【第168号】慢性閉塞性肺疾患(COPD) について、禁煙のくすりについて | くす通信 | 国立病院機構 熊本医療センター

【第168号】慢性閉塞性肺疾患(COPD) について、禁煙のくすりについて

くす通信

慢性閉塞性肺疾患(COPD) について、 禁煙のくすりについて

 【慢性閉塞性肺疾患(COPD) について】

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、一般的には肺気腫として知られていますが、肺気腫を認めないものもあります。COPDの発症には喫煙が最も大きな危険因子として挙げられます。近年価格の上昇もあってか紙巻きタバコの販売数は減少しつつあります。しかしながら依然その販売数は多く(1,969億本:2013年 日本たばこ協会)、女性や20歳未満の喫煙率が上昇していることも問題となっています。

 COPDの主な症状としては慢性の痰を伴う咳があり、進行例では体動時の呼吸困難があります。更に進行すると安静時でも呼吸困難を自覚するようになり、そのため食欲の低下、外出せずに自宅に居ることが多くなる、自宅に居ても居間など一定の場所から殆ど動かなくなるなどといった状態になります。そうなると全身の筋力も低下するため体は痩せ、より体動が困難な状態になります。その他、骨粗鬆症(骨への荷重が少なくなるため)、睡眠障害(睡眠中の低酸素状態のため)などといった症状も見られます。そういった身体的な問題だけではなく、慢性的な呼吸困難、食欲が低下する、外出が少なくなるなどの状況は精神面にも影響を及ぼすため、抑うつ状態になる傾向があります。

 治療として第一に重要なことは禁煙することです。但し、症状が既に出現している場合、禁煙だけで症状が改善することはありません。喫煙とCOPDとの関係は例えるならば鉄などの金属に毎日水をかけて放置するようなものです。水をかける量が多く、またその期間が長い程に金属は錆びていきます。そして水をかけることを止めたからといって錆びが取れて元に戻ることは無く、変化は少なくなるものの浸食は続いていきます。つまり、COPDは進行する病気です。そのため出来るだけ早期の禁煙が必要です。

 既に出現している症状に対してはその程度に応じての処方がなされます。体動時に強い呼吸困難、或いは安静時にも呼吸困難を自覚する場合には在宅酸素療法も考慮されます。これらの処置は単純に症状の軽減を図るだけではなく、COPDによって低下してしまった日常生活の質を取り戻すために行います。その他に最近テレビのCMなどで見かけるようになりましたが、肺炎球菌ワクチン接種も重要です。COPDは肺炎を合併すると重篤化することがあるため、65歳以上の方々は勿論、COPDなどの慢性呼吸器疾患を患っている患者さんには通常の感染予防に加えて接種をお勧めします。これから寒くなり、風邪を引くこともあるかと思います。その際は早めに治療を行い、長引かせないよう心がけて下さい。

(呼吸器内科医長 名村 亮)

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 【禁煙のくすりについて】


 喫煙をされている人なら一度は「今度こそやめる!」と禁煙を決意された経験がある方が多いと思います。意志の強い方は禁煙に成功されたかもしれませんが、残念ながら禁煙に失敗された方のほうが多いのではないでしょうか。タバコの依存性は皆さんが想像しているよりもはるかに根強く、タバコに含まれるニコチンは麻薬にも劣らない依存性があります。ニコチンの依存性には二つの側面があります。

 一つ目はニコチンが脳から快楽物質を放出させ快感や報酬感を与え、喫煙を続けてゆくうちにニコチンがないとイライラする、落ち着かないといった身体的依存があります。二つ目にタバコがないと手持ちぶさたや口寂しいといった心理・行動的依存があります。このような依存性が有り、禁煙が自分の意志だけでは難しいことを理解していただけたかと思います。禁煙方法の一つに禁煙補助薬を使用する方法があります。禁煙補助薬品にはニコチンを含む製剤(パッチ、ガム)とニコチンを含まない飲み薬(バレニクリン)があります。ニコチン代替療法は、禁煙時に出現するニコチン離脱症状に対して、ニコチンを薬剤の形で補給しその症状を緩和しながら、まず心理・行動的依存から抜け出し、次にニコチン補給量を調節しながら、ニコチン依存から抜け出すというものです。

 パッチ製剤には医師により処方される医療用とドラックストアで販売されている一般用があり、ガム製剤はドラックストアで販売されています。一方、バレニクリンは、ニコチン製剤と同様に禁煙に伴う離脱症状や喫煙の切望感を少なくするとともに、服用中に再喫煙した場合にタバコがおいしくないと感じさせ、喫煙から得られる快感や報酬感を小さくします。バレニクリンは医療用のみで、服用するには医師の処方箋が必要です。場合によっては吐き気や頭痛などの副作用が現れることがありますので、医師の指示に従って、正しい用法・用量で使用して下さい。禁煙補助薬品には以下に示す条件を満たすと健康保険等が適応となる場合があります。

 このように禁煙補助薬を使用しながら禁煙をおこなってゆくことにより禁煙成功率は格段に上がるはずです。また禁煙を始めるタイミングに遅すぎるといったことはありません。ぜひこの機会にかかりつけの医師や薬剤師に相談してみて下さい。

(薬剤科 濵﨑 翔平)


診療科の特色

<呼吸器内科>

 呼吸器内科は現在、名村医師が常勤医として外来・病棟の診療に当たっています。その他には非常勤ではありますが3名の医師が外来の診療に携わっています。当科は肺炎などの呼吸器感染症の他、気管支喘息や肺気腫、肺癌といった割合良く知られている疾患を中心に診断および治療を行っています。特に肺癌は他の癌と比較して罹患率・死亡率共に上位に位置し、今も増加傾向を示しており、早期の診断が重要となります。当科では気管支鏡検査も行っており、肺癌を含め種々の呼吸器疾患の早期診断に努めています。


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