【第197号】過活動膀胱について、骨盤底筋訓練について | くす通信 | 国立病院機構 熊本医療センター

【第197号】過活動膀胱について、骨盤底筋訓練について

くす通信

過活動膀胱について、骨盤底筋訓練について

泌尿器科より
【過活動膀胱について】

過活動膀胱とは?

 みなさん、トイレが近くて困っていませんか?また、頻尿や尿漏れは「歳のせい」だと諦めていませんか?それは歳のせいだけでなく、過活動膀胱の可能性があります。
 過活動膀胱とは「尿意切迫感を必須症状とした症状症候群」と定義されます。主な症状は頻尿、夜間頻尿、切迫性尿失禁(伴うこともあれば伴わないこともあります)です。尿意切迫感とは正常の膀胱充満に伴う尿意と異なり、「突然起こる、我慢できないような強い尿意」のことをいいます。過活動膀胱症状を有する人の実数は、2012年の人口構成では1,040万人(有症状率14.1%)と推定されています。


過活動膀胱の原因

 過活動膀胱の原因は神経因性とそれ以外の非神経因性の2つに大別されます。

1.神経因性
 脳血管障害(脳出血・脳梗塞)、パーキンソン病などの脳疾患、脊髄損傷、多発性硬化症などの脊髄疾患、腰部脊柱管狭窄症、糖尿病性末梢神経障害などの馬尾・末梢神経疾患によるものがあげられます。

2.非神経因性
 女性では加齢に伴う女性ホルモン低下による膀胱の変化、骨盤底筋の弛緩、骨盤臓器脱(骨盤底筋が弱くなり膀胱、子宮、直腸などが膣から突出する状態)などがあげられます。
 男性では前立腺肥大症もしくは前立腺肥大症による二次性の膀胱変化によるものなどがあげられます。 ただし、過活動膀胱全体でみると原因が同定できない特発性過活動膀胱が大半を占めます。
 最近の臨床研究によれば高血圧、糖尿病、脂質異常症などのメタボリック症候群のリスク因子の数が多い程、下部尿路症状の程度も強いと報告されています。


過活動膀胱の治療

 過活動膀胱に対する治療は、行動療法、薬物療法、神経変調療法、外科的治療法に分けられます。
 行動療法には膀胱訓練、骨盤底筋訓練、飲水指導・体重減少・便秘の改善などの生活指導があります。膀胱訓練は「トイレに行きたくても我慢する」といったものですが、全体として12~90%の治癒、約75%の改善が認められます。
 また、骨盤底筋訓練は「骨盤底筋の収縮性を強化する」といったものですが過活動膀胱に対する効果は60~80%と報告されています。 ※裏面で紹介します
 薬物療法は、過活動膀胱治療の根幹をなすものであり、過活動膀胱の症状はたいていの場合、薬により改善することができます。主に膀胱の過敏な働き抑え、過活動膀胱治療に最も多く用いられ有効性と安全性が確立されている抗コリン薬、膀胱の筋肉を緩め、膀胱容量の増大させる新規作用機序の過活動膀胱治療薬であるβ3作動薬が使われます。また、男性の場合には前立腺肥大症が原因になっていることが多く、まず前立腺の過剰な収縮をおさえるα1遮断薬が使われます。
 行動療法、薬物療法に抵抗性を示す場合には神経変調療法、外科的治療法が行われます。
 最後に頻尿や尿漏れは、子宮内膜症、膀胱癌、前立腺癌など過活動膀胱とまぎらわしい重大な病気が潜んでいる可能性もありますので早めに泌尿器科を受診することが大切です。気になる方はお気軽に泌尿器科へご相談ください。


(泌尿器科医長 前田 喜寛)

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 【過活動膀胱 症状質問票】

以下の症状がどれくらいの頻度でありましたか?
この一週間のあなたの状態にもっとも近いものを、ひとつだけ選んで、点数の数字を○で囲んでください。


 【骨盤底筋訓練について】


 尿道を締める力を鍛えるための体操です。基本の方法を覚えて、生活の中でこまめに行っていきましょう。


↑ 1回5分間程度から始めて、10~20分まで、だんだん増やしていきましょう。



診療科の特色

<泌尿器科>

 泌尿器科で取り扱う病気としては、尿潜血精査から尿路・性器悪性腫瘍、小児泌尿器科、尿失禁・下部尿路機能障害まで行っています。
 特に、尿路性器腫瘍(腎細胞癌、腎盂・尿管癌、膀胱癌、前立腺癌、精巣癌)の治療には力を入れており、膀胱癌を中心とした尿路上皮腫瘍は症例数、手術数においても十分な実績及び経験を積んでいます。特に膀胱癌の治療においては、現在までに350例程の膀胱全摘術を経験しており、症例数としては国内トップレベルです。


グリーンライトレーザーによる
経尿道的前立腺蒸散術(PVP)
 また、平成24年1月より前立腺肥大症に対してグリーンライトレーザーによる経尿道的前立腺蒸散術(PVP)を導入し、出血もほとんどないため1週間弱の入院で治療可能です。現在までに300例程の患者さまがグリーンライトレーザー治療を受けられました。

密封小線源治療
(ブラキセラピー)
 平成26年3月より放射線科の協力のもと、前立腺癌に対して密封小線源治療(ブラキセラピー)を開始しています。現在週1例のペースで施行しており、治療開始より100例程度の患者さまが治療を受けられました。
 平成27年1月からはホルミウムレーザー装置を導入し、主に体外衝撃波治療で砕石できなかった患者さまや全身状態が悪いリスクの高い患者さまなどを対象に軟性鏡による尿管結石の治療(f-TUL)も可能になりました。これまでに約70例程度の患者さまが治療を受けられました。
 さらに、数年前より男性不妊症の診断・治療にも力をいれており、現在までに200名ほどの患者紹介があり、約40例程の患者さまが精索静脈瘤手術(ドップラー血流計を用いた低位結紮術)を受けられております。この手術により平均10倍ほど精子数が増加し自然妊娠にいたった患者さまもおられます。今後は少子化対策の一環としてこの分野においても積極的に取り組んでいきたいと考えております。


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