【第140号】 蕁麻疹について、抗ヒスタミン薬について | くす通信 | 国立病院機構 熊本医療センター

【第140号】 蕁麻疹について、抗ヒスタミン薬について

 【蕁麻疹(じんましん)について】

 蕁麻疹は「膨疹(ぼうしん)」が病的に出没する病気です。皮膚には毛細血管が網の目のように走っています(図)。

図

 免疫を司る細胞である白血球の一部が放出する物質(ヒスタミンが有名です)が毛細血管に作用すると、毛細血管から体液が漏れ出る(ざるから水が漏れるイメージ)ようになります。そして一時的に限られた範囲で皮膚が赤く盛り上がった状態が膨疹です。一つ一つの膨疹は24時間以内に引いてしまいますが、別の場所に新たに出来たり広がったりして全身でみると症状が続くことがあります。1ヶ月間以上続くと慢性蕁麻疹となります。

 この反応は皮膚以外にも生じます。息の通り道(気道)の粘膜で生じると呼吸困難、全身の血管で生じると全身を巡る血液が不足して血圧低下(アナフィラキシーショック)を来たし命に関わります。また蕁麻疹の特殊型で、より深い血管(図)で反応が起こる血管性浮腫があります。口やまぶた等に良く生じ、落ち着くのに1?2週間かかります。

実は特定の原因(表)で蕁麻疹を生じることはあまりなく、7割以上は原因不明です(特発性蕁麻疹)。ただし疲労・ストレス・風邪などの感染症が蕁麻疹の症状をひどくしたり、解熱鎮痛剤など一部薬剤は、蕁麻疹を起こしやすい身体状態にすることが知られています。蕁麻疹の診断は比較的簡単ですが、きっかけがあって発症するのか自然に発症するかの診断は難しく、食べた物、飲んでいる薬、受けた刺激、持っている病気などを問診するのが重要です。それらを踏まえた上で全身状態を掴む検査(体温、血圧、脈拍、一般的採血検査など)や病型や原因などを特定する検査(皮膚描記、誘発試験、抗原特異的IgE)を追加します。一見蕁麻疹の症状でも「蕁麻疹"様"血管炎」など背景や治療法が異なる疾患もあり注意が必要です。

表

 治療は抗ヒスタミン薬の内服が基本です(命に関わる程の重症では注射や点滴も使います)。以前の抗ヒスタミン薬は強い眠気が問題でしたが、最近は眠気が(ゼロではありませんが)少ない「非鎮静性抗ヒスタミン薬」が数多く登場し、治療の中心となっています。もちろん明らかな誘因が判明すればそれを除くことが最も重要です。

(皮膚科医長  牧野 公治)



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 【抗ヒスタミン薬について】

 食物や薬の摂取、寒冷や温熱といった物理的刺激などが原因となって、皮膚組織内にある肥満細胞から「ヒスタミン」という物質が分泌されます。このヒスタミンという物質がかゆみを引き起こし、さらに一過性に皮膚が腫れるといった症状を引き起こします。抗ヒスタミン薬というのは、このヒスタミンの働きを抑え、症状を軽くさせる薬です。一般的な副作用として口の渇き、眠気、めまい・ふらつき、だるさ、下痢などがあります。種類には第1世代、第2世代と呼ばれるものがあります。

第1世代抗ヒスタミン薬
   古くからある薬で抗ヒスタミン作用は強く、また副作用である眠気も強いタイプの薬となっています。眠気の原因

として薬が脳へ移行し、脳内でヒスタミンの働きを止めてしまうため、集中力・活動力の低下、それに伴い眠気が現れます。そのため、車を運転する方、危険な作業をする方などは注意をする必要があります。また緑内障、前立腺肥大症がある方には原則使用できない薬となっています。ただし、妊婦さんには安全性の確立されているポララミンが用いられます。

第1世代抗ヒスタミン薬
   抗ヒスタミン作用が主な作用ですが、多彩な抗アレルギー作用をもつため、管支喘息の予防薬に使用されたり

もします。第1世代の抗ヒスタミン薬より脳へ移行しにくくなっており、より新しいものほど眠気、口の渇きが軽減され、長期的に内服できるようになっています。

 原因や誘因の明らかではない特発性蕁麻疹では、主に第2世代抗ヒスタミン薬を使用します。急性型では数日?1週間程度、抗ヒスタミン薬により皮疹が治まってもしばらく予防的に内服します。慢性型では継続的な内服により症状の出現を予防し、薬の服用間隔を広げるなどして慎重に量を減らしていくことが多いです。1種類の薬で十分な効果が得られない場合には増量や、他の薬への変更を考えます。

 薬について、何か不明な点や気になる点があれば、医師または薬剤師にお尋ねください。

(薬剤師 大園ゆかり)


診療科の特色

<皮膚科>

 私達は急性期病院の皮膚科として、主に入院治療が必要な皮膚疾患を診療しています。「断らない救急」を掲げており1/3以上は救急外来からの入院です。重症蕁麻疹やアナフィラキシーショックの方も年に約20例入院されます。外来診療では地域の皮膚科や他科からご紹介頂いた方や全身症状に関連した皮膚疾患の方を中心に診察しています。
 皮膚疾患は皮膚に限局するものだけでなく、全身に影響を与えるもの、全身症状の一部として生じるもの、他の病気から続発するものと様々です。またアトピー性皮膚炎などQOLを強く損ねる疾患も多数あります。皮膚の問題改善を通じて皆様のお役に立てればと思っておりますので宜しくお願い致します。



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