【第192号】「リンパ節腫大」について、「リンパ節腫大に使われる薬剤」について、「リンパ節の働きと食事」について | くす通信 | 国立病院機構 熊本医療センター

【第192号】「リンパ節腫大」について、「リンパ節腫大に使われる薬剤」について、「リンパ節の働きと食事」について

くす通信

「リンパ節腫大」について、「リンパ節腫大に使われる薬剤」について

「リンパ節の働きと食事」について

 【「リンパ節腫大」について】

 「リンパ」という言葉をお聞きになったことがあるでしょうか?リンパは人間を敵から守る体の機能の一つです。血管のように体全体に網目状に張り巡らされたリンパ管の中にはリンパ球などを含むリンパ液が流れています。リンパ管の要所要所にはリンパ節が配置されており、リンパ球の休憩場所になったり敵との戦闘場所になったりします。つまり、体を守る「兵隊」であるリンパ球は、「道路」であるリンパ管の中を巡回しながら敵を監視し、敵を発見すると攻撃します。「関所」であるリンパ節は戦場になりやすいので、敵との戦いが起こると腫(は)れてくるのです。これをリンパ節腫大と呼びます。

 ではリンパ球が戦う「敵」とはどういうものでしょう?

 具体的には細菌、真菌、結核、ウイルスなどの病原体、がん、悪性リンパ腫などの腫瘍性疾患が含まれます。また、免疫のバランスが崩れておこる膠原病でもリンパ節が腫れることがあります。頚部(首)、腋窩部(わきの下)、鼡径部(足の付け根)のリンパ節は体の表面にあるため、腫大した場合は簡単に触ったり超音波検査を行うことが可能です。腫大の部位や性状はその原因を特定するうえでとても重要です。

 たとえば病原体によるリンパ節腫大は、病原体とリンパ球が戦って起こる炎症が原因ですので発熱や痛みを伴うことが多く、リンパ節は比較的軟らかく腫大します。風邪などで喉が痛くなると頚部のリンパ節が腫大し、感染症の一つである猫ひっかき病は引っかかれた腕の腋窩リンパ節が腫大します。一方で癌などの腫瘍性疾患の場合、リンパ管を伝って全身に広がろうとする癌細胞をリンパ節で食い止めようとすることでリンパ節腫大が起こります。 癌周囲のリンパ節が腫大することが多く、石のように硬くあまり痛みはありません。悪性リンパ腫はリンパ自体の悪性腫瘍で、体の中のどのリンパ節が腫大しても不思議ではありません。触診では癌と比べると軟らかいのですが炎症と比べるとやや硬く痛みを伴わないのが特徴です。


 原因を調べるための検査として採血、超音波検査、CTなどが有用ですが、これらの検査で良性か悪性かがはっきりしないことも多々あります。その場合は針生検やリンパ節を丸ごと摘出して組織検査を行うことで、多くの場合に診断が確定できます。治療は原因によって異なり、様子観察するだけで治ってしまうものから抗菌薬などの薬物治療や抗がん剤、放射線療法、免疫療法などを行う場合など様々です。

 リンパ節腫大は体が敵から身を守るための反応でしばしば診断の重要な手がかりになりますので、放置せず専門医を受診することをお勧めします。

(血液内科医長 河北 敏郎)

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 【「リンパ節腫大に使われる薬剤」について】

 リンパ節腫大の原因は様々です。治療に使うお薬もその原因によって異なります。例えば病原体による感染が原因であれば、それぞれの病原体に効果のある抗生剤などを用います。がんや腫瘍性疾患が原因の場合には、抗がん剤を用います。

 抗がん剤を用いた治療は、多くの場合複数のお薬を組み合わせて使用します。ここでは悪性リンパ腫に用いる標準的な治療法の一つであるCHOP療法について解説します。


出典:中外製薬
 CHOP療法は、シクロホスファミド・ドキソルビシン・ビンクリスチンの3種の抗がん剤に、副腎皮質ホルモンであるプレドニゾロンを組み合わせた治療法です。2~3週間を一回の周期として、複数回治療を繰り返します。 近年では、CHOP療法にリツキシマブ(リツキサン®)を組み合わせたR-CHOP療法を用いる機会が増えています。リツキシマブは、悪性リンパ腫の中でも特定の型のリンパ腫に用いるお薬です。主にがん化したリンパ球に存在するCD20というタンパク質を目印に攻撃するため、副作用が少ないのが特徴です。


 (R-)CHOP療法は、体の状態に合わせて通院でもできる治療法です。主な副作用として吐き気、便秘、手足のしびれ、脱毛、心臓機能の低下、口内炎や肛門痛などがあります。これらの副作用は早期発見で対処できることも多いので、症状が見られた場合には、医療スタッフへご相談ください。

(薬剤師 中山 洋輔)

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 【「リンパ節の働きと食事」について】

 私達の体に張り巡らされているリンパ管にはリンパ液が流れています。リンパ液には古くなった細胞や水分、老廃物を運ぶ排泄運搬機能、体の外から侵入したウイルスや細菌を退治してくれる免疫機能があります。運動不足や疲労などで免疫力が低下し、リンパ節の働きが追いつかず老廃物が溜まるとむくみや腫れが生じることがあります。


 今回は私達に身近な病気として風邪から来る「扁桃腺炎」とおたふく風邪の際に腫れる「耳下腺炎」について食事面での対処法について紹介したいと思います。「扁桃腺炎」では、食事を摂ることが苦痛に感じ食欲もあまり湧きませんが、水分と消化に良い物(お粥や柔らかく調理した料理、汁物等)等で少しでも栄養を摂るようにして回復を早めるようにしましょう。 「耳下腺炎」では、耳の下あたりにあるリンパ節が腫れるため酸味や刺激のある物、味の濃い物は唾液腺を刺激して痛みが強くなるため完治するまでは控えるようにしましょう。他にもリンパ節が腫れる病気はいくつもありますが日頃からバランスのとれた食事や規則正しい食生活を心がけ、免疫力を高めるようにしましょう。

(管理栄養士 福田 彩加)


診療科の特色

<血液内科>


県内唯一の骨髄移植センター
[無菌室病棟17床]
2重の自動ドア

 血液内科は、呼吸器内科や消化器内科などと比べると「何を診療しているのかわからない」という印象を持たれる方が多いかもしれません。血液は白血球、赤血球、血小板という血球と、血漿という液体で構成されています。我々は主に血球の異常をきたす病気の診療を行っており、代表格は白血球の悪い病気である白血病です。その他、リンパ節が腫れる悪性リンパ腫、すべての血球が減る再生不良性貧血、血球が多すぎる多血症など様々な病気が含まれます。当科の特徴としては県内唯一の骨髄バンク認定施設として全国でも有数の同種移植(骨髄移植や臍帯血移植など)を行っている点です。抗がん剤や移植治療の進歩により、白血病は「不治の病」から「治る可能性が十分にある病気」に変わってきました。

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