【第166号】脳梗塞の血栓溶解療法の適応が4.5時間に拡大、脳梗塞のリハビリテーションについて | くす通信 | 国立病院機構 熊本医療センター

【第166号】脳梗塞の血栓溶解療法の適応が4.5時間に拡大、脳梗塞のリハビリテーションについて

くす通信

脳梗塞の血栓溶解療法の適応が4.5時間に拡大、脳梗塞のリハビリテーションについて

 【脳梗塞の血栓溶解療法の適応が 4.5時間 に拡大】  

 脳血管が閉塞して生じる脳梗塞では、発症間もない“超急性期”であれば、閉塞血管を再開通する血栓溶解療法(tPA静注療法)を行います。この時に用いられる点滴薬が組織プラスミノゲンアクチベータ(tPA)で、強力に血栓を溶かす働きがあります。この治療は薬剤を点滴する方法で用いるものであり、医療者の特殊な技術は必要なく、患者さんの苦痛も通常は伴いません。

 わが国でも2005年10月に脳梗塞を発症して3時間以内の超急性期症例へのtPA静注療法が承認され、急性期脳梗塞の治療は“再発、症状進行の予防”と“早期リハビリテーション”から、“閉塞血管の再開通”による積極的な症状改善を目指した治療へと変化しました。しかしながら実際にその治療が適用される症例は、急性期脳梗塞症例の1.8~5.2%とごく少数に過ぎず、適応が限られる最も大きな要因は、3時間以内の治療開始という時間的制約でした。


 そのような中で、2008年の欧米での大規模研究の結果から、わが国でも2012年9月から治療可能時間の適応が3時間から4.5時間へ拡大されました。脳梗塞超急性期の症例を診療する当院でも、tPA静注療法の適応症例の増加を予想していましたが、2012年度の実際の治療実績は12症例で,2011年度の5症例を大きく上回り、やはり適応時間拡大の影響は大きいようです。

 このようにtPA静注療法の症例数は今後も増加すると見込まれますが,ここで忘れてはならないことは、この治療法が適応時間内に行えばよい治療ではなく、“早ければ早いほど良い治療”ということです。脳梗塞では多くの場合、血管が閉塞した瞬間に脳障害が完成するわけではありません。発症から脳の完全な障害までには数時間の時間差があります。そのため少しでも早く治療を開始して血流再開を早めることで、脳のダメージをより少なくすることが可能となります。適応時間が4.5時間に拡大されて、確かに時間的余裕はできましたが、最大限、迅速な対応が必要な治療であることに変わりはありません。当院ではできるだけ多くの患者さん方に最良の治療を受けていただけるよう努めていく所存です。

(神経内科医長 幸崎弥之助)

-*-*-*-*-*-     -*-*-*-*-*-

 【脳梗塞のリハビリテーションについて】

 リハビリテーションの目的はつあります。





  (例)熊本医療センター 救命救急センター

目的 廃用症候群の予防と早期からの離床によるセルフケアなどの日常生活動作の向上を目指します。ベッドサイドから、血圧の変動、誤嚥、褥瘡、高血糖、低栄養、痙攣発作、深部静脈血栓症、不整脈、心不全などの合併症に注意しながら行います。


関節可動域運動

 ポジショニング(褥瘡予防)
 関節可動域運動(関節拘縮予防、麻痺側への刺激)
 筋力運動(残存機能強化)
 起居動作練習、座位練習、移乗動作練習(早期離床)



  (例) ○○リハビリテーション病院 回復期病棟

目的 積極的なリハビリテーションを行うことにより、セルフケア、移動、コミュニケーションなど、能力の最大限の回復および早期の社会・家庭復帰を目指します。


平行棒内歩行練習

 機能(麻痺)障害の回復練習
 機能(麻痺)障害の回復練習
 歩行練習(平行棒・杖などを利用して)
 日常生活動作練習(身の回りのことや家事動作など)
 福祉機器・福祉用具・補装具の提案、作製
 言語機能障害の回復練習
 摂食嚥下練習
 社会資源の利用(介護保険申請など)



   (例)施設や自宅等

目的 得した自立動作の維持、関節拘縮・筋力低下や褥創を含む合併症を予防します。

 外来リハビリ
 訪問リハビリ

療法士が定期的に患者宅を訪問し、日常生活動作能力低下を防ぐための練習や、住宅改修や福祉機器などに関するアドバイスなどを行います。

 通所介護(デイサービス)

施設で、食事・入浴の提供や日常生活動作の練習、レクリエーションなどを行います。

 通所リハビリ(デイケア)

介護老人保健施設、病院などで、可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう、食事や入浴などの日常生活上の支援や、生活機能向上のための機能練習を利用者の状況に合わせて療法士などが行います。

リハビリテーションの種類   


理学療法

麻痺の改善を促すとともに、寝返りや起き上がり、歩行など日常生活を行う上で必要な基本的動作能力の回復を図る練習を行います。

作業療法

食事、整容、更衣、排泄、入浴などの身の回りのことの練習、家事などの練習、職業関連活動の練習、福祉用具使用などの練習、住環境への適応練習などを行います。

言語療法

言葉の障害や高次脳機能障害、飲み込みの障害などの問題に対して機能回復練習や必要な検査及び助言、指導を行います。

(理学療法士長 高野雅弘)


診療科の特色

<神経内科>

 神経内科は、脳、脊髄、末梢神経、骨格筋が障害される疾患を診断・治療する診療科です。精神科や心療内科と混同しないようにしてください。もし運動障害(筋力低下、不随意運動、痙攣)、感覚障害(しびれなど)、歩行障害、頭痛、めまい、等ありましたら当科の受診をお勧めします。
 具体的な疾患としては、脳の血管が急に閉塞して顔・手足の麻痺や言語障害などを生じる脳梗塞、脳炎や髄膜炎などの中枢神経感染症パーキンソン病多発性硬化症重症筋無力症多発筋炎などの神経難病の他、頭痛てんかんなども診療しています。
 なお、当院は日本神経学会教育施設、日本脳卒中学会認定教育病院に認定されており、脳梗塞急性期におけるtPA静注療法の施設基準も満たしています。

-*-*-*-*-*-     -*-*-*-*-*-

国立病院機構 熊本医療センター
診療時間 8:30〜17:00
診療受付時間 8:15〜11:00
休診日 土・日曜日および祝日

  急患はいつでも受け付けます。  

 診療科   

■総合医療センター 総合診療科、血液内科、呼吸器内科
  糖尿病・内分泌内科、腎臓内科
■消化器病センター 消化器内科
■心臓血管センター 循環器内科、心臓血管外科
■脳神経センター 脳神経外科、神経内科
■感覚器センター 眼科、耳鼻いんこう科、皮膚科
■画像診断・治療センター 放射線科
■救命救急センター 救急科
■精神神経科 ■小児科    ■外科     ■整形外科
■リハビリテーション科 ■泌尿器科     ■産婦人科
■歯科、歯科口腔外科 ■形成外科  ■麻酔科  ■病理診断科