【第177号】腫瘍内科って何ですか? | くす通信 | 国立病院機構 熊本医療センター

【第177号】腫瘍内科って何ですか?

くす通信

腫瘍内科って何ですか?

 全ての種類のがんに対して、抗がん剤による化学療法を専門的に、とても上手に行います。しかし、その化学療法は仕事のほんの一部です。

1.日本の現状とがん医療対策

 わが国では年間に約90万人ががんに罹患し、約300万人が闘病しています。がんは日本人の死因の第1位であり、男性の2人に1人、女性の3人に1人はがんで死亡します。進行・再発がんを完全に治すことは困難なことが多く、がんを克服できたという状況にはありません。そんななか、がんの化学療法の進歩は目覚ましいものがあります。

2.腫瘍内科が行う がん診療の特徴

1)十分な病状説明(予後・今後の見通しを含めた説明)

 治してしまうことのできるがんがあります。治してしまうことのできないがんもあります。治療を開始するにあたり、治すことを目的とした治療なのか、そうではなく延命や症状緩和を目的とした治療なのか、十分に説明します。状況を受け止められるようにしっかり支援します。そして治療が始まります。がんを治すことが困難であると伝えることは、失望にはつながりません。むしろ失望させないように配慮すると、本人は真の希望も持つことができなくなります。本質的な希望の根底には、現実への理解と受容があります。

2)がんの病状推移とそれに応じた適切な治療計画  図1
(1)積極的な治療の経過

 早期がんの手術、化学療法が著効するがん種(精巣腫瘍、絨毛がん、白血病や悪性リンパ腫の一部、小児がんなど)に対しては、がんを完全に治す目的で手術や化学療法による積極的治療を行います。治療後5年(~10年)間、再発の有無を経過観察します。

図1 がんの病状推移と治療戦略

(2)緩和的(延命的)な化学療法の経過

 進行・再発がんは完全に治すことが困難であり、延命や生活の質の向上・維持を目的とした緩和的な延命的な治療(多くは化学療法)を行います。化学療法の進歩は著しく、皆さんが想像するような副作用はほとんどなく、日常生活を送ることが可能です。また、仕事を続けることも可能です。しかも多くの種類のがんで成績が向上していて、生存可能な期間がかなり長くなってきています。

(3)終末期の経過

 がんにより衰弱が出現すると化学療法などの治療を中止することになります。その時期は死亡の2~3ヶ月前の時点です。その時点まで多くの方は、普段通り日常生活を過ごされています。今後、自宅で療養をするか、最寄りの医療施設に入院するか、本人・家族の要望をもとに療養の場を決定します。腫瘍内科を中心に医療スタッフチ-ムでお世話をします。

3)夢をつなぐ「外来がん治療センタ-」(がん相談支援センタ-・緩和ケアセンタ-)
日常生活を大切にする心の通った医療をめざして   (図2)

 がんの治療は、手術時の短期入院以外、全て外来で行われます。当院の外来がん治療センタ-は、医師だけでなく、さまざまな職種のスタッフからなるチ-ムにより組織されています。がんを抱えると、痛みや食欲低下などの身体的問題に加えて、心理的・精神的問題や経済的・社会的問題も抱えることが多くなります。また、自分の存在意義や人生の意味に関して深く悩む場合もあります。患者や家族の生活を維持・向上させるために、またこれから先の最適な療養生活のために、どのような医療を提供すべきか、外来がん治療センタ-では毎朝、緩和ケアや相談支援のチ-ムによる話し合い(カンファランス)を行っています。

図2 夢をつなぐ「外来がん治療センタ-」完成予想図(2017年完成予定)

図3 夢を支える医療連携

3.皆さんへ「贈る言葉」

○ 孔子 曰く、
「われわれの最高の栄誉は、決して倒れないことではなく、倒れるたびに起き上がることである」

○ レジリエンス(resilience) とは、
すべての人に備わった、「病気や災害など深刻な逆境から回復すること、あるいは回復する能力」

○ 希望 とは、
「物事は変えられる、そして良い方向に変えられるという信念」
 どんな状況でも、とくに苦境であればあるほど、人は希望を持つことができます。

(腫瘍内科部長 境 健爾)


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