【第184号】鼠径へルニアについて、腹腔鏡下鼠径へルニア手術を受けられる 「患者さまの生活」について | くす通信 | 国立病院機構 熊本医療センター

【第184号】鼠径へルニアについて、腹腔鏡下鼠径へルニア手術を受けられる 「患者さまの生活」について

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鼠径へルニア」について

腹腔鏡下鼠径へルニア手術を受けられる 「患者さまの生活」について

 【鼠径へルニア」について】

 鼠径ヘルニアはお腹の中にある小腸などの一部が、足の付け根(鼠径部)の筋膜の間から皮膚の下に出てくる病気です。いわゆる「脱腸」です。

 治療としては手術が唯一の方法です。そのままにしておいても痛みなどがなければ命にかかわることはありませんが、腸が出て戻らなくなると大変です。ヘルニア嵌頓(かんとん)と言って腸が壊死を起こし、緊急手術になります。場合によっては腸を切除することになります。



 全国では年間約16万件の鼠径ヘルニアに対する手術が行われており、外科の中でも最もポピュラーな手術のひとつと言えます。当院では年間60~100件程度の手術を行っています。


 この手術のツボとしては筋膜の脆弱によって生じたすきまを、いかに補強するか、ということに尽きます。従来は鼠径部切開法といわれる方法で、文字通り鼠径部からアプローチを行い、筋膜の補強にポリプロピレンを材質としたメッシュシートを埋め込んでいました。プラグと呼ばれるバドミントンの羽のようなメッシュを埋め込む方法も一般的です。

 現在外科の世界では、腹腔鏡と呼ばれるお腹の中を観察するカメラを用いた手術が徐々に多くなってきています。この手術のメリットは、傷が小さく疼痛が少ないこと、整容性が良いことなどが理由です。当院では鼠径へルニアに対して2014年4月より腹腔鏡下手術(経腹的腹膜前修復法:TransAbdominal Pre-Peritoneal repairを略してTAPP法)を導入しております。我々が考える一番の導入理由は、腹腔内から観察することで、より直観的に病態の把握、治療が可能になるという点です。より再発の少ない手術ができると考えています。
もちろん、デメリットもあります。全身麻酔が必要になること、腸管損傷など重篤な合併症を起こす可能性があること、(従来法と比べ)時間がかかることなどがあります。また、これはデメリットではありませんが、この手術を行うにあたり、技術的に十分習熟する必要があります。鼠径部ヘルニア診療ガイドライン2015では、“成人鼠径ヘルニアに対して腹腔鏡下ヘルニア修復術は推奨できるか?”との問いに対し、“手技に十分習熟した外科医が実施する場合には、腹腔鏡下ヘルニア修復術は推奨できる。“としています。再発、合併症のない手術を目指し、日々精進を続けていきたいと思います。

(外科医長 久保田 竜生)

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 【腹腔鏡下鼠径へルニア手術を受けられる 「患者さまの生活」について】


入院生活についてお話しします。
 入院期間は、手術1日前に入院し、手術後3日目には退院が可能となります。
 入院した日は、夕食まで食事ができます。


 手術当日は、朝から絶飲食で浣腸を行います。手術が午後からの場合は点滴をします。手術は全身麻酔の為、手術室で尿の管を入れます。手術後から体を動かすことができ、お腹の状態によっては、飲水が可能となります。



 手術翌日は、昼から食事が開始となり、尿の管を抜いて、トイレまで歩行出来ます。シャワー浴もできます。

 ご高齢の方に対しては、全身麻酔による影響も考慮しながら援助を行っています。


退院後の生活についてお話しします。
 鼠径ヘルニアは、足の付け根の所の筋肉や筋膜が弱くなったことに加えて、お腹に力がかかり腹圧が高くなることによって起こりやすくなるといわれています。重たいものを持ち上げたり、便秘など腹圧が高くなることを避けるように心がけてください。

1)便秘について

手術後は便秘に気をつけましょう。
また、食事制限はありませんが、食物繊維が多い食事をしましょう。

2)活動について

  • 重い荷物を持ったり、腹部に力が入る作業は避けましょう。
  • 散歩、ジョギングはいつからでも可能ですが、日常生活以上の運動は1ヶ月後くらいからにしましょう。
  • 車の運転は予想外に腹圧がかかります。1週間後くらいから慎重に始めてください。

  • アルコールは少量であれば、退院直後から可能です。しかしアルコールによる血管の拡張は創部に悪影響です。本格的な飲酒は1週間後からにしましょう。

3)入浴について

  • 創部が完全に治るまで1週間はシャワー浴にしましょう。

4)以下の様な症状がある場合は、外科外来を受診しましょう。
  • 創部が赤い、創部から汚い液が出る。
  • 創部が腫れている。
  • 痛みがひどい。
  • 高熱がでる。

(6階東病棟師長 清田 喜代美)


診療科の特色

<外科>

 外科では、主に消化管、肝胆膵領域の癌、乳腺・内分泌疾患を中心とした診療を行っています。また、24時間断らない救急医療を提供しており、多くの外科救急症例も治療しています。
イラスト  癌診療では、的確な診断、適切な治療、治療後のケアが重要と考え実践しています。入院時にクリティカルパス(診療予定表)を適応し、治療方針を提示しています。毎朝7時45分からのカンファレンスで前日の手術症例の検討と回診を行い、医師、看護婦、薬剤師などが情報を共有しチーム医療を実践しています。腹腔鏡手術も適応症例を十分に検討を行い、安全第一を心掛けて行っています。

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