【第172号】手術で症状改善! 慢性硬膜下血腫、慢性硬膜下血腫で入院される方の看護について、慢性硬膜下血腫の手術について | くす通信 | 国立病院機構 熊本医療センター

【第172号】手術で症状改善! 慢性硬膜下血腫、慢性硬膜下血腫で入院される方の看護について、慢性硬膜下血腫の手術について

くす通信

手術で症状改善! 慢性硬膜下血腫

慢性硬膜下血腫で入院される方の看護について、慢性硬膜下血腫の手術について

 【手術で症状改善! 慢性硬膜下血腫】

 慢性硬膜下血腫はゆっくりと、通常3週間~3ヶ月の期間に硬膜下に血液が貯留してくる病気です。多くは頭部外傷の後に発症しますが、外傷の既往がない場合も20~30%程度見られます。男性に多く、特に60歳以上が約半数を占めます。

 発症に影響する因子として
①アルコール多飲
②脳の萎縮
③脳梗塞の予防の薬(抗凝固剤)を飲んでいる場合
④水頭症に対するシャント術後
⑤透析中
⑥癌が硬膜に転移している場合
などが挙げられ、慢性硬膜下血腫を生じやすい条件として注意が必要です。

 症状は出血部位により様々であり、頭痛、意欲の低下、認知機能の低下、片麻痺、失語(言葉が上手にしゃべれない)、尿失禁などが見られます。通常、症状は徐々に進行していきますが、稀に血腫腔内に出血が起こり、他の脳卒中のように突然麻痺や意識障害が起きることもあります。硬膜下血腫をきたしても無症状に経過し、自然吸収される例も少なくありません。

 頭部外傷後、左記症状が徐々に進行していくような場合は本疾患を疑うべきです。診断には頭部CTあるいはMRIが必須であり、症状と血腫の場所に関連性があると考えられれば外科的治療が必要になります。

 治療は局所麻酔下に穿頭術(頭に穴をあける)を施行し、血腫内容を洗浄除去し血腫腔内にドレーンを残すという方法が推奨されています。穿頭術後の再発率は8~20%との報告があり、術後1ヶ月前後の早い時期で見られます。再発しても症状が無ければ内服等で保存的に治療を行いますが、症状が出現してしまった場合は再度手術を行うことになります。再発を繰り返す場合は、開頭術が必要になることもあります。


 本疾患は治療を行うことで症状の改善が見込めます。特に高齢者で、比較的急に進行する認知機能の低下を認めた場合、治療可能な認知症として本疾患を疑うことが重要となります。

(脳神経外科医師 甲斐恵太郎)

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 【慢性硬膜下血腫で入院される方の看護について】

 慢性硬膜下血腫の病態は緩やかに進行します。多くは頭の外傷の後に発症しますが、頭を打って数日が経過した後に症状がでてくることがあります。

 症状は頭痛や意欲低下、今まで日常生活が問題なく過ごせていた方が、 認知障害(いわゆる物忘れ)、怒りっぽくなる、歩いているときふらつきがある等、周囲の方が気づくケースが多くみられます。

 アルコールの量が多い方や高齢のため外傷の記憶を忘れている場合が多いので、周囲の方からの情報が重要になってきます。日頃から周囲の人々の見守りが、症状の早期発見につながります。疑わしい症状がある場合は、早めの受診をお勧めします。認知障害のある方の場合は、本人のご理解を得られにくいことが多いので、ご本人のお気持ちを察しながら受診を勧めてください。

 検査の結果、手術が必要な場合は、手術に必要な検査を行います。早ければ受診当日に手術が行われますので、手術準備で慌ただしく、ご家族の不安も大きいと思います。手術や経過に関してご心配な点は、いつでもご相談ください。

 手術後は、病状観察を密に行うため、当病棟ではNCUと呼ばれる観察室で過ごしていただきます。頭にドレーン(細い管)を留置しますが、この管が抜けないように注意して観察します。通常は、翌日CT撮影し問題なければドレーンは抜去します。抜去後は、安静も解除され歩行も可能となり、日常生活の制限はほとんどなくなります。

 もともと転倒などがきっかけで頭部を打撲されるケースが多いので、入院生活でもふらつきなどによる転倒に気をつけます。

 1週間程度で退院できますが、状態が良ければ管が抜けた翌日に退院し、外来で抜糸することもできます。しかし、退院後に再発するケースもありますので、周囲の方が言動を見守り「おかしいな」と感じたら、再発を疑い早めに受診してください。特に抗凝固剤など(血液がサラサラになるお薬)を飲まれている方は、発症も再発も起こりやすいので注意が必要です。

(脳神経外科病棟看護師長 池田としえ)

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 【慢性硬膜下血腫の手術について】


 慢性硬膜下血腫に対しての手術(穿頭血腫洗浄ドレナージ術)は、前頁の医師の説明にもありますが、局所麻酔下に皮膚を3~4cm切開、穿頭(直径1cmくらいの孔をドリルで開けること)して、溜まった流動性の血腫を頭の外に流出させます。患者さまは主治医や手術室の看護師とお話しをしながら手術を受け、ドレーンというチューブが入った状態で部屋に戻ります。


 CT、MRIなどで手術が必要な慢性硬膜下血腫が発見された場合、入院して治療を行うこととなります。入院当日、または数日以内に上記手術(穿頭血腫洗浄ドレナージ術)を行います。手術室では、患者さまにとってベストなタイミングで手術が出来るよう、予定手術や他の緊急手術等との調整を図って手術室へ入室していただきます。

(手術室看護師長 清田喜代美)


診療科の特色

<脳神経外科>

  脳神経外科は平成6年に開設され、平成9年には日本脳神経外科学会専門医教育認定施設となり、研修指導を行っております。
 平成21年4月には、脳神経外科手術用の最新式顕微鏡(三鷹光器社製MM80)が導入され、また、同年10月の病院新築に伴い専用の手術室も整備されました。また、新しく術中のICG蛍光血管撮影装置(三鷹光器社製F-light 300)や術中の誘発筋電図(MEP、SEP日本光電)も整備されましたので、顕微鏡手術の安全性・確実性は更に向上されました。現在スタッフは3名ですが、豊富な入院患者数および手術実績を背景に、満足のいく治療成績を提供できるものと考えております。


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