【第66号】 「むくみ(浮腫)について むくみ(浮腫)の治療薬 むくみ(浮腫)と食事 | くす通信 | 国立病院機構 熊本医療センター

【第66号】 「むくみ(浮腫)について むくみ(浮腫)の治療薬 むくみ(浮腫)と食事

【「むくみ(浮腫)」について】

 「むくみ(浮腫)」は皮膚の下に水がたまった状態です。足の背や足首、むこうずねのあたりがぱんぱんにはれて、靴下のゴムのあとが深く食い込んだり、指で圧すとくぼんだりします。手がむくむと手の指を曲げたり伸ばしたりする際につっぱった感じがしたり、手のしわが消えてパンパンに腫れた感じがします。指輪がきつくなって抜けにくい事もあります。顔がむくむとはれぼったくなり、まぶたが開きにくかったりします。病気でなくても誰でも多少はむくむものです。特に沢山塩辛いものを食べたりアルコールを飲んだ翌朝などに誰にでもむくんだ経験はあるでしょう。このような時に体重をはかると1−2kg体重が増加し、その分だけ体に水分が余計にたまっているのです。通常は数日以内にむくみは取れてしまい体重も元に戻ります。何日間もむくんだままであったり3kg以上水分が溜まる場合は内臓病(腎臓、心臓、肝臓、内分泌疾患等)が原因のことがありますので病院で一度検査を受けておくべきです。内臓病から生じたむくみは両足がむくむことが一番多いですが、手や顔もむくみますので「全身性浮腫」と呼びます。「むくみ」には痛みはありませんし日常生活にはあまり支障がない場合が多いので放置される方もいらっしゃいますが、内臓病を知らせてくれる「危険信号」として重要です。一方、乳癌の手術後に手術側の腕だけがぱんぱんに腫れたり、婦人科の癌の手術後に片側の足だけがぱんぱんに腫れたりすることがあります。このように体の特定の一部だけがむくむ状態を「局所性浮腫」と呼び「全身性浮腫」とは全く別の病気が原因です。むくみは皮膚が腫れているけれども赤くなったり、熱をもったり痛んだりはしません。これら発赤、熱感、疼痛を伴う場合はむくみではなく化膿(蜂窩織炎)や静脈炎などでこれらは全く別の病気です。
 「むくみ」を心配して当院(腎臓)内科を受診される方の中には他の病気で薬を処方されていらっしゃる方が結構いらっしゃいます。薬の中にはその効果を発揮するのと引き換えに体をむくませる作用をもった薬が結構あります。たとえば漢方薬、鎮痛剤、高血圧の薬、ホルモン剤などです。薬の作用でむくむ場合は内臓病を知らせる危険信号としてのむくみではありませんから心配いらない場合が多いですが念のため主治医の先生や院外薬局の薬剤師さんと相談されると良いでしょう。  
 また若い女性の方で美容的な見地からむくみや体重を過度に心配される方がいらっしゃいます。心配し過ぎでノイローゼのようになられる方もいらっしゃいます。しかし内臓の検査で異常がなければ内科の治療対象とはなりません。むくみを取り除く薬(利尿薬)を乱用してかえって病気になる方がおられます。ヒトは誰でも多少はむくむものです。病院で一度は検査すべきですが検査の結果異常がなければ安心されて過度に心配されないほうが良いでしょう。

(腎センター長 富田正郎)

【むくみ(浮腫)の治療薬】

 むくみ(浮腫)の治療薬 むくみ(浮腫)の治療には主に利尿薬が使われます。
 利尿薬とは 血液中の過剰な塩分を尿として体の外に出し、むくみを取ったり、血圧が高い場合は血圧を下げる薬です。これらの薬は、主に朝から昼にかけて服用します。夕方以降に服用すると夜間トイレに行く回数が増え眠れなくなるためです。 

主な利尿薬の種類
 【ループ利尿薬】商品名:ラッシクス錠、ダイアート錠など・・・強力な利尿作用を持ち、心臓や腎臓・肝臓の機能が低下し、むくみなどがある場合に使用されます。血圧を下げる作用もありますがそれほど強くはありません。 ◇副作用・・・血液中のナトリウムやカリウムといった成分が尿とともに排泄されるので、ナトリウムやカリウムの値が下がり過ぎることがあります。
 【サイアザイド系利尿薬】商品名:フルイトラン錠など・・・ むくみに対してはおだやかな作用を持ちます。血圧を下げる作用はループ利尿薬より強く血圧の薬として使われることが多いようです。ループ利尿薬と一緒に使うことでむくみをとる(利尿)効果が高まります。◇副作用・・・ 糖尿病の患者さんに大量に使用すると糖尿病が悪化することがあり、尿酸値が上昇することがあります。
 【カリウム保持性利尿薬(抗アルドステロン薬)】商品名:アルダクトンA錠など・・・ 副腎から分泌され、血圧を高める作用のあるアルドステロンというホルモンの作用を抑えるのに、穏やかに働きかけ血圧を下げます。また心不全の改善作用があります。
 カリウムを体の外に出さない働きがあるので、他の利尿薬と併用して使用することが多いようです。◇副作用・・・ 他の利尿薬と異なり血液中のカリウムが上がることがあります。長く使っていると、乳房がふくらんだり痛みを感じることがあります。
 【炭酸脱水素酵素阻害剤)】商品名:ダイアモックス錠など この薬は、利尿薬に分類されますがむくみをとる(利尿)作用は弱いため、心臓や肝臓、腎臓が悪いときのむくみを減らすためには使われません。よく使われるのは、眼圧を下げる働きを利用して緑内障の治療やてんかんの治療、肺の病気で血液が酸性になったとき(呼吸性アシドーシス)、生理前のむくみやいらいら(月経前緊張症)、眠っているときにときどき呼吸が止まる病気(睡眠時無呼吸症候群)などに使われます。 ◇副作用・・・頻度は高くないけれども重要なのは、血液障害とアレルギーによる皮膚の発疹です。服薬後、一時的に視力が落ちたり、手足や口のまわりがしびれるような感じが出ることがあります。

(薬剤科 島 眞一郎)

【むくみ(浮腫)と食事】

 塩辛いものを食べたあとしばらくして水分が欲しくなったことはありませんか。これは塩の摂り過ぎですね。塩は水を溜める働きがあります。皮膚の下に水がたまると、血圧を上げたり、むくみ(浮腫)になったりします。普段から塩は摂り過ぎないようにこころがけることがたいせつですね。塩は3本の指で軽く摘んだくらいが1gですが、体に必要な量はわずか3〜4gで充分と云われています。おいしく食べるために最大限に使ってよいとされた量が10g以下という目安ですね。高血圧や心臓病、腎臓病などがある方はさらに7g以下にしましょう。
 調味料にはしょうゆ、ソース、みそなどのほか加工品に漬物、佃煮、魚干物やパン、麺、蒲鉾などの練り製品などにも使用されています。 毎日の食事から塩の量を推定することは困難ですが、日本人の平均が13〜14gと云われていますので普段のしょうゆやみそ、塩蔵品を3分の1あるいは半分に減すようにこころがけることも減塩につながります。そのほかの工夫として(1)塩味はいずれか1品に集中させる。(2)塩やしょうゆはかけるより小皿にとって付ける。(3)昆布、椎茸など旨みを効かせる。(4)酸味を利用する。(5)こしょう、唐辛子、わさび、からし、などを利用する(6)青しそやセロリー、春菊など香り野菜を利用する。(7)香ばしい焼き加減を利用する。(8)少量の油で風味とこくをつける。(9)麺類は汁を残す。(10)汁物は具沢山にする。また冷たくしたり、暖めたりすることも薄味でもおいしく食べられるコツです。できることから試してみませんか。

(管理栄養士 浅井和子)


診療の特色

<腎臓内科>

腎臓内科と泌尿器科:尿検査で蛋白尿を指摘された場合はまず腎臓内科、血尿が出る場合はまず泌尿器科を受診されると良いでしょう。腎臓内科は腎炎、糖尿病性腎症、ネフローゼ症候群、腎不全、血液透析などの治療を担当しておりますが、これらの病気ではほぼ必ず尿検査で蛋白尿を認めます。一方腎臓外科でもある泌尿器科は腎腫瘍、水腎症、尿管結石、尿管腫瘍、膀胱疾患、前立腺疾患などを担当しておりますが、これらの病気では蛋白尿よりも血尿を認めることが多いのです。
蛋白尿が鍵:腎臓内科の病気は進行して重症化しないと自覚症状がありません。尿が少なくなったり、体がむくみ始めるのは病気がかなり進行してからのことが多いのです。そうなると治療もかなり困難になります。腎臓内科の病気の早期発見のためには尿検査で蛋白尿が出ていないかを調べることが最も重要です。学校検尿、職場検診、集団検診、人間ドック等で検尿検査を受け、蛋白尿が出ていたらなるべく早く腎臓内科を受診してください。自覚症状がないからといって放置しておいてはいけません。

診療時間 8:30〜17:00
(診療受付時間 8:30〜11:00)

ただし、急患はいつでも受診できます。

診療科目:総合医療センター(総合診療科、血液・膠原病内科、内分泌・代謝内科、腎臓内科、神経内科、呼吸器科)、心臓血管センター(循環器科、心臓血管外科)、消化器病センター(消化器科)、精神科、神経科、小児科、外科、小児外科、整形外科、脳神経外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、感覚器センター(眼科、耳鼻咽喉科)、気管食道科、リハビリテーション科、放射線科、麻酔科、歯科・口腔外科、救命救急センター、人間ドック、脳ドック