【第50号 】 虚血性心疾患(狭心症) 狭心症とくすり 心臓病と食事 | くす通信 | 国立病院機構 熊本医療センター

【第50号 】 虚血性心疾患(狭心症) 狭心症とくすり 心臓病と食事

【虚血性心疾患(狭心症)】

 心臓は筋肉の収縮により血液を受け取り、送り出し、体の組織に栄養を与え、老廃物を運び去るいわばポンプの役割を果たしています。心臓は一生の間休むことなく何十億回も収縮を繰り返すため、心臓の筋肉自身にも常に血液が供給されていないと心筋が低酸素状態に陥り、胸痛が生じます。これを狭心症といい、原因として、心臓を栄養している動脈に動脈硬化が生じ、血管が狭くなって起こる(冠動脈硬化性狭心症)と呼ばれるものと動脈硬化はあまり進行していないにも関わらず一過性に血管に痙攣を生じ血液の流れが減少して起こる(冠攣縮性狭心症)と呼ばれるものがあります。
 狭心症の症状は階段の昇りや急いで歩いた時など運動中に文字通り胸が締め付けられる感じが生じる場合が多いですが、場合によっては夜半や早朝の安静時に生じることもあり、精神的に興奮した時や、喫煙時に生じたりすることもあります。ただし狭心症の症状は多彩であり、胸の前や胃のあたりが圧迫されたり、のどがもやもやしたり、左肩がこったりするような症状が生じる場合もあります。
 狭心症の診断は上記の症状が存在し発作前後の心電図に変化を認めれば可能ですが、中には心電図変化がはっきりしない場合もあり、また症状が無い時には運動不可心電図検査や携帯型の24時間記録型心電図検査を行います。ただしこういった外来での検査ではっきり異常を認めないものもあり、診断を確定する目的で、また狭心症が疑わしい場合は最も有効な治療方針を決定する目的で、入院した上で心臓カテーテル検査を行います。これは検査入院であれば3日間でも可能であり、検査方法も進歩しているため非常に安全に苦痛も少なく行えるようになっています。
 治療としては発作が生じたときにはニトロ製剤の舌下錠が有効であり、逆にこの薬剤が有効な場合は狭心症が強く疑われます。発作の予防としては狭心症薬の内服、心臓を栄養する血管の狭窄部を小さな風船付きのカテーテルにより拡張したり、ステントと呼ばれる金具を血管に留置する方法、心臓のバイパス手術などの方法があります。

(循環器科医師 梶原 一郎)

【狭心症とくすり】

 狭心症の治療薬には、硝酸薬、カルシウム拮抗薬、β遮断薬、その他の冠血管拡張薬、抗凝血薬などがあります。
硝酸薬「商品名:ニトロペン、アイトール、 ニトロダームTTS、ミオコールスプレーなど」冠動脈や末梢の血管を拡張させて、心筋の虚血状態(血液酸素不足)を改善します。発作を起こしたときはこのお薬を舌下又は口の中にスプレーします。剤形によって、効果の持続時間が違いますので医師の指示に従って服用して下さい。
カルシウム拮抗薬「商品名:アグラートCR、ノルバスク、ヘルベッサーRなど」主に冠動脈の収縮を抑えて、緊張を和らげて冠動脈の血流を改善します。カルシウム拮抗薬にもいろいろな種類があり、副作用(はてり、めまいなど)もそれぞれ異なります。また、発作予防の為にも決められた時間に服用してください。
β遮断薬「商品名:テノーミン、セロケン、メインテートなど」心臓の拍動や収縮を抑えて、心筋の酸素需要を減少させて、心筋の虚血状態を改善します。β遮断薬の中には、1日3回、1日1回服用するものなどいろいろあります。
その他 血の固まりができるのを防ぐ薬(ワーフアリン)、心臓の抵抗力を高める薬(ジゴシン)、血液の流れを改善する薬(パナルジン)などがあります。また、急に薬をやめると良くない場合もあるので、勝手に判断しないで正しく服用して下さい。
 狭心症の治療は病型、重症度、年齢、合併症などにより、どの薬を使うか、或るいは併用するのかによって違ってきますので、医師の指示に従って正しく服用してください。

(薬剤師 小早川 高徳)

【心臓病と食事】

 食生活の洋風化とともに虚血性心疾患である狭心症や心筋梗塞が増加の傾向にあるといわれています。虚血性心疾患のおもな原因となる冠状動脈硬化を促進させる因子としては高血圧、高脂血症、糖尿病、肥満などがあります。したがって心臓病の食事療法はこれらの因子を除き、その促進を抑えるための食事ということになります。
 心臓病を予防し、治療するためには次のことに注意しましょう。(1)バランスのとれた食事を(2)太り過ぎの人は減量を(3)コレステロールの多い食品を摂り過ぎないように(4)動物性脂肪は控えめに(5)塩分を控えましょう(6)野菜や果物を十分に(7)穀物、甘いもの、アルコール飲料の摂り過ぎに注意など特に野菜を十分にとることは血圧の上昇を抑え、動脈硬化を防ぐうえでも大切です。
 減塩食の工夫としては、(1)新鮮な材料を使用する(2)酸味を利用する(3)香辛料や香味野菜を利用する(4)焼き味、香ばしさを利用する(5)昆布かつおなど出しを利かせる(6)砂糖を控える(7)醤油やソースを直接料理にかけるのは止めるなどがあります。薄味に慣れてくれば食品の持つ自然の味がわかってきて新しい味の発見の楽しさがあります。

(栄養管理室 管理栄養士 浅井 和子)


診療の特色

<心臓血管センター(循環器科)>

外来診察は月曜日から金曜日まで毎日行っており、宮城、藤本、宮尾、小江、梶原の5人の循環器内科医が交代で診察にあたっています。
診療内容としては虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞症)、心不全、心臓弁膜症、心筋症、不整脈、血管疾患(動脈瘤や閉塞性動脈硬化症など)および高血圧など循環器病疾患全般を幅広く扱っています。
その中でも特に虚血性心疾患は食生活の欧米化や運動不足、ストレス、高齢化の進行により増加傾向にあります。我々の循環器科にも非常に多くの虚血性心疾患の患者様が受診され、病気の状況によっては緊急な対応、処置が必要な事も多く、24時間緊急に対応がとれる体制をとっております。

診療時間 8:30〜17:00
(診療受付時間 8:30〜11:00)

ただし、急患はいつでも受診できます。

診療科目:総合医療センター(総合診療科、血液・膠原病内科、内分泌・代謝内科、腎臓内科、神経内科、呼吸器科)、心臓血管センター(循環器科、心臓血管外科)、消化器病センター(消化器科)、精神科、神経科、小児科、外科、小児外科、整形外科、脳神経外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、感覚器センター(眼科、耳鼻咽喉科)、気管食道科、リハビリテーション科、放射線科、麻酔科、歯科・口腔外科、救命救急センター、人間ドック、脳ドック