【第64号】 冬場の脳血管障害について 脳梗塞と薬 脳梗塞の予防と食事 | くす通信 | 国立病院機構 熊本医療センター

【第64号】 冬場の脳血管障害について 脳梗塞と薬 脳梗塞の予防と食事

【冬場の脳血管障害について】

 脳血管障害のうち脳出血やクモ膜下出血は、脳外科が治療していますので、今回は脳梗塞に限った話をします。
 脳梗塞は脳外科や救急部でも治療しますが、神経内科に入院される患者様も多く、平成14年度神経内科入院324人のうち、178人が脳梗塞でした。脳梗塞は予防が大切です。それには、高血圧、糖尿病、高脂血症、喫煙、心疾患、心房細動などの不整脈、肥満、多量飲酒、多血症などといった脳梗塞の危険因子を除くことが大切です。特に高血圧、糖尿病、喫煙、心房細動は要注意です。脳梗塞で入院となった患者様では、これらの危険因子を軽く考え放置してきた人が多いことに驚かされます。神経内科では循環器科と協力して、脳梗塞の患者様でこれらの危険因子があるかどうか、採血、頭部CT、MRI・MRA、頸部血管超音波検査などの検査を行なっています。動脈硬化がある場合はバイアスピリン、パナルジン、プレタールなど、心房細動がある場合はワーファリンなどを処方して脳梗塞の再発予防をめざしますが、これらの薬も万能ではなく、危険因子の治療が不充分だと脳梗塞の再発は防ぎきれません。なお、自覚症状はないが脳梗塞が心配なので検査希望という場合は、脳ドック(受付は脳外科外来です)をお勧めします。 平成14年度神経内科に入院した脳梗塞の季節変動を調べますと、1〜3月54人、4〜6月33人、7〜9月40人、10〜12月51人と冬場に脳梗塞が多い傾向がありました。夏は脱水による脳梗塞発症が考えられますが、冬は血圧の変動、血圧上昇、不整脈、乾燥、飲酒などが脳梗塞を起こしやすくしているのかもしれません。
 脳梗塞はなってしまうと後遺症を残すことが多い病気です。定期的な通院と服薬、禁煙、就寝前の飲水、適度な運動、急な温度変化防止、バランスのとれた食事、過労や睡眠不足を防ぐなどといった小さな努力を毎日続けることが大切だと思います。

(神経内科医長 徳永 誠)

【脳梗塞と薬】

 脳梗塞は、脳の血管が細くなったり、血管に血栓(血のかたまり)がつまったりして 脳に酸素や栄養がおくられなくなるために、脳の細胞が障害をうける病気です。脳が正常に働くためには血液の流れがとても大切です。したがって、脳梗塞に対しては出来るだけ早く治療を開始して血液の流れをよくすることが重要です。
 急性期はウロキナーゼやキサンボン等の注射薬があります。主に血管内で詰まった血液のかたまりを溶かしたり、血液を固まりにくくすることにより、麻痺等の症状も改善するとも言われています。グリセオールは脳細胞が壊死することによる脳のむくみで脳が圧迫されるのを防ぎます。ラジカットは傷害された脳細胞や血管から、活性酵素(フリーラジカル)が発生するため その酵素を除去することにより脳を保護します。
 慢性期は内服の薬が中心で直接の治療というよりも、どちらかというと再発の予防の為の薬になります。バイアスピリン、パナルジンなどを用いて血小板に作用し血が固まるのを防ぎ血液の流れをよくします。ワーファリンは、ビタミンKに対抗し凝固系を抑えることにより、血栓・塞栓を予防します。そのためビタミンKを多く含んだ食品、納豆やクロレラは効果を弱めます。
 以上のお薬を服用される方は、血が止まりにくいことがあるためケガに注意が必要です。歯科などを受診する場合は必ず医師に申し出るようにしてください。 この病気は、長期間服用を続けることが重要です。医師の注意を良く守り、指示どおり服用するようにしましょう。

(薬剤師 吉冨 久徳)

【脳梗塞の予防と食事】

 脳梗塞の多くが後遺症を残すことを考えると予防はとても大切です。脳梗塞の危険因子には高血圧、高脂血症、糖尿病、心疾患、肥満、多量飲酒、喫煙などが挙げられます。特に冬場は寒さによって血管が収縮し血圧が上昇します。上昇率は血圧の高い人ほど大きいといわれています。
高血圧改善の食事の注意点としてはまず

  1. 減塩です。加工食品やインスタント食品には塩分が多いので控えるようにしましょう。
  2. 食物繊維の摂取を。野菜、果物海藻などに多く含まれる食物繊維はナトリウムを対外に排泄し血圧を下げる効果があります。
  3. 肥満の場合はエネルギー制限。太りすぎは血圧を上昇させます。適量の食事摂取に心がけることがたいせつですが、必要な栄養素は摂るようにしましょう。特に血管を丈夫にする脂の少ない魚や肉類、大豆製品、卵などの蛋白質食品は欠かさずに摂りましょう。
  4. 食酢の摂取。毎日大さじ1杯(15ml)以上の食酢を摂ることにより主成分の酢酸が血圧を下げる効果を示すといわれています。酸っぱいのが苦手な人は(1)加熱して刺激臭を抑える。加熱しても降圧効果はほとんど変わりません。(2)油と一緒に摂る。酸味が弱く感じられます。(3)甘味、旨味、辛味を組み合わせる。酸味はまろやかになります。(4)食酢で煮込む。食酢で煮込んだ肉は酸性下では保水性が高くなるため硬い肉も軟らかくなります。

(管理栄養士 浅井 和子)


診療科の特色

<神経内科>

神経内科は、脳、脊髄、末梢神経、筋肉などに生じる内科的な病気を診ています。外来は、月・水・金の午前と、火・木の午後していますが、頭痛、しびれ、筋力低下、歩行障害、手足の麻痺、めまい、しゃべりにくさ、手のふるえ、意識障害などの訴えの患者さんが受診されます。なお、ストレスや心の問題は神経内科ではなく、神経精神科が専門です。入院は、平成14年度は1年間に324人が入院され、病名は、脳梗塞、意識消失発作、髄膜脳炎、パーキンソン病などでした。平均17日で、自宅退院あるいはリハビリ病院に転院されました。

診療時間 8:30〜17:00
(診療受付時間 8:30〜11:00)

ただし、急患はいつでも受診できます。

診療科目:総合医療センター(総合診療科、血液・膠原病内科、内分泌・代謝内科、腎臓内科、神経内科、呼吸器科)、心臓血管センター(循環器科、心臓血管外科)、消化器病センター(消化器科)、精神科、神経科、小児科、外科、小児外科、整形外科、脳神経外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、感覚器センター(眼科、耳鼻咽喉科)、気管食道科、リハビリテーション科、放射線科、麻酔科、歯科・口腔外科、救命救急センター、人間ドック、脳ドック