【第53号】 日常よくみる貧血 貧血とくすり 鉄欠乏性貧血と食事 | くす通信 | 国立病院機構 熊本医療センター

【第53号】 日常よくみる貧血 貧血とくすり 鉄欠乏性貧血と食事

【日常よく見る貧血】

 貧血の症状と言えば心悸亢進、息切れ、頻脈、全身症状として微熱があることもあります。皮膚は蒼白、消化管の症状として食欲不振、吐き気なども見られることがあります。
 このような症状がある場合まず近くのかかりつけのお医者さんで検査をしてもらいましょう。眼の結膜を診るだけでも貧血のあるなしはわかりますし採血で実際どの程度の貧血かはすぐにわかります。
 貧血と診断されればどのような貧血か次は我々血液専門医の出番です。今回は貧血の中でもよく見られる鉄欠乏性貧血についてお話しします。貧血といえばまず誰もが頭に浮かべるのが鉄欠乏性貧血ではないでしょうか。体内の鉄分が不足することから起こってきますがその原因は幾つか考えられます。(1)単なる摂取不足:最近では偏食や無理なダイエットから鉄分の摂取不足が多く見受けられます。(2)鉄の吸収障害:消化器に異常がある場合(胃酸分泌の低下、胃切除後など)には鉄の吸収が悪くなり鉄欠乏となります。また、珍しいところでは大量の緑茶を飲むような人に鉄欠乏性貧血が認められたこともあります。(3)鉄需要の増大:成長が急激に進む思春期などに鉄欠乏が起こることがあります。また、妊娠、分娩、授乳などにおいても鉄需要が増大します。(4)鉄排泄の増加:月経過多や病的出血(消化管や性器出血)など。このように単に鉄欠乏性貧血と言っても原因が様々ですので貧血があるから鉄剤を飲んだだけでは十分な治療をしたとはいえません。必ず消化管(胃、十二指腸、大腸)の精査や女性であれば婦人科領域の精査などその原因を調べ根本的に治療をすることが重要です。治療は原因があるならばその治療と鉄剤の内服です。内服できない人には注射で治療します。注射の場合は鉄過剰になることがあるのでできるだけ内服をおすすめします。

(血液内科医師 長倉 祥一)

【貧血とくすり】

 血液疾患は、病態により多種に分類されますが、身近で治療頻度が高いのが、貧血です。その中でも鉄欠乏性の貧血が最も多くみられます。

鉄欠乏性貧血
 基本的に経口鉄剤を服用します。内服困難の場合には非経口鉄剤(静脈注射)により不足鉄量の補充を行います。
 内服薬には、硫酸鉄(フェロ・グラデュメット)、クエン酸第一鉄(フェロミア)等があり、後者は鉄剤特有の胃腸障害が少なくお茶や食事の影響を受けにくい新しいタイプのお薬です。鉄剤は、内服により傾が黒くなりますが、薬剤の色なので心配いりません。
 また、貧血改善後も、体内に蓄えている貯蔵鉄補充のためにさらに3〜6ケ月内服を継続することが大切です。血液検査に基づいた医師の管理のもとでの治療を守りましょう。

巨赤芽球性貧血
ビタミンB12あるいは葉酸欠乏により発症します。検査により、B12欠乏の原因を明らかにして、B12注射剤(メチコバール注)の筋肉注射を定期的に行うことで、外来での治療が出来ます。葉酸欠乏の多くは食事性であり、食事の改善及び内服の葉酸製剤で治療します。

再生不良性貧血
免疫抑制療法が主流であり、状況によっては、骨髄移植や造血幹細胞移植も考慮されます。免疫抑制療法では、抗胸腺細胞グロブリン(ATG)とシクロスポリンの併用が主流です。
以上主な貧血について述べましたが、この他の血液疾患でも、貧血を呈する場合が多く、日常で気になる貧血がありましたら、気軽にお尋ね下さい。

(薬剤師 廣瀬 仁美)

【鉄欠乏性貧血と食事】

 鉄欠乏性貧血は、鉄の摂取量が少ないか、需要が増えた時に起こります。摂取量が少ないのは、極端な偏食やダイエットをしたり、鉄の吸収がうまくいかない時です。需要が増えるのは成長期や妊娠、出産、授乳期、また月経過多や潰瘍からの出血なども原因となります。
 食事に関しては、まずは、バランス良くきちんと 3食食べることが必須です。そのうえで鉄の補給をしてあげることが重要になります。
 積極的に食べてもらいたいヘム鉄を多く含んでいるものには、レバーや肉、魚などがあり、また、ひじきや小松菜、大豆などに含まれる非ヘム鉄はビタミンCと一緒に摂って吸収の良い形にしてあげるとよいでしょう。また、胃酸の分泌を高めて鉄の吸収をよくさせるために、柑橘類や酢の物なども積極的に食べることをおすすめします。
 また、コーヒーや紅茶、緑茶に含まれるタンニンは鉄の吸収を妨げるので、食後はほうじ茶やウ一口ン茶を飲みましょう。
 なお、レバーなど食べにくい時には臭みを取るために香辛料や香味野菜を利用し、調理の工夫をしてみてはいかがでしようか?

(管理栄養士 佐藤友美)


診療の特色

<血液内科>

当科では主に血液免疫疾患を診ています。血液疾患としては貧血(鉄欠乏性貧血、悪性貧血、再生不良性貧血)、血小板減少症(特発性血小板減少性紫斑病)、血液悪性腫瘍(悪性リンパ腫、白血病)などを専門にしています。特に血液悪性腫瘍における造血幹細胞移植に関しては熊本県下では当院で、ほとんど取り扱っています。免疫疾患としては自己免疫疾患として知られる膠原病(慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、皮膚筋炎など)を主に外来で診ています。

診療時間 8:30〜17:00
(診療受付時間 8:30〜11:00)

ただし、急患はいつでも受診できます。

診療科目:総合医療センター(総合診療科、血液・膠原病内科、内分泌・代謝内科、腎臓内科、神経内科、呼吸器科)、心臓血管センター(循環器科、心臓血管外科)、消化器病センター(消化器科)、精神科、神経科、小児科、外科、小児外科、整形外科、脳神経外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、感覚器センター(眼科、耳鼻咽喉科)、気管食道科、リハビリテーション科、放射線科、麻酔科、歯科・口腔外科、救命救急センター、人間ドック、脳ドック