【第212号】尿路結石と感染症、結石の手術療法 | くす通信 | 国立病院機構 熊本医療センター

【第212号】尿路結石と感染症、結石の手術療法

くす通信

尿路結石と感染症、結石の手術療法

 【尿路結石と感染症】


図1
 尿の通り道に石ができることをご存知でしょうか。腎臓結石や尿管結石あるいは膀胱結石という病気であり、実際発症されたことがある方もおられるかと思います。尿は血液中の老廃物や過剰な水分が腎臓で濾しだされたもので、腎盂、尿管、膀胱を経由し尿道から体外に排泄されます。(図1)水分が少ないと尿中に溶けたカルシウムやリンなどの老廃物が結晶化し、これが石になってしまいます。そのため汗をかいて尿が濃ゆくなる夏から秋にかけて発症することが多いようです。(水分摂取が予防にも繋がります!)

参照:株式会社メディコン
「尿管ステントについて」の図


 腎臓で出来た、ほんの数mmの石でも、尿管に詰まった時には何の前触れもなく腰や脇腹の激痛が起こります。「痛みの王様(king of pain)」とも云われており、泌尿器科の救急疾患では最も多い病気です。30年前には日本人の約30人に1人が生涯に尿管結石を経験すると云われていました。しかし食生活の変化により、近年では男性が7人に1人、女性は15人に1人に結石ができるといわれています。再発率も問題であり一度結石になった人の半数が再発します。比較的身近な病気ですので、明日は我が身かもしれません。

 さらに、結石が問題になるのは痛みだけではありません。石が尿管を降りていく過程で尿路感染を合併してしまうと、重篤な状態になってしまうことがあります。
 そもそも尿管結石は石が尿管に詰まって尿が流れにくくなることで、尿管が腫れあがり腎臓に圧がかかるため起こります。(この状態を水腎症といいます。)そこに細菌が入り込むと、石で出口がふさがれている状態なので、細菌が増えるのに最適な環境となってしまい、その結果「(結石性)腎盂腎炎」を引き起こし、さらに腎臓から血液を伝って細菌が全身に広がってしまう「敗血症」という状態になることが少なくありません。場合によっては命を落としてしまうこともあります。



図2
 尿路結石に尿路感染を合併した場合、まずは増えた細菌を体外に出すための処置(ドレナージ)を行います。石の横を通して腎臓から膀胱にかけてチューブを通す「尿管ステント留置」(図1)や、背中に穴を開けて直接腎臓にチューブを通す「腎瘻造設」(図2)といった処置があります。そして抗生物質や水分の点滴により感染症の治療を行います。その後、改めて石に対する治療を行います。

Boston Scientific 「内視鏡を用いた尿路結石症の治療方法」 の画像を一部加工


 尿路感染を合併しない10mm以下の結石であれば50~70%は自然に排石する可能性がありますが、1か月以上排石しない石や尿路感染を治療した後の石は、内視鏡カメラによるレーザー砕石術(TUL、PNL)や結石破砕装置(ESWL)などによる治療が適応となります。当科には 石採り名人 といわれる医師が数名在籍しています。

(泌尿器科医師 銘苅 晋吾)

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 【結石の手術療法】

 尿路結石に対する治療として下記のような治療があります。
 結石の状態によってはTULとPNLを組み合わせた治療も行っています。

ESWL(体外衝撃波腎尿管結石破砕術)

 ESWLとは体外で発生させた衝撃波で結石を細かく砕く治療です。砕いた石は尿と一緒に自然に出るのを待ちます。10mm以下の結石では第一選択で、治療は無麻酔で行うため外来通院での治療が可能で、最も普及している手術です。しかし結石の大きさや硬さ次第では複数回の治療や他の治療への変更が必要となることもあります。

TUL(経尿道的尿路結石砕石術)

 TULとは内視鏡で直接結石を観察しながら砕石し、体外に取り出す手術です。当科ではホルミウムレーザーという最新の医療用レーザーを用いて治療を行っています。数日間の入院は必要となりますが、硬い石でも破砕が可能で効率的に結石を摘出することができます。

Boston Scientific 「内視鏡を用いた尿路結石症の治療方法」 の画像を一部加工


PNL(経皮的腎結石砕石術)

 PNLとは脇腹から皮膚を通して腎臓に直接内視鏡を挿入し、医療用ドリルで石を破砕して取り出す手術です。20mm以上の大きな結石で最も力を発揮します。最近超音波で石を砂状に破砕して体外に吸い出すことのできる最先端の装置が登場し、当科でも導入しています。PNLは結石治療の中では侵襲の高い治療ですが、比較的安全に行うことが可能です。

Boston Scientific 「内視鏡を用いた尿路結石症の治療方法」 の画像を一部加工


 無症状でも早めの治療が望ましい結石もありますので、治療方法や適応につきましてはお気軽に泌尿器科にご相談ください。


(泌尿器科医師 銘苅 晋吾)


診療科の特色

<泌尿器科>


密封小線源治療
(ブラキセラピー)

 当院の泌尿器科で取り扱う病気としては、尿潜血精査から尿路・性器悪性腫瘍、尿失禁・下部尿路機能障害、男性不妊症、小児泌尿器科まで泌尿器科全般の治療を行っています。特に尿路性器悪性腫瘍(腎臓癌、腎盂・尿管癌、膀胱癌、前立腺癌、精巣癌)の治療に力を入れており、膀胱癌の治療においては現在までに約400例の膀胱全摘術を実施しており、症例数としては国内トップレベルです。
 また近年増加の著しい前立腺癌に対しては、平成26年3月より放射線科の協力のもと、密封小線源治療(ブラキセラピー)を週1例のペースで開始し、現在までに約200例の患者さまが治療を受けられました。


グリーンライトレーザーによる
経尿道的前立腺蒸散術(PVP)
 良性疾患においても、前立腺肥大症に対してグリーンライトレーザーによる経尿道的前立腺蒸散術(PVP)、尿管結石症に対してホルミウムレーザーによる内視鏡治療などその他にも数多くの手術を行っています。(平成29年度総手術件数622件)また当院の特徴として泌尿器科救急疾患(尿路外傷、重症尿路感染症等)にも全て対応しています。
 泌尿器科は現在常勤医師6名、非常勤医師1名の計7名で診療しております。お困りのことがあればお気軽にご相談ください。



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