【第128号】 胃・食道逆流症について | くす通信 | 国立病院機構 熊本医療センター

【第128号】 胃・食道逆流症について

胃・食道逆流症と食事について 胃・食道逆流症のお薬について

 【胃・食道逆流症について】

胃・食道逆流性はどんな病気ですか?
 胃・食道逆流症とは胃のなかの胃液、胃酸が食道に逆流することにより、食道の粘膜に障害を起こしたり、不快な症状をもたらす病気の総称です。従来は欧米で起こりやすい病気とされていましたが、最近日本でも食生活習慣の変化やピロリ菌感染の低下によりこの病気の人が増えています。

 症状としては多彩で、むねやけや酸っぱい胃液が上がってくる感じ(酸逆流症状)、苦い水が上がる感じ(呑酸)、その他にのどのつかえた感じ、慢性的に続く咳やのどの違和感など、消化管外の症状をきたす場合もあります。

 検査としては内視鏡検査での確認が必要になります。内視鏡で食道の粘膜の障害(逆流性食道炎)を認めた場合はこの病気に分類されます。症状の強さと内視鏡の程度は関連がないため、食道炎がひどくても症状の軽微な方や、逆に食道炎が経度でも強い逆流症状をきたす方もいます。また内視鏡で異常がなくても症状のみがおこる、非びらん性胃食道逆流症とよばれる病状もあります。症状を評価するためには問診が重要になります。F-スケール(下図)と呼ばれる問診票を用いて症状を点数で評価します。内視鏡で異常がなくても症状の点数がある程度以上の人もこの病気に分類されます。

Fスケール問診票

クリックすると、別窓でPDFが開きます。

 治療に関してはPPI(プロトンポンプインヒビター)と呼ばれる胃酸を抑える薬が用いられます。胃酸を抑制することにより食道粘膜の炎症を抑え、症状が改善します。その他胃の運動機能をよくする薬や漢方薬などが使用される場合もあります。

どんな人がなりやすいですか?
 内視鏡で発見される食道炎に関しては、男性で肥満があり、喫煙をする人が多いといわれています。また症状のみが強い人は若い女性でやせ形の人に多いといわれています。

どんなことに注意すると良いですか?
 食事や生活習慣に関して、いろいろな要因が言われています。食べ物では甘いものや脂分の多いものをとると胸焼け症状がおこりやすいといわれています。また味付けの濃いものを食べる人のほうが症状が起こりやすいようです。お酒やコーヒーなどの飲み物との関連ははっきりしていません。生活習慣に関しては運動不足の人や睡眠不足の人に症状が起こりやすいようです。
 また症状がなく食道炎がある人は、バレット腺癌という種類の癌が普通の人と比較して、できやすくなるといわれています。症状がないため内視鏡検査でしかわかりません。検診などの機会があったら内視鏡検査をお勧めします。

(消化器内科医長 村尾 哲哉)



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 【胃・食道逆流症のお薬について】

 お薬での治療としては始めに胃酸を抑えるためにプロトンポンプ阻害薬(PPI)というお薬が使われます。このお薬でも症状が改善しないときは、消化管の働きをよくするお薬や漢方薬が使われることがあります。今回はそれぞれのお薬について説明します。

 

プロトンポンプ阻害剤(PPI)

 このお薬は胃にあるプロトンポンプという胃酸が作られるところの働きを抑えることで、胃酸の分泌を強力に抑えます。これにより食道粘膜が荒れるのを抑え、症状を改善します。代表的なお薬にはタケプロン®、パリエット®などがあります。副作用として下痢、便秘、発疹などがみられることがあります。このような症状がみられたら、医師または薬剤師に相談してください。またお薬を飲み始めて症状が改善した場合も、再発する恐れがあるので勝手に中止はしないようにしてください。

消化管運動調製薬

 胃や腸などの消化管は伸び縮みすることで食べ物やガスを移動させています。このお薬は消化管の運動を整えて、吐き気や腹痛、胸やけを改善するお薬です。お薬としてはガスモチン®などがあります。副作用として下痢、軟便、口の渇きがみられることがあります。

漢方薬

 六君子湯(りっくんしとう)という漢方が使われます。このお薬には胃のもたれや吐き気などを和らげる生薬が含まれています。作用を増減することがあるので、他に漢方薬や健康食品などを使われている方は医師または薬剤師に伝えてください。

お薬をご使用いただく上での注意点、副作用をはじめ、ご不明な点などがありましたら、医師や薬剤師にご相談ください。

(薬剤師 井上 大奨)



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 【胃・食道逆流症と食事について】

 胃・食道逆流症は、発展途上国に少なく欧米先進国に多いようですが、近年、日本でも食生活の変化(欧米化)により増加しています。男性で肥満がある人や若い女性でやせ型の人にみられることから、予防にはバランスの良い食生活を送り、標準体重程度を維持することも大切です。

 ※標準体重=身長(m)×身長(m)×22  で求めます。

 

 日頃から暴飲暴食をしない(腹8分目を心がける)、油を使った料理は1食1品までにする、肉に偏らないように魚や大豆製品を食べる、偏食(菓子類ばっかり食べる等)はしないように、主食・主菜・副菜がある食事を食べることがポイントです。

 また症状がある場合は、胃酸分泌の刺激となる、味の濃いもの、辛いもの、酸味の強いものは控える、胃内停滞時間の長い高脂肪食(揚げ物等)は控える、予防と同様に、腹8分目を心がけ食べ過ぎない食生活が必要となります。そして肥満がある場合は、腹圧が増加するため、肥満の是正も重要です。

 逆流防止には日常生活での姿勢も影響するため、食後すぐに横にならない、前かがみの姿勢はできるだけしない、就寝時は上半身をすこし上げる等もポイントです。できることからすこしずつ気をつけていきましょう。

栄養に関するご相談等がありましたら、栄養管理室までいつでもご連絡ください。

(管理栄養士 立石 容子)


診療科の特色

<消化器内科>

 現在消化器内科は 8人の医師が勤務し、毎日の外来診療、病棟診療と検査(上部・下部内視鏡検査、腹部超音波)を行っています。また内視鏡を用いた早期胃癌治療、胃ろう作成や肝臓癌に対するラジオ波焼灼療法などの治療も幅広く行っています。最近では肝炎に対するインターフェロン治療や肝がん治療に関して、地域連携クリティカルパスを導入し、地域の医療機関と連動しながら治療を行っています。
 消化器疾患に限りませんが、検査を受けなければわからない疾患は多数あります。定期健診などで異常の指摘があった場合、消化器の疾患を心配される方などは一度受診をお勧めします。



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