【第175号】「過換気症候群」について、「過換気症候群とこころ」 について | くす通信 | 国立病院機構 熊本医療センター

【第175号】「過換気症候群」について、「過換気症候群とこころ」 について

くす通信

過換気症候群(かかんきしょうこうぐん)について、過換気症候群と こころ

 【過換気症候群(かかんきしょうこうぐん)について】

 過換気症候群とは呼吸の回数が増え、出入りする空気が増えすぎてしまうため、血液中の酸-アルカリのバランスが崩れるところから手足のしびれや突っ張りを呈する状態となります。不安が高まるような出来事をきっかけに起こることが多く、最近のストレスの強さを反映していると考えやすいのですが、“呼吸障害”や“代謝障害”といった内科的な緊急状態が隠れていることがあり、決めつけは禁物とされています。過換気を起こした方は、一度はきちんと検査を受け、身体の問題がないことを確認しておかれることをお勧めします。

 基本的には一時的なことであり、呼吸を落ち着かせることで症状も次第に緩和することがほとんどです。かつては紙袋を口元にあてて呼吸し二酸化炭素を貯めること(ペーパーバッグ法)もされていましたが最近は勧められていません。少し静かな環境を用意し、本人の不安感に耳を傾けつつ、息を吐く時間を長めにとってもらいます。まずは5秒程度を目安にしますが、コツとしては本人に目を開けてもらい、援助者が実際にゆっくり息を吐くのを見てもらいつつ真似してもらうのがよいでしょう。 「実際には酸素は足りているから吸いすぎなくて大丈夫」と伝えてあげることも大事です。


 不安が発作的に襲ってくる方の場合、不安を和らげるための頓服薬をご用意することもあります。また、一日中だらだらと続く不安だったり、不安の予感があるために生活範囲に制限が出て来たりする場合、抗うつ薬といわれるお薬をご用意したりもします。抗うつ薬は、セロトニン神経という、不安を調整する神経の不調を改善することでその効果を発揮します。

 過換気の背景にある不安についてですが、神経過敏で疲れやすい、外出も手控えてしまう等、生活に支障を与えるほど不安が強い状態なら精神科受診をお勧めします。また、生活問題、人間関係、生活苦、孤立・引きこもり等々、多彩なことが影響を与えますので、ソーシャルワーカー、地域の保健所のスタッフ等へ相談し、具体的な解決策を探る取り組みも重要となります。どこに相談してよいかわからない場合、よろず相談所的な相談機関として熊本市精神保健福祉室などがあり、困りごとに合わせて利用すべき相談先・連絡先を教えて下さいます。

(救命・救急科医長 精神科医長 橋本 聡)

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 【過換気症候群(かかんきしょうこうぐん)とこころ】

 過換気症候群を引き起こすストレスには持続的な不安・恐怖・不満・怒り・焦り・緊張・プレッシャー・不眠といった「こころのストレス」と過労・運動不足・激しい運動といった「からだのストレス」があり、症状にはこころの問題が深く関係しています。また、特定の場所や人物、音、匂い・・・その人がストレスを感じやすい環境で生じることがしばしばあります。過換気発作を体験すると再び発作が起きるのではないかといった『予期不安』がつのり、症状を誘発させてしまうこともあります。

 学校や職場、家庭においても人々の「こころ」は複雑に絡み合い、気付かないうちにストレスを蓄積させています。この病気は、いわば誰にでも起きる可能性があるものといえるでしょう。


 過換気症候群の治療には心理カウンセリングも有効です。医師の診察に加えて、当院の心理療法士(臨床心理士有資格者)による認知行動療法や精神分析的心理療法、リラクゼーションなどの自律訓練法を受けることもできます。ご希望の際は主治医にお申し出ください。

過換気症候群の症状が出ている人に遭遇したら・・・

 そばに寄り添い、強い不安や切迫した苦しみがあることを理解しましょう。聞きたいことは回答が簡単な『クローズド・クエスチョン』(※)が適切です。
(※)「あなたの出身は熊本市ですか?」と『はい』/『いいえ』などで答えられる聞き方のこと。

 相手が自分を見ることのできる適度な距離で呼吸のモデルとなりましょう。訴える不安に対して安心させる言葉かけも大切です。

 空気を吸い込んだ倍の時間をかけて、ゆっくりと息を吐いてもらいましょう。口笛を吹くように口先をすぼめると良いとされています。

 胸や腹部の痛みがあったり、手足の痺れなどを起こしたりしているかもしれません。意識が朦朧としているときもあります。

 症状の背景にある様々な問題を一人で抱えず、専門家を利用することも1つの方法です。病院やクリニック、それぞれの地域にある保健所、行政なども利用できます。

(心理療法士 濱野 学)


診療科の特色

<精神科>

 総合病院の中にある精神科で、入院ベッドも有しています。精神面の不安定化だけでなく、身体の治療中に心理的に不安定となった方も含め、心身両面の問題を抱えた方々の治療・支援を行っております。救急病院は地域医療の玄関口でもありますので、患者・家族のご相談内容に合わせて多職種連携を行い、その後、かかりつけ医作りにも積極的に取り組んでおります。うつ病・不安障害・認知症などの外来相談も多数行っております。救急部と連携しながら精神科救急にも積極的に取り組んでおり、自傷・自死の問題については多職種連携を図りつつ全国に冠たる取り組みを行っております。


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