【第206号】「ギラン・バレー症候群」について、「ギラン・バレー症候群の検査」について | くす通信 | 国立病院機構 熊本医療センター

【第206号】「ギラン・バレー症候群」について、「ギラン・バレー症候群の検査」について

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「ギラン・バレー症候群」について、「ギラン・バレー症候群の検査」について

 【「ギラン・バレー症候群」について】

 ギラン・バレー症候群は、複数の末梢神経が障害される病気です。神経は中枢神経(脳、脊髄)とそこから分かれた末梢神経に分類されます。末梢神経は運動神経、感覚神経、自律神経からなります。 この末梢神経が障害されると脱力、しびれ感などが現れてきます。わが国では人口10万人当たり1~2人程が発症すると推測されていて、男性にやや多く、子供からお年寄りまでどの年齢層の方でもかかることがあります。


 6~7割の患者さまが細菌・ウイルスなどによる感冒や下痢などの感染症の後、1~3週間で「力が入らない」、「しびれる」といった症状で発症します。その後1~2週間で症状は急速に進行し、足全体や腕にもおよび、歩行できない、階段を昇れないといった状態に至ることがあります。患者さまによっては飲み込みにくい、声が出にくい、物が二重に見える、呼吸が苦しいなどの症状も起こることもあり、時には人工呼吸器が必要となることもあります。症状の悪化は4週間以内で止まり、その後は改善していく傾向がみられ、3か月~1年で徐々に回復します。治療を行っても1%の方がお亡くなりになり、20%の患者さまに障害が残ります。また再発は2~5%と報告されています。


 原因として、病原体から体を守るために産生されたたんぱく質(抗体)が、誤って自分の末梢神経を攻撃してしまうために発病すると考えられています。感染が誘因でないことが多いですが、ごくまれに医薬品によっても同様の症状が現れることがあります。原因医薬品としてはインフルエンザ、肺炎球菌、ポリオなどのワクチンや肝炎治療などに使用されるインターフェロン製剤、抗がん剤などが知られています。

 診断のために、神経学的診察、血液検査、髄液検査、さらに末梢神経の障害を調べるための神経伝導検査といった検査を行います。症状が軽い場合は自然に回復することもありますが、多くの場合は入院して治療を行います。治療としては、免疫グロブリン静注療法や血液浄化療法、リハビリテーションを行います。

 ギラン・バレー症候群は重症化することのある病気です。風邪や下痢などの後から力が入りにくい、しびれる、飲み込みにくいといった症状が出現してきたときには、そのままにしておかず、早めに病院を受診していただくことが重要です。

(神経内科医長 西 晋輔)

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 【「ギラン・バレー症候群の検査」について】

 ギラン・バレー症候群の診断の補助として、①髄液検査、②神経伝導速度検査、③血液検査、④細菌検査があります。

① 髄液検査
 髄液検査とは腰から長い針を刺して髄液(脳脊髄液)を採取してタンパク質や糖、細胞数などを調べる検査です。ギラン・バレー症候群では、髄液におけるタンパク質の値が高値なため、髄液検査にてタンパク質の値を確認します。また、タンパク質の値が高値であるのに対し細胞数の増加を認められない特徴もあります(タンパク細胞解離)。


② 神経伝達速度検査
 神経伝達速度検査とは筋電図検査の1つです。筋電図検査とは、筋繊維の電気活動を調べる検査です。ギラン・バレー症候群における神経伝導速度検査では、末梢神経に電気刺激を与え、伝達速度を測定することで、末梢神経の状態を確認します。この検査において、筋肉の動きが鈍い、速度が遅いようであれば、どこかの神経が障害されている可能性があります。しかし神経伝導速度検査の所見は経時的に変化するため2~4週後に再度検査を行う方がよいと言われています。


③ 血液・免疫学的検査
 血液検査では、ギラン・バレー症候群の方に多くみられる抗ガングリオシド抗体(抗糖脂質抗体)の上昇が認められます。また、血清中の抗サイトメガロウイルス・EBウイルス・マイコプラズマ抗体が上昇したりすることがあります。発熱や風邪、下痢などの症状(先行感染の症状)がはっきりしない場合に特に有用な検査です。


④ 細菌検査
 下痢などの先行感染でみられる病原体では、キャンピロバクター菌(Campylobacter jejuni)が最も多く、糞便の培養で検出されることがあります。


 ただし、これらの検査で異常が指摘されたとしても、異常=病気がある(ギラン・バレー症候群)と考えないようにしましょう。検査結果については先生とよく話し合いをすることが大切です。

(臨床検査科 浦上貴史)


診療科の特色

<神経内科>

 神経内科は、脳、脊髄、末梢神経、骨格筋が障害される病気を診断・治療する診療科です。精神科や心療内科と混同しないようにしてください。もし運動障害(筋力低下、不随意運動、けいれん)、感覚障害(しびれ等)、歩行障害、頭痛、めまい等ありましたら当科の受診をお勧めします。
 具体的な病気としては、脳の血管が急に閉塞して顔・手足のまひや言語障害などを生じる脳梗塞が最も多く、当院では脳梗塞急性期における治療として、当科にてtPA静注療法を行い、脳神経外科では血管内治療を行っております。
 その他にパーキンソン病、多発性硬化症、重症筋無力症、多発筋炎などの神経難病、頭痛、てんかんなどの機能性疾患を診察しています。



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