【第199号】「高血圧の診断と検査」について、「血液浄化センター」について | くす通信 | 国立病院機構 熊本医療センター

【第199号】「高血圧の診断と検査」について、「血液浄化センター」について

くす通信

「高血圧の診断と検査」について、「血液浄化センター」について

腎臓内科より

 【「高血圧の診断と検査」について】

4,300万人!
何の数字か分かりますか?

この数は、日本における高血圧患者さんの推定数です。
健康診断やドックでみつかることが多いと思いますが、肩こりや頭痛で偶然血圧を測定してわかることもあります。実は高血圧患者さんはとても多いのです。この高血圧で、かかりつけ医から高血圧専門医・腎臓専門医を紹介された皆さんも多いと思います。けれども、『‘減塩・減量・運動’でだめなら‘お薬’を飲めばいいんでしょ?なんでわざわざ病院に紹介なの?』とお考えではないでしょうか?そこには深い理由があるのです。


1)なぜ高血圧になるのでしょうか?

 高血圧には明確に原因がある場合とそうでない場合があります。高血圧の9割以上は後者で本態性高血圧と呼ばれます。もっとも、高血圧のラットに健康なラットの腎臓を移植すると血圧が正常化すること、逆に健康なラットに高血圧のラットの腎を移植すると高血圧になってしまうこと、本態性高血圧で腎不全に至った患者さんに腎移植をすると血圧が正常化することが知られており、本態性高血圧の原因は腎臓に局在することは間違いないようで、現在その詳しいメカニズムが精力的に研究されています。

 では明確に原因がある場合とは、どういったものでしょうか。それは二次性高血圧とよばれ、以下のような場合が考えられます。

① 腎臓そのものが悪い“(CKDなど)”
(血尿・蛋白尿、腎臓の機能低下)
② 腎臓の動脈が狭い
③ 血圧に関与するホルモンの異常
④ 大きな血管の炎症・奇形
⑤ 特殊な脳・神経の圧迫状態
⑥ 遺伝性
⑦ 薬剤の影響
⑧ 妊娠など女性に特有のもの、等です。

 この二次性高血圧は原因に応じた治療を行うことができるため、高血圧の原因を調べることはとても意味があるのです。
 困ったことに、二次性高血圧は検査しなければわかりません。一般的な採血・検尿に加えホルモン値、血管のエコー検査や場合によってはCT・MRIが必要となるわけです。

2)血圧をみるだけでよいのでしょうか?

 高血圧は知らないうちに臓器をむしばんでいきます。例えば高血圧が原因で透析に至ってしまう患者さんは透析導入の10%を超えています。脳卒中や心筋梗塞を引き起こすことも有名ですね。代表的な臓器として、腎臓、心臓、血管、脳そして目があげられます。心電図・心臓エコー検査、動脈硬化の検査、MRIをはじめとした検査を行って合併症の出現に配慮しつつ、必要なら専門の先生にお願いして詳しい検査をする必要があるわけです。

 高血圧は長い年月をかけて深刻な臓器障害をもたらします。かかりつけ医と一緒に上手にコントロールすることが大切です。精査が必要であったりコントロールが難しかったり、ご心配な点があれば一度腎臓内科を受診してみてください。

(腎臓内科医長 浄化センター長 梶原 健吾)

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 【「血液浄化センター」について 透析室】


末梢血幹細胞採取、
骨髄濃縮を行う機械

 血液浄化とは血液を体外に出し不要な物質、または有毒な物質を除去し体内に戻す治療法です。最も一般的に行われている血液浄化療法は慢性腎不全に対する血液透析療法です。その他に、肝不全に対する血漿交換療法、敗血症性ショックに対するエンドトキシン吸着療法、急性薬物中毒に対する活性炭吸着療法、難治性潰瘍性大腸炎に対する白血球除去療法(L-CAP・G-CAP)などがあります。

 また当院の血液浄化センターでは血液浄化以外に難治性腹水に対する腹水濾過再静注法(CART)、血液疾患に対する移植に必要な末梢血幹細胞移植や骨髄濃縮を行っています。


血液浄化センターの設備

 血液浄化センターの設備はベッド数20床、そのうち2床が個室となっており、腹膜透析室は1部屋あります。透析患者監視装置が18台、その中にOn-line HDFが可能な装置が9台あります。On-line HDFとは透析と同時に補液をして、濾過を行うことによって、透析の長期合併症を軽減できる治療法です。

また、ICUでの移動透析が可能な個人用透析患者監視装置が2台、急性期の血液浄化機器が4台、末梢血幹細胞移植や骨髄濃縮に使用する機器が1台あります。その他に、透析用カテーテルの挿入時や透析開始時の穿刺の際に使用する超音波診断装置を2台有しています。

血液浄化センターの実績

 血液浄化センターの平成28年度の実績は、血液透析が入院と外来合わせて6,492件、ICU等で重症患者に行う持続血液透析濾過法(CHDF)が428件、エンドトキシン吸着療法が61件、血漿交換療法が33件、腹水濾過再静注法が88件、白血球除去療法5件、末梢血幹細胞採取24件、活性炭吸着療法1件となっています。血液浄化センター全体の件数は、図1で示すように年々増加しております。


図1 血液浄化センター実績推移

 また、当院血液浄化センターは透析療法従事者研修の認定研修施設にもなっており、各施設からの研修の受け入れを行っています。研修を通じてより良い透析療法を広め、共に切磋琢磨していくことを目標にしております。

 当院での維持透析は、安全に透析を行えるよう腎臓内科医師・看護師・臨床工学技士が連携を深め、治療に携わっています。重症度の高い患者様にも、より安定した治療を行えるよう他診療科と連携を深め、状態にあった適切な血液浄化を選択して行っています。

(臨床工学技士 竹本 勇介)


診療科の特色

<腎臓内科>

 腎臓内科では高血圧、腎炎、腎不全、電解質異常そして血液浄化療法と透析バスキュラーアクセスを主として担当しています。当院は救急病院であることから、いずれの疾患においても必要な患者さんには365日、24時間体制で対応しております。かかりつけの先生からのご紹介に対しても迅速な対処を心がけています。また、いろいろな科が揃う総合病院ですので、他科入院の透析患者さんの受け入れも常時行っております。ご不明な点ございましたら、ぜひお問い合せください。

 各学会認定の専門医・指導医も充実し、日本高血圧学会 認定研修施設、日本腎臓学会 研修施設、日本透析医学会 認定施設です。熊本市役所やCKDかかりつけ医と連携し慢性腎臓病(CKD)対策にも力を入れており、透析導入になる患者様が1人でも減るように努力しております。


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