【第173号】前立腺癌と骨粗鬆症、骨密度測定について | くす通信 | 国立病院機構 熊本医療センター

【第173号】前立腺癌と骨粗鬆症、骨密度測定について

くす通信

前立腺癌と骨粗鬆症、骨密度測定について

 【前立腺癌と骨粗鬆症】  

 骨粗鬆症といえば女性特有の疾患であり男性には無関係という認識があるのではないでしょうか?そこで今回は男性に関係する「前立腺癌と骨粗鬆症」についてお話したいと思います。

 前立腺癌は、アメリカでは男性の癌のうち第1位の発生率であり、死亡率は肺癌についで第2位になります。わが国でも近年急増しており2020年には第2位の 罹患数※ りかんすう になると予想されております。
※対象とする人口集団から、一定の期間に、新たにがんと診断された数

参考: 株式会社メディコン 「ブラキ・サポート」より、
「前立腺がんの患者数について 」の図の前立腺の項目を加工

 前立腺癌の治療法はPSA監視療法(無治療経過観察)、手術療法(開腹手術、腹腔鏡下手術、ロボット支援腹腔下手術など)、放射線療法(外照射、小線源療法など)、ホルモン療法等があります。これらの治療法のうちホルモン療法が骨粗鬆症と密接に関連しています。治療法の選択は、癌の進行状態(病期)や悪性度、年齢や合併症の有無により異なりますので当院泌尿器科外来担当医にご相談ください。

 前立腺癌は、精巣や副腎から分泌される男性ホルモンの影響を受けて増殖しています。ホルモン療法は、この男性ホルモンの働きを抑えて、前立腺癌細胞の細胞増殖を抑制する全身的な治療法です。主に転移性前立腺癌に対する1次治療として行われます。ハイリスク症例における放射線治療との併用療法や転移のない前立腺癌においても年齢や合併症などのために手術や放射線治療が困難な場合にも行う事もあり、大切な治療法となっています。しかしながら、このホルモン療法は、男性ホルモンを抑えることで骨密度が低下し、いずれは骨粗鬆症や骨折を引き起こしてしまいます。


 このようにホルモン治療を行っている患者さまにおいて骨のマネジメントは重要であり、男性も女性と同様に正確に骨粗鬆症を診断し、適切な治療を行うことにより骨折を予防し、日常生活動作(ADL)を低下させず生活の質(QOL)を高く維持する事が重要と考えられます。

 粗鬆症の治療としては、生活習慣の改善(運動、禁煙、アルコールを控えることなど)、カルシウム、ビタミンD3製剤の補充、ビスホスホネート製剤の投与、デノスマブ投与などがあります。当科ではこのような患者さまに対し定期的な骨密度測定、採血(骨代謝マーカー検査など)を行い、早期に治療を導入し「骨の健康」に対する管理に積極的に取り組んでいます。


(泌尿器科医長 前田喜寛)

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 【骨密度測定について】

 骨塩定量検査は、X線を利用して腰椎や前腕骨を撮影し、X線が骨に吸収される割合から骨密度(カルシウム量)を測定する検査です。骨密度を図る方法はいろいろありますが、この方法が最も推奨され、X線の被ばく線量もごくごくわずかです。


  •  検査時には、測定部位に金属やボタン等があると正確な検査が出来ませんので、検査着に着替えていただく場合が有ります。
  •  検査台に仰向けに寝ます。呼吸は楽にしていただいて結構ですが、体を動かさないようにしてください。
  •  検査時間は測定部位によって異なりますが、10分~20分程度です。すぐに下図のような結果をお渡しすることができます。

 測定した部位の骨密度のほかに、同年齢の平均との比較、若年成人との比較などが表示されます。標準値グラフでは自分の骨密度がどのくらいなのかわかりやすくなっています。グラフの紫色で囲まれた領域が骨粗しょう症と診断される領域で、赤く表示されている領域が骨粗しょう症になる一歩手前の状態です。また、定期的に測定することで骨密度の推移をグラフで表示することができます。

 骨塩定量検査の目的は、骨粗しょう症の診断や管理、骨折リスクの評価、骨粗しょう症の治療効果の評価など様々です。


 骨粗しょう症とは、骨強度の低下を特徴とし、骨折の危険性が増大しやすくなる骨格疾患です。写真のように骨に軽石のような小さな穴ができて、骨が著しくもろくなります。男性と女性では圧倒的に女性の発症率が高く、更年期以後の女性は特に注意が必要です。

 骨粗しょう症の原因は①もともと骨量が少ない②運動量が少ない③カルシウム摂取量が少ない④閉経後に女性ホルモンの分泌が激減する等様々な原因があります。食生活の改善や適度な日光浴、適度な運動をすることで骨粗しょう症を予防することができます。

 骨粗しょう症は誰もがかかりうる可能性があります。日常生活を見直して、予防することが重要です。また、骨密度測定により骨粗しょう症の早期発見が可能です。定期的に検査することをお勧めします。

(放射線技師 古田祐己)


診療科の特色

<泌尿器科>

 泌尿器科で取り扱う疾患としては、尿潜血精査から尿路・性器悪性腫瘍、小児泌尿器科疾患、尿失禁・下部尿路機能障害まで行っています。特に、尿路性器腫瘍(腎細胞癌、腎盂・尿管癌、膀胱癌、前立腺癌、精巣癌)の治療には力を入れており、膀胱癌を中心とした尿路上皮腫瘍は症例数、手術数においても十分な実績及び経験を積んでおり、特に膀胱癌の治療においては、過去10年間に約200例の膀胱全摘術を行っており、症例数としては国内トップレベルです。

グリーンライトレーザーによる
経尿道的前立腺蒸散術(PVP)
 また、平成24年1月より前立腺肥大症に対して導入したグリーンライトレーザーによる経尿道的前立腺蒸散術(PVP)は、出血もほとんどないため1週間弱の入院で治療可能です。現在までに約250名の患者さまがグリーンライトレーザー治療を受けられました。

密封小線源治療
(ブラキセラピー)
 平成26年3月より放射線科の協力のもと、前立腺癌に対して密封小線源治療(ブラキセラピー)を開始しました。前立腺癌に対する治療としてホルモン治療や手術療法、放射線療法(ブラキセラピー等)など、総合病院の特性を活かした治療選択肢を揃え対応しています。平成27年1月からは尿管結石の治療にホルミウムレーザー装置を導入し、主に体外衝撃波治療で砕石できなかった患者さまや全身状態が悪いリスクの高い患者さまなどへの治療も可能になりました。今後も、より先進的で安全かつ質の高い医療を提供してきたいと考えております。

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