【第51号 】 慢性の咳について 咳止め(鎮咳剤)の種類 咳・痰がでる時の食事について | くす通信 | 国立病院機構 熊本医療センター

【第51号 】 慢性の咳について 咳止め(鎮咳剤)の種類 咳・痰がでる時の食事について

【慢性の咳について】

 咳は痰とともに呼吸器の病気の代表的な症状です。風邪をひくと必ずといっていいほど咳が出ますが、1〜2週間程度で治ってしまい、3週間以上続くことはありません。
 この場合の咳を急性の咳といい、急性気管支炎や肺炎などでもみられ、咳止めや抗生物質の投与で短期間のうちに軽くなり治ってしまいます。これに対して3週間以上に亘ってみられる咳を慢性の咳と呼んでいます。
呼吸器科の外来を訪れる患者さんの中にはこの慢性の咳を心配され「咳が3ケ月も続いているけれども自分は肺癌や結核ではないだろうか?」とか「去年から咳が出ているけれども何が原因だろうか?」と訴えられる方が結構おられます。
 慢性の咳は、肺癌や結核以外にも多くの病気によって起こり、その原因としてはぜんそく、咳ぜんそく、アトピー性咳、風邪に引き続く慢性の咳、副鼻腔炎(蓄膿)、ある種の血圧の薬(ACE阻害剤)の副作用、逆流性食道炎などがあり、その咳の多くは痰の出ない空咳です。
 最近外来でよくみるのが、アレルギーやアトピー体質を持つ人にみられる咳ぜんそくとアトピー性咳です。これはぜんそくのようにゼーゼーいうこともなく、肺の聴診にも異常を認めませんが、アレルギーにより気管支の表面が荒れて外気に対して敏感となって咳がでてくる病気で、吸入薬が有効です。
 鼻汁が喉を流れる状態は後鼻漏といって副鼻腔炎の症状ですから、咳とともに後鼻漏を自覚する方であれば耳鼻科で副鼻腔炎の治療を受けると咳は止まります。
 またACE阻害剤という高血圧の薬を飲んでいる方では、その薬の副作用による咳の可能性が強いので、他の血圧の薬に代えると、約1週間程度で咳が止まってきます。
 咳とともに胸やけがある方では酸度の強い胃液の食道への逆流によって食道炎を起こし、これが原因で咳が出ている可能性がありますので、胃液の分泌を抑制するような胃薬を服用することによって咳が止まってきます。また胸のレントゲンフイルムに異常がないからといって咳の原因が肺癌や結核でないとは言い切れません。気管支におこる癌や結核であれば胸部レントゲンは正常です。前述した治療が無効ならば、気管支結核や、また50歳以上のタバコを吸う方では肺癌の可能性を否定できませんので、痰の検査や気管支のカメラなどを行いさらに検査を進めてゆくことが必要でしょう。

(総合医療センター 呼吸器科医長 島田達也)

【咳どめ(鎮咳剤)の種類】

 鎮咳剤には脳の咳中枢(咳が出るように指令する所)の抑制に働く中枢性鎮咳剤と気管支等が過敏な状態になっているのをやわらげる末梢性鎮咳剤とに分けられます。気道分泌物の多い場合に中枢性鎮咳剤を使用すると分泌物の排出を妨げ、かえって治るのが遅くなることがあります。
 中枢性鎮咳剤は痰などがからまない乾性の咳や、咳がひどすぎて体力を消耗するような場合や、気道に出血・潰瘍・創傷などがあって、咳によって病態が悪化する恐れのある場合などに適しています。
 末梢性鎮咳剤は気道の分泌物が多い気管支炎や肺炎、とくに気管支喘息に使用されます。
 家庭で注意することは、重症の咳ではかなり体力を消耗するので、安静や保温を保ち、清潔な空気を加湿し、室温も朝夕あまり差がないようにします。禁煙はもちろんのことです。また、痰の排出を促すため水分を頻回に摂り、体位変換、背中・胸部を軽くたたくなどを行ないます。

〔主な中枢性鎮咳剤〕 
麻薬性:リン酸コデイン等
非麻薬性:臭化水素酸デキストロメトルファン(メジコン)、ヒベンズ酸チぺピジン(アスベリン)、リン酸ベンプロペリン(フラベリック)、塩酸クロフェダノール(コルドリン)、塩酸ホミノベン(ノレプタン)等
生薬系鎮咳去痰剤:シャゼンソウエキス(フスタギン)、桜皮エキス(ブロチン)、セネガ(セネガ根・末)等

〔主な末梢性鎮咳剤〕
メチルエフェドリン(メチエフ)、クロルプレナリン(アストーン)、テオフィリン(テオドール)、麦門冬湯等

(薬剤科 島 眞一郎)

【咳・疲がでる時の食事について】

 咳によるエネルギー消耗は、相当に強いものです。(咳がでる時の呼吸筋の消費エネルギーは、1回の咳で約2キロカロリーと言われています。)
咳・痰がでる時の食事は、良質のたんぱく質(卵・自身の魚等)を十分にとるようにしましょう。この場合、度にたくさん食べないで回数で補うように少量ずつ食べるのもよいでしょう。
 また、おなかにガスがたまると横隔膜を刺激して咳を起こす原因になると言われています。咳が続く時は、おなかで発酵しやすい麦・ねぎ・ごぼう等繊維の多い野菜や、いも類、かんてん等の海草、きのこ類は、避けた方がよいでしょう。
 また、痰が多量にでるような時にはたんぱく質とともに水分も多く失われています。からだに水分が足りなくなると痰が、粘っこくなって、出にくくなります。水分摂取も重要です。
 カテキン(活性酸素を生成し、ウイルスを撃退する効果がある)を多く含む緑茶、その他の水分としては、スープ、ミルク、スポーツ飲料など見た目や味を変化させ十分に水分の補給につとめましょう。

(栄養管理室 多田玲子)


診療の特色

<総合医療センター(呼吸器科)>

月曜日から金曜日まで毎日外来診療があり、火曜日が高橋先生、金曜日が一木先生、月・水・木曜日は島田が担当しています。
多岐に亘る呼吸器の病気に対してレントゲン、高分解能CT、呼吸機能検査、痰検査、気管支フアイバースコープなどを駆使し、正確かつ迅速な診断に努め、それを的確な治療に結びつけたいという熱意をもって日々の診療に勤しんでいます。
呼吸器系救急疾患をはじめ救急医療の責任者である高橋先生、肺腫瘍に造詣の深い一木先生とともに、気管支喘息発作、急性および慢性呼吸不全、肺腫瘍など重症の呼吸器疾患の患者さんにも対応できるよう診療体制を整えています。

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(診療受付時間 8:30〜11:00)

ただし、急患はいつでも受診できます。

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