【第152号】密封小線源治療 (ブラキセラピー) について、 前立腺がんの 永久挿入 密封小線源治療 | くす通信 | 国立病院機構 熊本医療センター

【第152号】密封小線源治療 (ブラキセラピー) について、 前立腺がんの 永久挿入 密封小線源治療

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“前立腺がん”は切らずに治せます 密封小線源治療 (ブラキセラピー) について

前立腺がんの 永久挿入 密封小線源治療

 【“前立腺がん”は切らずに治せます 密封小線源治療 (ブラキセラピー) について】

 みなさんは‘前立腺がん’という病気をご存じですか?新聞やニュースで政治家や有名芸能人らが治療しているのを聞いたことがある、という方もいれば前立腺肥大症と前立腺がんってどこが違うの?という方、はたまた前立腺がどこに有るのか判らない方もいるでしょう。前立腺は男にしかない臓器で、膀胱の出口で尿道の周りを取り囲んでいます。そこにできるがんが前立腺がんです。
 前立腺がんは日本で今どんどん増えている病気です。あと5~6年で男の人では肺がんに次いで2番目に多いがんになります。およそ8万人が罹ると予想されています。50歳以上の男性で数百人にひとりが罹るのならば、ご自身のみならずご家族ご親戚まで含めるとそれはもう他人事ではありません。
 このがんの始まりは前立腺の外側にできるので、よほど進行しない限りは尿の出方にあまり関係しません。知らぬ間に進行する病気です。前立腺がんを完治できる方のほとんどは無症状です。だから症状がなくても採血(PSA測定)で早期発見する事が大事です。検診や泌尿器科のある病院での診察を定期的に受けましょう。
 不幸にして前立腺がんがみつかった方でもすぐ人生をあきらめる必要はありません。前立腺がんを完治するためにいろいろな治療がでてきました。主に薬物療法、手術療法、放射線治療の3つの方法がありますが、それぞれの治療法が近年さらに進歩しています。その中でも当院で来春導入予定の放射線最新治療の一つである密封小線源治療、別名ブラキセラピーについて説明します。
 ブラキセラピーとは前立腺の中に弱い放射線を出す種のような形の金属を埋め込んで、内部からがん細胞を死滅させる治療法(図1)です。

図1 (図1)

前立腺がん患者の多い米国では15年前から行われている一般的な治療法のひとつで、前立腺を摘出する手術と同程度の効果があることが証明されています。日本では2003年に認可に至り、現在年間に2,000人以上の患者さんがこの治療をうけられています。麻酔は下半身麻酔で、治療時間は2時間~3時間です。この方法だと手術療法の合併症である尿失禁・勃起射精障害はほとんど生じず、日常生活で問題になることもほとんどありません。また、入院期間(3泊4日)も短いためすぐに社会復帰できるという利点があります。

 症状がないのに前立腺を摘出する手術を受けることになったが、その後の勃起不全や尿失禁の心配をするのは困るなど、ご質問のある方がいらっしゃいましたら是非当科にご相談ください。

(泌尿器科医師 脊川 卓也)

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 【前立腺がんの永久挿入密封小線源治療】

 限局性前立腺癌の治療法の一つに永久密封小線源治療があります。この治療法は放射線治療の一つで、小さな放射線源を前立腺内に挿入して照射するもので、組織内照射とも言われています。

どのような治療か 線源

 弱い放射線を出す小さな線源(放射性ヨードI-125、直径0.8mm、長さ4.5mm)を直接前立腺内に挿入し、前立腺内の癌組織に放射線を照射します。この線源は前立腺内に挿入したままとなります。放射線は自然に弱まり、1年後にはほとんどゼロになります。

線源をどのように挿入するか

 麻酔を行い、超音波画像を見ながら会陰(陰嚢と肛門の間)から前立腺に向けて針を刺して、その針を通して線源を前立腺内に挿入します。針を刺入する位置や本数、線源を留置する場所や個数は、3方向から見た超音波画像を使い、コンピュータ(治療計画装置)で計算して決定します。

X線写真 前立腺内に挿入された線源(赤丸内)のX線写真

治療計画装置のシミュレーション画像

治療の大まかな流れ

 線源の挿入治療を行う3~4週間前にご来院いただき、実際の治療室で超音波検査(経直腸的)を行います。この検査は、事前に線源を配置する位置や線源の数を決めるために行う前立腺の計測です。治療当日は個室にご入院いただき、原則として3~4日間の入院となります。また約1ヶ月後にCTを撮影し、実際に照射できた線量を計算します。その後は定期的に外来通院していただき経過観察を行います。

CT

さいごに

 ご紹介した治療は、泌尿器科医/放射線治療医/麻酔科医/診療放射線技師/看護師という、各分野の専門スタッフが診療にあたります。全てのスタッフが、安全でかつ最適な治療の実践に取り組んでおります。治療にあたってご不明な点等がございましたら是非御相談ください。

(放射線治療センター 診療放射線主任技師 川崎 年久)


診療科の特色

<泌尿器科>

 泌尿器科では尿の生成と排出に関わる腎臓・尿管・膀胱・尿道と男性生殖器である精巣・前立腺やホルモンに関係する副腎に起こる病気を対象としております。これらに発生した「がん」を中心として、尿路感染症や前立腺肥大症・尿失禁といった排尿機能障害の治療を現在7名の医師で担当しております。前立腺肥大症に関しましては2011年に最先端のグリーンライトレーザーを導入し、年間100例近くの患者さまが治療を受けられ、良好な結果を得ています。本年度には前立腺がんに対する密封小線源治療(ブラキセラピー)も導入予定です。常に最新の医療を患者さまにお届けできるよう、また患者様の満足度に貢献できるよう日々鋭意努力しております。お困りのことがあれば是非ご相談ください。

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