【第176号】バセドウ病について、バセドウ病かどうかをしらべる検査 | くす通信 | 国立病院機構 熊本医療センター

【第176号】バセドウ病について、バセドウ病かどうかをしらべる検査

くす通信

バセドウ病について、バセドウ病かどうかをしらべる検査

 【バセドウ病について】

 甲状腺疾患のなかで、バセドウ病は橋本病(慢性甲状腺炎)についで
二番目に多い病気です。

 首の付け根の前面に羽を開いた蝶のような形をしたホルモンを出す臓器が甲状腺です。ヨードを原料に甲状腺ホルモンを産出し、体の新陳代謝を調整しています。脳の視床下部にホルモン産出の中枢があり、下垂体を経由して甲状腺を刺激し、ホルモン産出量が調整されています。

 甲状腺を標的にした自己抗体がなんらかの原因で作られ、その抗体の刺激で甲状腺ホルモンがたくさん作られ過ぎます。甲状腺ホルモンがたくさん出ると新陳代謝が活発になりすぎて体が消耗してきます。心臓にも負担がくることがあり、頻脈や不整脈、心不全などを起こすことがあります。治療しないで、体に大きなストレス(手術、感染症など)が加わると重篤な代謝失調(クリーゼ)を発症し、死に至ることもあります。

 心臓がどきどきする、食欲が亢進する、疲れやすい、汗を良くかく、体重がへる、下痢をする、目が大きくなる、体温があがる、甲状腺が大きくなるなどがあります。


 血液検査で甲状腺ホルモン(FT3、FT4)が高くなっているかどうかを検査します。甲状腺ホルモンが高くなる病気はバセドウ病以外にもありますので、バセドウ病特有の自己抗体(TSH 受容体抗体)が出現しているか、放射線で標識したヨードを用いて、ホルモンの原料のヨードが甲状腺に沢山取り込まれているかどうかを調べる検査(核医学検査)を行います。

 薬物治療、放射線治療、手術があります。

 甲状腺のホルモン産出を抑える薬を内服します。まれに重篤な副作用が出現することがあるため、定期的な血液検査が必要です。副作用の症状が出現すれば、早めに相談してください。また、ホルモンが低下しても薬物治療を中止したのちに再びホルモンが上昇してくることがあるため、内服を中止しても定期的に血液検査を受けた方がよいです。妊娠中や授乳中は、内服薬を変更する場合がありますので、主治医の先生に相談してください。

 バセドウ病の方はヨードが甲状腺にたくさん取り込まれるため、放射性のヨードを摂取し、内部から甲状腺の細胞を破壊し、ホルモンが作られないようにします。外来でも治療が可能です。ホルモンは、通常半年かけて低下していきます。妊娠可能な女性の方は半年程度の避妊が必要です。

 手術で甲状腺の大部分を摘出します。放射線治療より早く甲状腺機能が正常化し、バセドウ病が再発したり、薬物治療の副作用の心配がなくなります。手術は甲状腺機能をコントロールしてから行う方が安全に行えます。術後に、嗄声(声がかれる)や副甲状腺機能が低下することがあります。

(糖尿病・内分泌内科医長 小野 恵子)

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 【バセドウ病かどうかをしらべる検査】

 甲状腺が正常にはたらいている時は、血液中のホルモンの量が一定しています。しかし、異常がある場合は、その量が増えたり減ったりします。甲状腺のはたらきに異常があるかどうかは、血液中の甲状腺ホルモンの遊離トリヨードサイロニン(FT3)、遊離サイロキシン(FT4)や甲状腺刺激ホルモン(TSH)の量を調べれば分かります。また、原因を特定するために、抗甲状腺刺激ホルモン受容体抗体(TRAb)甲状腺刺激抗体(TSAb)、などの抗体を調べる必要があります。

 甲状腺の血流や甲状腺の大きさ、甲状腺の結節にしこりや腫瘍がないかどうかのチェックをする為に行います。

 甲状腺は食物などからヨウ素を取り込み甲状腺ホルモンの合成に役立てています。この性質を利用して、放射性ヨウ素を同じように甲状腺に取り込ませます。甲状腺にあつまるヨードの放射線を調べ放射性ヨード摂取率の測定を行います。



 バセドウ病では代謝が活発になりますので、コレステロールが低くなります。また、骨の代謝も活発になりますので、アルカリフォスタファーゼ(ALP)という数値が高くなります。そのほかに、血糖値が高くなって尿に糖が出る場合もあります。コレステロール低値、アルカリフォスタファーゼ(ALP)高値、尿糖陽性などが見つかったのに、その原因が明らかでない場合は、バセドウ病について相談してみると良いでしょう。
 これまでに健康診断などで受けられた血液検査の結果をお持ちでしたら、内容を確認してみてはいかがでしょうか。

(臨床検査科 生理学主任 一瀬 康浩)


診療科の特色

<糖尿病・内分泌内科>


平成25年に最新の人工膵臓(STG-55)が導入されました
 糖尿病・内分泌内科は、糖尿病に代表される生活習慣病(脂質異常症、高血圧症、肥満症など)及び甲状腺疾患に代表される内分泌疾患(副腎疾患、下垂体疾患、副甲状腺疾患)の診断及び治療を行っています。糖尿病の診療においては、高血糖の病態、合併症の診断、患者教育に力を入れています。内分泌疾患については、症状や血液検査の異常などより、疾患の存在を疑い、血液尿検査や画像検査を用いて適切に診断し、治療を行っています。また、地域連携の一環として第三木曜日の夕方より「三木会(さんもくかい)」という症例検討会を行い、診療の質の向上を心がけています。気になる症状及び検査の異常がありましたら、一度、ご相談ください。

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