用し、その後1週間休薬する周期併用療法と、同時に連続して使用する連続併用療法があります。

副作用と注意事項:ホルモン補充療法には乳がん、虚血性心疾患・脳卒中、血栓症などにかかるリスクが高くなるという副作用があるのでこれらの疾患にかかっている人は受けられません。定期的な検診も必要です。薬による副作用と効果を充分理解したうえでの治療が重要です。

薬剤師 西山 陽子

【更年期と食事】

 更年期に入った女性の多くは冷え、発汗・のぼせ、めまい、肩こり、頭痛、不眠、耳鳴り、しびれなど多種多様な不快症状に悩まされます。したがってこの時期の食事はこれまで以上に細やかな気配りをしたいものです。冷え性で困っている場合はアジ、アナゴ、えび、鶏肉、キャベツ、にんじん、りんご、みかんなど秋から冬にとれるものを。のぼせやほてりで悩んでいる場合はシジミ、アサリ、カキ、トマト、きゅうり、なす、イチゴ、スイカ、メロンなど夏にとれるものを摂るようにこころがけると症状をやわらげると云われています。
 また更年期の栄養のバランスをとるには6つのポイントがあります。(1)カルシウムを多く摂る。骨粗しょう症を予防し、いらいらを鎮めてくれます。(2)ビタミンをたくさん摂る。カルシウムの吸収にはビタミンDが欠かせません。ビタミンA、B、Cなどもそれぞれ身体の調子を整えます。(3)食物繊維をたくさん摂る。食物繊維が豊富な食べ物はかさがあるので食べすぎを防ぎ、動脈硬化の予防になります。(4)たんぱく質の摂り方に注意。牛や豚のヒレ肉やささみ、白身の魚など脂肪の少ない良質のたんぱく質を摂ることにより、丈夫な骨を作り、ホルモンのバランスをとることができます。(5)脂肪を摂り過ぎないように。(6)糖質はほどほどに。脂肪、糖質の摂りすぎは肥満や動脈硬化につながります。
 ご飯に野菜がたっぷり入った味噌汁、ひじきの煮物、豆腐、焼き魚、わかめの酢物、などは6つのポイントにあてはまるものばかりです。昔ながらの和食のメニューは更年期障害を乗り切るために効果的な食材になります。もう一度和食のよさを見直してみましょう。

(管理栄養士 南郷有佳里)


診療の特色

<産婦人科>

産婦人科外来で、初めて受診される方は、月曜日から金曜日の毎日午前中受付しています。二度目以降受診される患者様は、月・火・木曜日に受付しています。但し、急患の患者様は常時受け付けます。  
診療内容は、婦人科一般疾患(良性腫瘍、子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣腫瘍、更年期障害、不妊症など)や妊娠分娩などの産科一般の他に、特徴的なことは、子宮頚癌、子宮体癌、卵巣癌をはじめとする婦人科悪性腫瘍の症例が多いことです。

診療時間 8:30〜17:00
(診療受付時間 8:30〜11:00)

ただし、急患はいつでも受診できます。

診療科目:総合医療センター(総合診療科、血液・膠原病内科、内分泌・代謝内科、腎臓内科、神経内科、呼吸器科)、心臓血管センター(循環器科、心臓血管外科)、消化器病センター(消化器科)、精神科、神経科、小児科、外科、小児外科、整形外科、脳神経外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、感覚器センター(眼科、耳鼻咽喉科)、気管食道科、リハビリテーション科、放射線科、麻酔科、歯科・口腔外科、救命救急センター、人間ドック、脳ドック