【第191号】「爪水虫(爪白癬)」について、「爪白癬の治療の薬」について | くす通信 | 国立病院機構 熊本医療センター

【第191号】「爪水虫(爪白癬)」について、「爪白癬の治療の薬」について

くす通信

「爪水虫(爪白癬)」について、「爪白癬の治療の薬」について

 【「爪水虫(爪白癬)」について】

 「水虫」というと足趾間のジュクジュクした痒みという印象を持っている方が多いと思いますが、その病態は白癬菌という「カビ」の一種による皮膚の感染症で、一般的には足に生じた白癬菌感染(足白癬)を「水虫」と言います。白癬菌感染が股部に起こると「インキンタムシ」、頭に起こると「しらくも」などと呼ばれますが、医学用語ではそれぞれ股部白癬、頭部白癬と言います。足白癬や股部白癬はしばしば痒みを伴う事がありますが、実際には白癬菌感染の多くは痒みもない無症状の事が多く、足白癬のほとんどは「足の裏ががさがさしている」「踵の皮が厚い」「よく皮がむける」といった何も感じない状態で進行していき、やがて水ぶくれやただれを起こすと激しい痒みや痛みを生じる事になるのです。 このようにほとんど症状がないため、「自分は水虫ではない」と思って放置していると、あるとき白癬菌が爪に入り込む事があり、進行すると爪が「白く/黄色く濁る」「厚くなる」「巻き爪になる」「ぼろぼろになる」「白い線が入る」「はがれたようになる」といったような症状を呈するようになります。これが爪水虫(爪白癬)という状態です。


 白癬菌感染の治療の基本は抗真菌剤というお薬を塗ったり飲んだりする事です。通常の足白癬などは塗り薬を数ヶ月行うと完治しますが、一度爪に入り込んでしまうとその治療はとても大変で通常の塗り薬だけでは治りません。しかも、やっと足白癬が治ったと思っても、爪白癬が残っていたらまたそこから白癬菌が周囲に供給され足白癬が再発する事になります。「水虫が治ったと思ったらまた出来てきた」という方の中には爪白癬を治療しなかった事が原因という方もしばしばおられます。

 さて、それでは爪白癬の治療にはどのようなものがあるのでしょうか?根本的な治療にはまず飲み薬があり、しっかり内服出来れば効果は高いのですが、肝臓や腎臓といった内臓に悪影響を及ぼす事や他の飲み薬と飲み合わせが悪い事があるなど、血液検査を定期的に行う必要があり、もともと肝臓などが悪い方や他の病気でお薬を内服している方の中には薬を飲む事が出来ず、根本的な治療を諦めざるを得ない事もありました。しかし、最近爪白癬専用の塗り薬が開発されて処方できるようになり、その効果は飲み薬に匹敵するものとなっています。しかも、以前の塗り薬のみで爪白癬を根治させるためには、爪に穴を開けたり、爪を削ったりといった大変な処置が必要で、それでも効果が乏しかったのですが、最近の爪白癬専用の塗り薬はただ塗るだけなのです。


 とはいうものの、白癬菌に一度冒された部分の爪は元には戻らないため、爪が伸びるのを待つ必要があり、飲み薬でも、新しい爪白癬専用の塗り薬でも、最低半年以上の根気強い治療が必要という点は変わりません。また、爪白癬と見た目が似ていても、いろんな病気が隠れている事もあります。「自分の爪は大丈夫かな?」とお思いの方はお気軽に皮膚科へご相談下さい。


(皮膚科医長 城野  剛充)

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 【「爪白癬の治療の薬」について】

 爪白癬の治療としては飲み薬と塗り薬があります。まず、飲み薬としてイトリゾール(成分名:イトラコナゾール)ラミシール(成分名:テルビナフィン)があります。


 イトリゾールの飲み方は1日2回食直後に1週間服用し、その後3週間服用しないという1サイクルを繰り返します。このお薬は食事をとった後の方が効率よく吸収されるため、食直後に服用する必要があります。また、多くの薬との飲み合わせがあるため、医師や薬剤師に相談してください。
 もう1つの飲み薬ラミシールの飲み方は1日1回食後の服用を毎日続けます。先ほどのイトリゾールも同様ですが、肝臓に負担がかかってしまうため、定期的な血液検査が必要になります。


 最近爪白癬に有効な塗り薬のクレナフィン爪外用液10%(成分名:エフィコナゾール)ルコナック爪外用液5%(成分名:ルリコナゾール)が登場しました。

 エフィコナゾールは他の水虫の塗り薬とは違い、爪への浸透性が高いため爪白癬に効果があります。ルリコナゾールは皮膚真菌症の治療薬としてクリーム1%、液1%、軟膏1%の3製剤がすでに販売されていましたが、濃度を高めて爪へより浸透させることで、新たに爪白癬治療薬として認められました。使用方法は爪及びその下の皮膚に薬剤が行き渡るよう皮膚との境界部も含め、1日1回爪全体に十分に塗布します。


 刺激を感じることがあるので皮膚についた薬剤はふき取るようにしましょう。



 お薬の効果が現れると根元の部分から感染していないきれいな爪が少しずつ伸びてきます。飲み薬と塗り薬どちらの治療にも言えることですが、健康な爪に生え変わるまでは菌が爪の中に残っています。爪が生え変わるまでには長い時間がかかるので、自己判断で治療をやめずに、医師の指導の下、根気よく治療しましょう。

(薬剤師 金本 卓)


診療科の特色

<皮膚科>

 皮膚科では皮膚に生じた病変はもちろんの事、口腔粘膜や口唇粘膜、髪、爪といった「外から目で見て病変がわかるもの」は老若男女に関わらずすべて診療しています。皮膚科領域の疾患の中には皮膚だけでなく、内臓を含めた全身的な症状を伴う疾患も数多くあり、他科と協力しながら全身的な病態を治療しています。また、「皮膚は内臓の鏡」という古い言葉があり、皮膚の症状をみる事で、体の中で起こっている事を推察し、診断の手助けと出来ることもあります。
 皮膚は誰でも見えるため、その病変により患者さんが受ける社会的な悩みが大きいのも特徴です。皮膚の疾患を改善させる事により、日常生活をより充実したものに出来る事もありますので、「目に見える悩み」は皮膚科にご相談下さい。

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