【第179号】高カルシウム血症(高Ca血症)について について、高カルシウム血症の ①原因になりやすい薬品、 ②治療に使う薬について | くす通信 | 国立病院機構 熊本医療センター

【第179号】高カルシウム血症(高Ca血症)について について、高カルシウム血症の ①原因になりやすい薬品、 ②治療に使う薬について

くす通信

高カルシウム血症(高Ca血症)について について

高カルシウム血症の ①原因になりやすい薬品、 ②治療に使う薬について

 【高カルシウム血症(高Ca血症)について について】

  以前「高カリウム血症(高K血症)」についてご紹介しましたが、今回は「高Ca血症)」についてお話し申し上げます。「カルシウム(Ca)」と「カリウム(K)」は全くの別物ですのでご注意下さい。「高K血症」も心停止を引き起こす重大な病気ですが、「高Ca血症」も非常にたちが悪いです。便秘、吐き気、嘔吐、胃潰瘍、脱水症、のどの渇き、急性腎不全、倦怠感、尿管結石、せん妄、錯乱、昏睡などを引き起こします。しかしCaは血液検査の測定項目に入っていないことも多く、発見が遅れます。また栄養状態の悪い高齢者などでは「高Ca血症」であってもCaは正常範囲の値となることがあり「アルブミン」という蛋白を同時に測定して「補正Ca値」を調べてもらわないと安心できません。

 さて、高Ca血症を引き起こす最も代表的な病気は「副甲状腺機能亢進症」です。手術で治る病気であり、原因不明で予防法はありません。運が悪かったとあきらめて手術を受けるしかありません。

 しかしながら、最近は自分で予防ができる高カルシウム血症が大変増えています。一種の現代の生活習慣病です。それは皮肉なことに、何と「カルシウムのとりすぎ」「ビタミンDのとりすぎ」なのであります。

 高齢女性の方の多くが腰痛やひざが痛くなります。骨粗鬆症や骨折の予防のためカルシウムをたくさん摂るように指導されたり、病院からお薬が処方されたりします。でも腰痛は基本的に完全には治りませんので、病院を複数受診して「活性型ビタミンD」というお薬やカルシウムの薬を重複して飲まれている方がいて、重症の高Ca血症となります。

 「活性型ビタミンD」は副作用で「高カルシウム血症」になると急性腎不全になって透析が必要になったりするので、「劇薬」に指定されたお薬です。「ビタミン」という名前から安全な薬だと勘違いしたり油断していると痛い目にあうお薬です。内服中は必ず定期的に採血して「高Ca血症」になっていないか確かめる必要があります。定期採血を受けておられぬ方は主治医の先生に相談されると良いと思います。

 また健康のためと思い牛乳を大量に飲みすぎて高Ca血症になる「ミルクアルカリ症候群」という病気もあります。何事も『過ぎたるは及ばざるがごとし』ですので、カルシウムは不足も問題ですが過剰にならないようにくれぐれもお願いいたします。


(腎臓内科部長 富田正郎)

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 【高カルシウム血症(高Ca血症)について について】

 高カルシウム血症は重症でなければ、原因を取り除くだけで十分です。高カルシウム血症の原因となる薬品やカルシウムのサプリメント・食品(牛乳等)の過剰な摂取があればそれらの摂取の中止や減量を行います。腎機能が正常であれば、水分を十分とるよう指導します。水分は腎臓を刺激しカルシウムを排出させるほか、脱水の予防にも役立ちます。

(乳酸カルシウム、炭酸カルシウム等)

骨粗鬆症に適応を持つ薬です。

 カルシウム値が非常に高い、または脳の機能障害や筋力低下の症状がある場合には、腎機能が正常であるかぎり、水分や生理食塩水と利尿薬(フロセミド注、ラシックス注)を静脈から投与します。透析は非常に効果的で、安全かつ信頼できる治療ですが、他の方法では治療できない重度の高カルシウム血症の場合に用いる方法とされています。

 その他にビスホスホネート、カルシトニン、コルチコステロイド薬といった薬剤を高カルシウム血症の治療に使うことができます。こうした薬は、主に骨からのカルシウムの放出を遅くする作用があります。



 癌が原因の高カルシウム血症は、ビホスホネート(ゾメタ注、ランマーク注)などで治療することがあります。


(薬剤部 主任薬剤師 島 眞一郎)


診療科の特色

<腎臓内科>

  診療内容・特色
 当院がいろいろな診療科を備えている救急病院のため、いろいろな合併症を持つ透析患者の急患を常時受け入れています。緊急を要する症例についてはオンコール制をとっており、緊急透析業務は365日、24時間体制で対応しております。慢性腎臓病、急性腎炎、慢性腎炎、ネフローゼ症候群、急速進行性腎炎症候群、急性腎不全、保存期慢性腎不全に対してもすみやかに対応しております。腎生検検査も可能です。日本腎臓学会研修施設、日本透析医学会の認定施設です。
  今後の目標・展望
 新病院では透析病床は旧病院と比較して大幅に増床(10床→20床)され、CAPD室も確保され、旧病院より一層の機能充実が図られております。腎臓病を通じて熊本地区の地域医療にさらに貢献してゆきたいと存じます。CKD(慢性腎臓病)対策においても専門医の立場から積極的に取り組み、透析導入になる患者様が1人でも減るように努力しております。また、腹膜透析にも力を入れ、希望される方には「PD(腹膜透析)ファースト」という治療戦略を取り入れます。すなわち、透析が必要な状態になった場合に、初めから血液透析を行うのではなくて、腹膜透析を先に行った後5年経過したら血液透析に移行する、という方法で、御自身の残腎機能が減りにくい(つまり、透析になっても尿量が減りにくい)という特長があります。

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