【第145号】特発性間質性肺炎を知っていますか?、 肺機能検査について | くす通信 | 国立病院機構 熊本医療センター

【第145号】特発性間質性肺炎を知っていますか?、 肺機能検査について

くす通信

特発性間質性肺炎を知っていますか?、 肺機能検査について

 【特発性間質性肺炎を知っていますか?】

 皆様、特発性間質性肺炎という病気をご存じでしょうか?

 「肺炎」という言葉からは病気の深刻さを感じませんが、実は簡単に治してしまうことのできない病気なのです。肝臓が硬くなって縮む「肝硬変」という病気がありますが、特発性間質性肺炎とは肺の「肝硬変」みたいな病気のことです。



 人間の肺は「肺胞」と呼ばれる数億個の袋の集合体であり、肺胞の中で行われるガス交換(酸素と二酸化炭素を交換する)が呼吸です。この肺胞同士をつなぎ止めている部分が「間質」と呼ばれる組織であり血管やリンパ管が存在しています。人間の体は、外敵(細菌・ウイルス・アレルギー抗原など)から自分を守るために「免疫」という軍隊を持っています。特発性間質性肺炎とは、なにかを引き金として免疫の暴走が起こり自分自身の肺に対して攻撃を繰り返した結果、肺が焼け野原になって硬くなってしまった状態と言えます。リウマチなどの膠原病(膠原病肺)、薬剤歴(薬剤性肺臓炎)、粉塵 (塵肺)やアレルギー抗原(過敏性肺臓炎)の吸入歴など原因がある場合を除いて原因不明の時に「特発性」という病名になるのです。

 特発性間質性肺炎には顕微鏡レベルでいろいろな種類がありますが、「UIP」と呼ばれる慢性間質性肺炎のことを別名「肺線維症」と呼びます。肺線維症は、現在のところ治癒を期待できる治療方法がありません。進行を遅らせる治療として、免疫を調整するステロイドホルモン剤や免疫抑制剤がありますが、副作用が問題になることが多いのも事実です。また線維化を遅らせる薬剤(ピレスパ)も開発されていますが、十分な効果が得られているとは言えません。

 息切れや咳嗽(痰が少ない)などの症状をきっかけにこの病気が発見された場合、患者さんの寿命は5~10年と言われています。多くの場合、高齢者で発見されゆっくりと進行していく持病であることから症状がなければ治療はしないことも多いのです。ただし若い方に発症した場合やインフルエンザなどを引き金にして急激に悪化した(急性増悪)場合には、前述したステロイドホルモン剤や免疫抑制剤を使用しますが、病気の勢いを止めることは非常に困難です。

 特発性間質性肺炎は息が苦しくなる病気であり、肺がんより辛い病気ではないかと考えています。我々にはこの病気を治す力はありませんが、患者さんと十分な情報を共有することによって負担の少ない日常生活を送れるようにできると考えています。

(呼吸器内科部長  柏原 光介)

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肺構造

 【肺機能検査について】

肺の解剖について
 肺は左右非対称の臓器で、心臓のある左側より右側が大きい作りになっています。肺には空気の通り道の気管があり、主気管支、細気管支と枝分かれしていき、ガス交換を行う肺胞と呼ばれる組織まで分岐します。


肺機能検査 肺機能検査とは
 肺活量の検査では、肺の大きさと力強さを調べることにより、肺の容積が減少していないか(拘束性換気障害)、息が吐きにくくなっていないか(閉塞性換気障害)がわかります。生理検査室では患者様に肺気量分画と努力性呼気曲線という2つの検査を行ってもらっています。筒を口にくわえてもらい、鼻をクリップで閉じて検査を行います。
 *所要時間は10~15分です。
 *正常値は男性で約3500mL、
        女性で約2500mLです。
 もちろん、体格や年齢、性別により変動はあります。


検査の目的
 咳・痰が出る、息苦しいなどの症状がある時や、肺の病気の診断・重症度・治療効果の測定の為に行います。その他に、気管支喘息の診断や、吸入薬の効果判定、手術時の麻酔法を選択する場合にも行われます。

換気障害のいろいろ
拘束性換気障害(間質性肺炎、肺結核後遺症etc.)
 …肺が広がりにくいので、息が吸いにくくなる。

閉塞性換気障害(COPD、気管支喘息 etc.)
 …気道が狭くなるために、息が吐きにくくなる。

努力性呼気曲線でわかること
縦軸を力強さ(勢い)、横軸を大きさ(広がり)と考えます。
努力性呼気曲線

注意事項
 場合によっては入れ歯は外し、きつい服装はゆるめて検査を行っていただきます。技師が声をかけながら検査を進めていきますので、患者様の理解と努力によって成り立つ検査です。何卒ご協力をお願いします。

(臨床検査科 生理検査部門 鹿島 星林)


診療科の特色

<呼吸器内科>

呼吸器内科の紹介
 呼吸器内科は、「救急患者を断らない」をモットーとする当院方針を尊重し4名体制で連日連夜奮闘しています。救急外来を経由して入院する多彩な疾患を持つ患者さんが多いことから呼吸器内科領域を万遍なく診療できる専門医を目指しています。

認定機関
 日本呼吸器学会、
 日本呼吸器内視鏡学会、

特殊な検査・治療
 EBM(根拠に基づいた医療)に準じた治療を行っております

治療等
 KTOSG(Kumamoto Thoracic Oncology Study Group)、
 LOGiK (Lung Oncology Group in Kyushu)、
 WJOG(West Japan Oncology Group)、

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