【第68号】 食中毒 下痢治療薬 食中毒予防のポイント~家庭編~ | くす通信 | 国立病院機構 熊本医療センター

【第68号】 食中毒 下痢治療薬 食中毒予防のポイント~家庭編~

【食中毒】

  食中毒は一年を通してみられ年間約3万人の発生がみられます。食中毒の原因には食中毒の70〜80%を占める細菌のほかウイルスやフグ、毒キノコなどの自然毒がありますがそれらは食品のなかで増えることはありません。一方細菌は高温多湿の環境で容易に増殖します。従って高温多湿の日本では夏に細菌性の食中毒が多くなります。また夏は疲れがたまり胃腸の機能も低下しがちなことから食中毒にかかりやすくなっているのも原因です。抵抗力の弱い高齢者や乳幼児は特に注意が必要です。
 細菌性食中毒をおこす特に注意が必要な原因細菌には感染型と毒素型の菌がありサルモネラ、病原大腸菌、腸炎ビブリオ、カンピロバクタなどは前者で、黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌などは後者です。原因食品ではサルモネラ、カンピロバクタが肉、卵、乳製品、ブドウ球菌がおにぎりや弁当、腸炎ビブリオが生魚介類で認められ、学校、旅館、飲食店、仕出し弁当屋などで大規模発生をみることがあります。これらはサルモネラで稀に死亡例があるほかは回復します。
 一方病原大腸菌O157では産生するベロ毒素により発症1週間後ごろから溶血性尿毒症症候群、脳症を合併し死亡することがあります。またボツリヌス菌は酸素の無いところで生息する"嫌気性菌"で神経毒素を産生し嚥下障害、呼吸障害をきたす死亡率の高い菌です。発酵食品、缶詰、真空パックの食品が要注意な食品です。
 下痢、腹痛、嘔吐、発熱などの症状がみられたら食中毒を疑い病院を受診して下さい。原因菌を検索します。
 下痢、嘔吐による脱水症状には点滴が一番です。また家庭では水分補給と塩分、糖分の補給が大切です。スポーツドリンクを活用するのもひとつです。
 細菌性食中毒の予防の3原則は食中毒を起こす細菌を食材に(1)「つけない」、細菌を(2)「増やさない」、細菌を(3)「殺菌する」ことです。(1)「つけない」ためには調理器具、食器を清潔にする、手洗いを徹底することです。多くの食中毒菌と毒素は十分な加熱で(3)「殺菌する」ことが可能です。また少量であれば食中毒は起こりません。そこで(2)「増やさない」が重要になります。細菌は栄養と水分と温度が適度にあればどんどん増えていきます。食材、調理したものの温度管理、食べる前には再加熱するなど基本的な対策が重要です。
 また体力が落ちやすい夏場には十分な睡眠と休養をとり暴飲暴食を避け体力の保持に努めることも食中毒の予防に大切なことです。

(消化器科医長 前田 和弘)

【下痢治療薬】

 下痢は、腸管の水分吸収不全、腸蠕動の異常亢進や細菌の感染症によって起こります。
 基本的には、下痢は、有害な異物を体外に排出する生体防御反応ですので、無理に止める事は好ましくない事もあります。 
 下痢には、一般的に腸内細菌を調節するため乳酸菌製剤を服用します。また、必要に応じて腸運動を抑制するものや、有害物質を吸着するもの、または殺菌剤を使用します。  
 乳酸菌製剤は、乳酸菌の補給により、腸内細菌のバランスをととのえるものです。ラックビー、ビオフェルミン、ミヤリサンなど多数の商品があります。副作用はほとんど無いのですが腹部膨満感があることがあります。また、牛乳アレルギーの人は服用できないものもありますので注意してください。  
 有害物質が原因の場合は、無理に下痢を止めず、電解質をスポーツ飲料や、重症の場合は点滴で補いながら1〜2食絶食します。 
 天然ケイ酸アルミニウム(アドソルビン)は、吸着薬で、有害物質や過剰な水分や粘液を吸着して除去します。このとき、吸着によって体積が増えますので胃部膨満感が出る事があります。  
 食中毒の場合は抗菌薬を用います。抗菌薬の中のニューキロノン製剤(タリビッド、クラビッドなど)は感冒や抜歯後の感染予防などに使用されますが、腸内の感染や尿路感染などにも繁用されます。しかし、副作用として、ショックなどのアレルギー反応、過敏症、腎障害、肝障害、血液障害などにも注意しなくてはなりません。

(薬剤科 八木 秀明)

【食中毒予防のポイント 〜家庭編〜】

 暑い夏がやってきました!食中毒の季節です。食中毒というと、飲食店での食事が原因と思われがちですが、家庭の食事でも発生していますので、日常の中に危険がたくさん潜んでいるのです。また、家庭では風邪や寝冷えと間違い、重症になる例もあります。そこで、家庭での食事作りをチェックしてみましょう。食中毒予防のポイントは6つです。
 (1)食品の購入:食品は賞味期限などを確認し、新しいものを購入しましょう。冷蔵や冷凍など温度管理の必要な食品は、購入したら早めに持ち帰りましょう。(2)家庭での保管:冷蔵庫や冷凍庫の詰めすぎに注意しましょう。目安は7割程度。冷蔵庫は細菌の増殖が緩やかとなる10℃以下に、冷凍庫は増殖が停止する−15℃以下に維持することが大切です。(3)下準備:ラップしてある野菜も良く洗い、生で食べる果物や野菜に肉や魚などの汁がかからないようにしましょう。包丁やまな板はその都度洗うとよいでしょう。(4)調理:加熱調理する食品は十分に加熱しましょう。中心部の温度が75℃で1分間以上が目安です。(5)食事:調理後の食品は室温に長く放置しないようにしましょう。(6)残った食品:きれいな器具や皿を使って保存し、時間が過ぎたら思い切って捨てましょう。温めなおす場合も充分な加熱をしましょう。
 一番大切なのは「充分な手洗い」と「体調管理」です。以上のポイントをチェックして、家庭から食中毒をなくしましょう。それでも、腹痛、下痢を起こしたり、気持ちが悪くなったりしたらお医者さんに相談しましょう。

(管理栄養士 尾上陽子)


診療の特色

<消化器科>

消化器科は肝臓がん、胃がん、大腸がんなど癌の多い領域ですので癌の早期発見を目指した診療をしています。肝臓がんはウイルス性肝炎、肝硬変から続発することが多いことから、当科では、肝炎の治療に力を入れています。
胃がん、大腸がんは早期に発見されれば内視鏡治療で治癒させることができます。
一般的な病気として胆石、胃・十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、大腸ポリープなどが多い病気です。救急患者様も多く急性腹症(腸閉塞、急性虫垂炎、胃・十二指腸潰瘍の穿孔など)、消化管出血(胃・十二指腸潰瘍からの出血など)は外科との連携のもと診療しています。そのほかの消化器内科一般の診療も行っています。

診療時間 8:30〜17:00
(診療受付時間 8:30〜11:00)

ただし、急患はいつでも受診できます。

診療科目:総合医療センター(総合診療科、血液・膠原病内科、内分泌・代謝内科、腎臓内科、神経内科、呼吸器科)、心臓血管センター(循環器科、心臓血管外科)、消化器病センター(消化器科)、精神科、神経科、小児科、外科、小児外科、整形外科、脳神経外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、感覚器センター(眼科、耳鼻咽喉科)、気管食道科、リハビリテーション科、放射線科、麻酔科、歯科・口腔外科、救命救急センター、人間ドック、脳ドック