【第59号】 帯状疱疹の疼痛管理について 帯状疱疹で使うお薬 免疫力低下のときの食事 | くす通信 | 国立病院機構 熊本医療センター

【第59号】 帯状疱疹の疼痛管理について 帯状疱疹で使うお薬 免疫力低下のときの食事

* 帯状疱疹の疼痛管理について * 帯状疱疹で使うお薬 * 免疫力低下のときの食事

【帯状疱疹の疼痛管理について】

 帯状疱疹は、幼少期に罹った水疱瘡のウイルスが再び活性化して、水疱をともなう皮膚の発疹と同部の痛みを起こす病気です。神経の走行に一致して帯状に皮疹が出現するのでこの病名がつきました。ヘルペスともいいます。激しい痛みのために夜も眠れず、食欲もなくなり、気分もふさいで日常生活に支障をきたすことがあります。皮疹は抗ウイルス薬や創部の処置で次第に枯れてきますが、厄介なことに、帯状疱疹痛だけが後々まで残ることがあります。これを帯状疱疹後神経痛といいますが、時に非常に治りにくく、患者さまを永きにわたって苦しめることになります。痛みそのものがこの病気の本態なので積極的な除痛治療が必要ですが、消炎鎮痛薬はあまり効果がなく、別の方法を講じなければなりません。

 最近、帯状疱疹痛や帯状疱疹後神経痛に無効といわれていた麻薬性鎮痛薬が、実はけっこう効くことが分かってきました。リン酸コデインという薬です。モルヒネの10分の1くらいの強さの麻薬ですが、昔から咳止めの薬として抵抗なく使われており安全な薬です。当科でも10名近くの患者さまにリン酸コデインを投与してみましたが、神経ブロックと同等かそれ以上に有効な印象を得ました。

 従来、患者さまを入院させ、局所麻酔薬を用いた神経ブロック療法を連日行なうのが治療の主流でした。麻酔薬持続注入用の細いチューブを背中に留置すると入浴もできません。患者さまの日常生活を犠牲にして精力的に治療しても通常2~3ヶ月の入院生活を必要とするのが普通でした。それに比べてリン酸コデインは内服薬ですから入院の必要がなく、日常生活を普通に送ることが可能です。使用量は咳止め目的で処方される場合とさほど変わりません。副作用として、時に便秘、眠気、口渇きなどが出ますが軽くてすみます。麻薬に対する悪いイメージは杞憂です。痛みに応じて徐々に減らしていけば問題ありません。

 当科では今後、発症早期はもちろん、帯状疱疹後神経痛に長年悩まされている患者さまにもリン酸コデインを積極的に試みる価値があると考えています。

(麻酔科医師 田尻 晃彦)

【帯状疱疹で使うお薬】

 帯状疱疹ウイルスに感染すると、三叉神経領域に水疱が帯状に出現し、発熱や痛みが現れます。

 急性期には抗ウイルス薬(アシクロビル)の内服あるいは点滴を行います。重症の場合はガンマグロブリンの点滴をすることもあります。また、二次感染予防に抗生物質なども併用されます。

 帯状疱疹が治癒した後に神経痛が残ることがあります。痛みが強い場合は神経ブロックなどで痛みを除く必要があります。痛みが軽い場合は3環系抗うつ薬、ビタミン剤、非ステロイド系鎮痛剤の内服などで改善できます。皮膚の膿疱や潰瘍部には皮膚潰瘍治療薬(アクトシン軟膏)などを塗布します。

 日常生活で気を付けることは、発疹が出てから10日間位は特に安静に努め睡眠と栄養をとることが肝心です。水疱が破れてただれている間はお風呂は我慢して下さい。新しい水疱を破ったり、かさぶたをはがさないようしましょう。また、水疱部からの接触感染以外は、他の人に感染することはありません。

 発疹が出る場所や体調によつて病気の程度も変わりますから、医師の指示を守ってください。

(薬剤師 白木 善孝)

【免疫力低下のときの食事】

 帯状疱疹のウイルスは顔や体などの神経節に潜伏しており、体の免疫力が落ちたときに再び活動を引き起こします。疲労が蓄積してきたときは年齢に関係なく若い人でも免疫力が落ちてきます。夏は蒸し暑くて熟睡できないことがよくありますが、睡眠が足りないと疲労の回復が遅れ食欲不振が起きてきます。暑い夏には冷くあっさりした物など簡単な食事ですませることが多くなりがちです。食欲不振による栄養やエネルギー不足は、ますます体力を消耗し免疫力を低下させてしまいます。栄養バランスのよい食事摂取ができないと、常に体がだるく感じることになり、<気力の低下>も招いてしまいます。体力の消耗は精神面にも影響を及ぼすことにつながります。

 したがってウイルスに負けない免疫力を保つために<食事は基本>です。健康を維持するためにはまず朝・昼・夕の三食を規則正しく摂ることです。特に良質のタンパク質とビタミン類は不足しないように卵や乳製品、肉・魚類・緑黄色野菜など栄養価の高い素材を利用しましょう。また食欲の無いときには、料理をひと工夫して レモンや酢などの酸味・生姜・しそ等の香味野菜・少量のわさび・からし等の香辛料を上手に取り入れることをお勧めします。

(管理栄養士 南郷 有佳里)


診療科の特色

<麻酔科>

 麻酔科の外来は別名ペインクリニック科とも呼ばれ、痛みの治療を専門とする診療科です。他の診療科との基本姿勢の違いは、痛みそのものを病態の一つと捕らえ、痛みをとることを最大の治療と考えている点でありましょう。治療法の中心は神経ブロック療法といわれるものですが、必要に応じて薬物療法や、鍼などの東洋医学的療法も加えています。顔面神経麻痺や突発性難聴、ヘルペス痛、三叉神経痛、頭痛、腰下肢痛、癌の痛みなど、他科との連携を保ちつつ各種の痛みに対応しています。その他、合併症を持った患者さまや日帰り手術の患者さまが安心して手術を受けられるように麻酔相談も受けつけています。

診療時間 8:30~17:00
(診療受付時間 8:30~11:00)


ただし、急患はいつでも受診できます。



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