【第170号】出血傾向について、 出血傾向を調べる際に行われる検査について | くす通信 | 国立病院機構 熊本医療センター

【第170号】出血傾向について、 出血傾向を調べる際に行われる検査について

くす通信

出血傾向について、 出血傾向を調べる際に行われる検査について

 【出血傾向について】

 今回は「出血傾向」についてお話しします。ただ出血傾向の話の前に、どうやって血が止まるのか、つまり血の止まる仕組み(=止血)についてお話しします。

 血には1次止血と2次止血があります。1次止血は血管が破れ出血すると血管の壁は収縮し、血小板という細胞が集まり傷口をふさぐことです。そのあとの2次止血は、そのふさいだ部分を頑丈にするためにタンパクの一種である凝固因子が働き、フィブリンという網の目のネットが作られ、集まった血小板を覆います。

 このように出血している傷口を血小板がふさぎ、さらにそれを強固なものとするため凝固因子が働き、その結果作られたフィブリンで覆ってやることで血が止まるのです。


参考:一般社団法人 日本血液製剤協会  血が止まる仕組みの図

 「出血傾向」は上記の止血を担う、いろいろな因子が異常になることで発症します。

 症状は鼻血や口腔内出血(歯肉出血)などは気づきやすいのですが、手や足に認めやすく皮膚の毛細血管が出血して起こるような青あざ(紫斑)ないし小さな赤い点々(点状出血)は痛みやかゆみもないので気づかれにくい症状です。

 原因は大きく3つに分けることができます。
1.血管の異常 2.血小板の異常 3.凝固因子の異常

 原因はわかりませんが、免疫的な異常で血管が障害され、皮膚に点状出血、紫斑があらわれます。腹部症状、関節症状と腎障害も併発します。小児に多い疾患で、再燃することもありますが、ほとんどは自然経過で治ります。

 こちらも原因は不明ですが、かぜなどの感染症の後に血中に血小板に対する自己抗体ができることで起こる疾患です。急に血小板だけが減少し手や足の点状出血で気づかれます。ステロイドでほとんどの方が治りますが、その薬が効かない患者さんでも、最近は新薬でエルトロンボパグやロミプロムスチンという薬が効く患者さんもいます。

 男性に発症することが多い遺伝性凝固異常症です。凝固因子の第Ⅷ因子と第Ⅸ因子が生まれたときから(=先天的)欠損している疾患です。特徴的なのは出血が関節や筋肉に認められます。治療は先天的にその因子がないため、凝固因子を補充します。補充することで出血も予防できますので、手術も対応はできます。

 以上、今回止血の仕組みと、出血傾向をきたす疾患の代表的なものを述べました。その他にも血小板減少を示す病態はいろいろあり、その中には血液のがんである白血病なども隠れている場合もあるため、症状があるときにはかかりつけの病院でも構いませんので採血を行ってください。

(血液内科医長 井上 佳子)

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 【出血傾向を調べる際に行われる検査について】

 人間の体の仕組みには,出血すると血液中の血小板と様々な因子(凝固因子)の連携により血液を止めようとする働き(止血機構)があります。この働きがうまくいかないと出血傾向がみられます。

 出血傾向の原因には血小板の異常、凝固因子の異常、他に線溶系の異常、血管の異常、血流の異常などがあります。

 出血があった時に止血する機能がきちんと働くかどうかを調べるために、採血(血算、凝固検査)、出血時間などの検査を行います。

 血小板数の減少や機能低下があったり、毛細血管が弱くなったりすると、出血が止まりにくくなります。

* 採血した血液(血算)で血小板の数などを測定します。
 血小板数(PLT)
 基準値:15万~35万/μl
 主な役割は止血です。傷ついた血管の部分に集まり、血小板同士で凝集することで傷ついた血管をふさぎ、止血します。

* 出血時間
 基準値:1~5分
 耳たぶに小さな傷をつけ、自然に血が止まるまで血液を30秒ごとに紙で吸い取ります。

* その他、血小板凝集能、骨髄穿刺などがあります。


 凝固因子の欠乏や機能異常があると出血が止まりにくくなります。

* 採血した血液(凝固検査)で血液が凝固するまでの時間を測定します。
 ・プロトロンビン時間(PT) 基準値:70~130%
 ・活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT) 基準値:25~35秒
 血液が凝固するにはⅠ~ⅩⅢの凝固因子が働きます。2つの検査の結果から欠乏が疑われる凝固因子がわかります。



* その他、フィブリノゲン量(Fib)、フィブリノゲン・フィブリン分解産物(FDP)などがあります。



(臨床検査血液主任 濱口 絵実)


診療科の特色

<血液内科>

 血液内科というと私は知人から「血管の病気を診るお医者さんですか?」と言われたことがあるのですが、みなさんはどう思われますか?実は血液内科医は血液中に流れている細胞が異常になる白血病や悪性リンパ腫や多発性骨髄腫といった血液のがんや、がんでなくても血液中の細胞の数や成分が少なくなることで発症する貧血や今回ご紹介した出血傾向などを主に診ています。血液のがんは、発生頻度が他のがんと比べて少ないため、皆さんにとっては聞きなれない病気と思います。ただ、血液のがんは近年新しい抗がん剤が沢山できていること、骨髄移植や臍帯血移植がずいぶん確立されたこと、抗がん剤で抵抗力が弱った際にいろんなバイ菌が引き起こす感染症(肺炎など)をやっつける薬(抗菌剤など)の種類がとても多くなり感染症管理も以前からするとずいぶん向上したこと、などから私感ではありますが、今後さらに研究が進むと治るがんの1つになるのではと考えています。

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