【第146号】てんかんについて、 てんかんで使用される薬について | くす通信 | 国立病院機構 熊本医療センター

【第146号】てんかんについて、 てんかんで使用される薬について

くす通信

てんかんについて、 てんかんで使用される薬について

 【てんかんについて】

 人間の脳の神経細胞は普段より絶え間なく電気的活動を行っており、これを調節することで、物事を考えたり、手足を動かしたり、色々なことを感じたり、様々なことを可能にしています。「てんかん」とは、この電気的活動が突然乱れることにより生じる病態です。その部位により症状(発作)は多彩ですが、その中でも代表的なものに痙攣があります。ただし、「てんかん」は繰り返し起こることが特徴ですので、1回だけの発作であれば、通常は「てんかん」という診断にはなりません。

 診断に最も重要なのは、病歴です。発作がどういう状況で起こって、どれくらい持続し、発作前・中・後はどのような状態だったのか、などの情報が大切になります。

 検査として重要なのは、まず脳波です。これは、脳神経の微小な電気的活動を測定し、その中の「乱れ」を検出することで診断します。ただし、「乱れ」があるときに測定されなければ、当然異常は検出されません。またその異常部位によってはわかりにくい場合もあり、脳波で異常がないことが、「てんかん」という診断を否定することにはならないのです。
 また、脳に何らかの器質病変を伴うことも多く、頭部CT・MRIなどの画像検査も診断に有用な場合があります。
 その他、「てんかん」以外の病態(低血糖、低酸素、ショック、電解質異常、不整脈、など)の有無に関してチェックすることも重要です。

 治療の基本は、抗てんかん薬の内服です。多くの種類がありますが、原因や発作のタイプによって適切な薬剤を選択し、効果や副作用の有無に関して、血中濃度などを測定しながら、経過をフォローします。抗てんかん薬以外でも併用する薬によっては、互いに薬効を強めたり、弱めたりするものもあり注意が必要です。以前は肝臓で代謝される薬がほとんどでしたが、最近は腎排泄の薬も増え、相互作用の少ない薬も出てきています。
 また、内科的治療でコントロール困難な場合は、外科治療や迷走神経刺激術などの適応を考慮する場合もあります。

 日常生活で気をつけることは、まず規則正しい生活を送ることです。疲労や睡眠不足は発作の誘因になります。また、過度の飲酒も控えるべきです。内服薬は決められた通りに服用する必要があります。自己判断で量を変更したり、中断したりするようなことは絶対に避けましょう。自動車運転免許は、発作の状況によって許可される場合とされない場合がありますので、その都度主治医と相談するようにお願いします。

(神経内科医長 田北 智裕)

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 【てんかんで使用される薬について】

薬を使うにあたって
 目標は、てんかん発作を副作用なくコントロールし、生活に支障が出ないようにすることです。原因や発作のタイプは大きく2つに分けられ、脳全体が発作状態になる全般発作脳の一部分に発作が起こる部分発作があります。治療薬も両者によって使い分けを行います。



薬の使い始めと増量
 治療はまず単剤での開始が基本です。これは薬物の相互作用を避けることができ、副作用の管理が容易になります。単剤で効果が得られない場合には、新しい抗てんかん薬などが追加されます。また、目的量に近くなった時点で、薬剤の血中濃度を測定します。各薬剤には有効な血中濃度があり、同じ投与量でも血中濃度や効果が個人により異なります。有効血中濃度以下で発作が止まっていない場合は、薬剤の増量を行います。

薬の継続
 薬の量が発作の抑制に適切であれば、継続することが治療の基本になります。患者さんは忘れないように薬を服用することが大切です。服薬が不規則であれば体内の薬の量が安定せず、治療の目的が達せられないからです。

副作用
 抗てんかん薬は作用が過剰になった場合、中枢神経が抑制され眠気などの症状が出現します。これらは共通して出現する副作用です。また副作用には、①飲み始めに出るもの、②服薬量が多いために出るもの、③アレルギーにより特定の人に出るものがあります。


飲み合わせ
 抗てんかん薬は肝臓で代謝されて効果を発揮する薬がほとんどで、飲み合わせが悪い食べ物などがあります。たとえば西洋オトギリソウ(セントジョーンズワート)は薬の効果を下げます。グレープフルーツは薬の効果を上げて副作用が出やすくなることがあります。市販の薬の服用、健康食品などを摂取される方は、医師・薬剤師に問い合わせてください。

(薬剤師 高田正温)

診療科の特色

<神経内科>

 神経内科は、脳、脊髄、末梢神経、骨格筋が障害される疾患を診断・治療する診療科です。精神科や心療内科と混同しないようにしてください。もし運動障害(筋力低下、不随意運動、痙攣)、感覚障害(しびれなど)、歩行障害、頭痛、めまい、等ありましたら当科の受診をお勧めします。
 具体的な疾患としては、脳の血管が急に閉塞して顔・手足の麻痺や言語障害などを生じる脳梗塞、脳炎や髄膜炎などの中枢神経感染症、パーキンソン病、多発性硬化症、重症筋無力症、多発筋炎などの神経難病の他、頭痛、てんかんなども診療しています。
 なお、当院は日本神経学会教育施設、日本脳卒中学会認定教育病院に認定されており、脳梗塞急性期におけるrtPA(アルテプラーゼ)静注両方の施設基準も満たしています。

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