【第54号】 乳癌について 乳ガンの薬 癌を防ぐための食事 | くす通信 | 国立病院機構 熊本医療センター

【第54号】 乳癌について 乳ガンの薬 癌を防ぐための食事

【乳癌について】

乳癌は乳腺の中でも母乳が作られる小葉といわれる部分と母乳の通り道である乳管といわれる部分の細胞が癌化したものです。日本人の多くの乳癌は乳管の細胞が癌化した乳管癌です。癌は最初は乳管内にとどまっていますが(早期癌)、進行すると乳管の壁を越えて周りの組織に浸潤しリンパ管や血管の中にも入り込みます。こうなるとリンパ管からリンパ節へ、また血管から他の臓器(脳、肺、肝、骨など)へと転移していきます。乳癌の治療法には大きく分けて4つの治療法、(1)手術、(2)放射線療法(3)化学療法(抗癌剤)(4)ホルモン療法があります。病気の進行段階によって治療法が変わりますが、通常は手術を行い放射線または抗癌剤とホルモン療法の併用を行います。(1)手術には大きくわけて乳房温存手術(癌の周りを切り取り、乳房を残す方法)と乳房切除術(乳房をすべて摘出)の二つの方法があります。これらの二つの方法による術後の生存率に差はありません。(2)放射線療法は乳房温存後の残存乳房やリンパ節転移のあった腋の下、または遠くの転移部位(骨など)に行われています。(3)化学療法(抗癌剤)は通常ニ、三種類の抗癌剤を組み合わせて行います。対象はリンパ節転移のあった場合やすでに遠くに転位しているタイプの癌です。副作用は抗癌剤の種類によっても異なり白血球減少、脱毛、吐き気、口内炎、下痢などです。(4)ホルモン療法は乳癌のなかでも女性ホルモンの影響を受けて大きくなるタイプの癌に有効です。閉経前の場合は注射によって卵巣機能を抑えます。また閉経後の場合は経口の抗エストロゲン剤を使います。副作用は更年期障害と同様、うつ状態、肩こり、熱感などです。乳癌は多くの癌の中でも唯一自分で発見することのできる癌です。30歳を過ぎたら自己検診を行い「おかしいな」と感じたら専門医を受診することをお勧めします。

(外科医長 山下 眞一)

【乳ガンの薬】

 乳ガンの治療は乳房の形を残す「乳房温存術」(手術と放射線治療)と「全身治療」(化学療法とホルモン療法)が標準治療として確立されています。
 乳ガンの進行は穏やかでありますが、手術や化学療法を行った後に再発防止を目的にした薬物治療にホルモン療法があります。現在よく使われているホルモン療法剤としてノルバデックス、フェアストン、アフェマ、アリミデックスがあります。女性ホルモンの1つであるエストロゲンにより乳ガンの細胞増殖が促されることがあります。ノルバデックスとフェアストンはエストロゲンが働くための鍵穴(受容体)をふさぐことで、アフェマとアリミデックスはエストロゲンが生成されるのを阻止することで乳ガンの細胞が増えるのを抑えます。
 このようなホルモン剤のほとんどは、通常1日1〜2回に分けて内服します。数年間、内服せねばならないお薬です。朝1回のお薬は、のみ忘れに気づいたら昼でも夕でもいいので内服して下さい。
 いずれも副作用は軽微であり、安全性に優れたお薬です。しかし無月経や不正性器出血が起こりうることがありますので注意して下さい。また、子宮内膜の増殖などの症状との因果関係が示唆されていますので、婦人科を定期的に受診することが望ましいと思われます。

(薬剤科 小薮真紀子)

【癌を防ぐための食事】

 栄養、食生活との関連が深いとされている癌には、大腸癌、胃癌、乳癌などがあります。癌を防ぐための食事としては次のことがあげられます。(1)いろどり豊かな食卓にして−天然の食品のなかでも突然変異を起こす物質と、反対に抑える物質をもっている食品があります。できるだけ多くの種類の食品を摂り食物中の発癌物質の作用を相殺していくことが大切です。(2)おいしい物も適量に−食べ過ぎの中でも問題とされるのは脂肪の量です。脂肪の摂り過ぎは乳癌、大腸癌、前立腺癌の発生に関連があると指摘されています。(3)緑黄色野菜をたっぷりと−ビタミン類や繊維質は発癌を防ぐはたらきがあることが知られています。(4)塩辛いものは少なめに−塩分を多くとる地方では胃癌の発生率が高いといわれています。(5)あまり熱いものはさましてから−熱い茶がゆを食べる習慣の地域に食道癌が多いといわれています。(6)焦げた部分は少なめに−あまり気にすることはありませんが沢山食べるのはさけた方がよいでしょう。(7)かびが生えていないか注意して−ある種のチーズのように意図的にかびを用いた食品については発癌の心配はありません。(8)お酒は健康的に楽しみましょう(9)たばこは吸わないようになどです。あなたの栄養と食生活をもう一度見直してみましょう。

(管理栄養上 浅井 和子)


診療の特色

<外科>

外科では内分泌(乳腺・甲状腺)、呼吸器(肺、縦隔)、消化器(食道、胃、小腸、大腸、肝、胆、膵)およびヘルニアなど多岐にわたって診療を行っています。当院では熊本県下で最も早く腹腔鏡(カメラ)を使った胆嚢摘出術を導入した実績からほとんどすべての疾患に対し鏡視下手術が可能であり、またこれを用いた日帰り手術も多くなっています。乳腺外科においても同様で、良性腫瘍に対する鏡視下手術を行っています。外来は月から金までの午前中に乳腺エコー、マンモグラフィー(レントゲン)、さらに針生検による確定診断を行っています。

診療時間 8:30〜17:00
(診療受付時間 8:30〜11:00)

ただし、急患はいつでも受診できます。

診療科目:総合医療センター(総合診療科、血液・膠原病内科、内分泌・代謝内科、腎臓内科、神経内科、呼吸器科)、心臓血管センター(循環器科、心臓血管外科)、消化器病センター(消化器科)、精神科、神経科、小児科、外科、小児外科、整形外科、脳神経外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、感覚器センター(眼科、耳鼻咽喉科)、気管食道科、リハビリテーション科、放射線科、麻酔科、歯科・口腔外科、救命救急センター、人間ドック、脳ドック