【第182号】ピロリ菌について、「ピロリ菌」に使用される薬 | くす通信 | 国立病院機構 熊本医療センター

【第182号】ピロリ菌について、「ピロリ菌」に使用される薬

くす通信

ピロリ菌について、「ピロリ菌」に使用される薬

 【ピロリ菌について】

 ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)は食物や水を通じて口から胃内に入り、住み着きます。日本では約3000万人が感染していると言われています。

 胃酸の分泌が不十分で防御機能が発達していない幼少期(5歳以下)に感染すると慢性化するため、幼少期に衛生状態がよくなかった50代以上の方に多く感染が見られます。現在は上下水道が整備されてきたため感染の機会は減っていますが、ピロリ菌に感染している大人から小さい子供への食べ物の口移しなどには注意が必要です。成人では、日常生活(コップの回し飲み、食器の共同使用、生水の飲用など)ではほとんど感染しないと考えられています。


 最初は急性胃炎や胃十二指腸潰瘍の原因として発見されましたが、その後萎縮性胃炎や胃MALTリンパ腫、胃がん、特発性血小板減少症などとの関係も解明されました。胃がんの99%はピロリ菌に感染した胃から発生するという報告もあり、注目されています。


 検査には胃カメラで胃の組織を取って調べる方法(迅速ウレアーゼ試験、鏡検、組織培養)と胃カメラを使わない方法(尿素呼気試験(吐いた息を取って調べる)、血液や尿のピロリ抗体検査、便中ピロリ抗原検査)があります。

 治療(除菌療法)は2種類の抗菌薬と1種類のプロトンポンプ阻害剤(胃酸の分泌を抑える薬)を1日2回、7日間内服します。70%の方で成功しますが、除菌できなかった方は抗菌薬の組み合わせを変えて再度治療を行います(二次除菌療法)。これにより90%の方で除菌されます。日本では2000年に胃十二指腸潰瘍の治療に保険適応となりました。その後2010年には胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少症、早期胃がんに対する内視鏡的治療後の患者さまに保険適応となり、2013年からは胃炎の患者さまにも保険適応となりました。


 ピロリ菌がいなくなることにより潰瘍や胃がんのリスクは減りますが、完全になくなるわけではないので定期的な検査は必要です。また胃酸の分泌が盛んになるため逆流性食道炎や胃食道逆流症が発生して胸やけなどの症状が起きたり、食欲が増進して体重が増加することがあります。


 日本では胃カメラで胃炎の診断がついた患者さまが除菌療法の保険適応になりますので、気になる方はまず胃カメラを受けてください。


(消化器内科医長 中田成紀)

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 【「ピロリ菌」に使用される薬】

 ピロリ菌の除菌には、胃酸の分泌を抑制するプロトンポンプ阻害薬(PPI)と2種類の抗生物質を併用しますので、計3種類のお薬を使用します。胃酸の分泌を抑制することで、抗生物質の効果を高めます。この3種類のお薬を1日2回、1週間服用します。1回に服用する数が5錠と多いため、100~200mL位の水で服用しましょう。1週間の服用により約7割の方が除菌に成功しますが、除菌できなかった方は、抗生物質を変えて2次除菌を行います。


 しかし約1割の方で副作用が現れることがあります。症状としては軟便、下痢、口内炎、かゆみ、発疹、味覚障害などですが、多くの場合2~3日でおさまります。軟便や口内炎などで症状が軽い場合は、1週間最後まで服用しましょう。しかし、ひどい下痢や血便、発疹、発熱などの症状がある場合は、無理をせず主治医や薬剤師へ連絡しましょう。

 なお、飲み忘れなどにより、除菌失敗やピロリ菌の耐性が進行することがあるため、忘れずに服用して下さい。

 プロトンポンプ阻害薬は以下のように数種類あります。その中から1つ選択します。2種類の抗生物質の計3種類のお薬を服用します。



 1次除菌と同じように、プロトンポンプ阻害薬と、2種類の抗生物質の計3種類を服用します。1次除菌と異なる点は抗生物質のクラリシッドに変えてフラジールを服用します。



 2015年に発売されたお薬で、従来のPPIよりも即効性があり、効果が持続する特徴があります。また、除菌率も上昇する結果が出ています。



 除菌に用いるお薬は数が多く、間違えることが多いため、最近では1日分が1シートにまとまった製剤も発売されています。


(薬剤部 権藤由佳)


診療科の特色

<消化器内科>

 消化器内科は現在9人の医師が勤務し、外来・病棟診療および各種検査(上下部内視鏡検査、腹部超音波検査)を行っています。
 消化管の治療としては上下部消化管の内視鏡的粘膜切除術(EMR)および粘膜下層剥離術(ESD)、経皮的内視鏡的胃瘻造設術(PEG)、内視鏡的砕石術、ステント挿入、内視鏡的消化管止血術などを行っています。肝臓の治療としては肝炎の治療(インターフェロンフリー療法、核酸アナログ)および肝臓癌に対するラジオ波焼灼療法(RFA)などを行い、クリティカルパスを導入して地域の医療機関と連携しながら治療しています。
 また消化器癌に対する化学療法や腹水の濾過濃縮再静注法(CART)も行っています。

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