【第122号】変形性膝関節症について | くす通信 | 国立病院機構 熊本医療センター

【第122号】変形性膝関節症について

 【変形性膝関節症について】

   変形性膝関節症とは?

 わが国の変形性膝関節症の患者数は1200万人にもおよび、その半数以上が治療を要するといわれています。中高年の膝が痛む病気のなかで最も多い疾患です。

 膝の関節軟骨が磨り減り、軟骨の下から骨が露呈するなどにより関節に痛みが生じたり、軽い炎症が生じたりする疾患です。外見上は、ほとんどの方が徐々にO脚に変形してきます。

 特徴的な初期症状は、(1)水が溜まる、(2)立ち座り時の痛み、(3)歩き始めの痛みです。膝の痛みは、必ずしも持続せず、軽くなったり、ひどくなったりを繰り返します。中年以上の女性に多いのですが、30歳代から症状がみられる方もいます。

   外来で多い質問についてお答えします。
   1) どうして変形性膝関節症になるのですか?

 基本的には年齢のせいですが、膝にかかる負担の結果として起こってきます。しかし、80歳までマラソンをつづけても大丈夫な方と40歳台で運動をしなくてもなる方がいますので、個人差が非常に大きいといえます。骨や軟骨も、姿形や皮膚と同様、人それぞれ違うと考えてください。

   2) 水(関節液)は抜くと癖になるのですか?

 ほとんどの人はそんなことはありません。軟骨がすり減る初めの頃に、軟骨片が刺激となり、滑膜から関節液の分泌が増えます。関節液は常に吸収もされますので、関節内の刺激がおさまれば自然になくなります。変形が進んでいるから関節液が溜まるというわけではありません。

   3) 手術をしないでどうすれば治るのですか。

 治療は、主に①膝にかかる負担を減らす。②関節の潤滑をよくすることです。①は、大腿四頭筋筋力を鍛える・装具をつける・杖を使う・減量などがあり、②は関節注射があります。

 疼痛→活動性低下→筋萎縮、体重増加→不安定性→疼痛の憎悪、という悪循環に陥りやすく、病気の進行防止と症状の改善には、この悪循環を断つことが必要です。軟骨の加齢変化ですので治ることはありませんが、筋力をつけて、歩行時に膝に負担をかけない工夫が大切です。

   4) テレビなどで宣伝している軟骨成分のサプリメント(サメ軟骨、コンドロイチン、グルコサミン)は効きますか?

 病気の初期に服用すると痛みが和らぐとの報告がありますが、薬が分解され腸管から吸収された後、効果のある成分として目的部位に到達することは証明されていません。したがって、宣伝のような軟骨の再生は不明です

   5)手術にはどんな方法がありますか?

 手術には、脛骨骨切り術、人工膝関節全置換術(TKA)と、最近では単顆置換型人工膝関節置換術(UKA)も行っています。たとえて言えばTKAは虫歯のかぶせ物ですが、UKAは虫歯を削って詰め物をするような手術です。

 若くて活動性の高い方は脛骨骨切り術で0脚を矯正することで、軟骨のすり減ったところのかかる負担を減らすことができます。以前と違い術後のギプス固定もなく3週間で退院可能となっています。

 高齢で変形の強い方はTKAを行い3週間で自宅退院となりますが、比較的変形の軽い方は痛めたところのみのUKAをすることで膝を曲げるリハビリもいらず2週間ほどで退院できるようになっています。

 膝の痛みには、そのほかにも数多くの原因があります。気軽に受診されてください。

(整形外科医長 福元 哲也)



−*−*−*−*−*−     −*−*−*−*−*−

 【変形性膝関節症に対するリハビリテーション】

 リハビリテーションの中心となるのは筋力強化運動です。大腿四頭筋(太もも)の筋力が弱ると、膝への負担が大きくなります。そこで、大腿四頭筋(太もも)の筋力を強くする必要があります。

方法としては、
(1)
仰向けでつま先を反らしながら膝を伸ばしたままで足をゆっくり上げ下げする運動
(2)巻いたタオルを膝ウラに敷き、膝ウラでタオルを5秒程度押さえつける運動
などがあります(下図をご参照下さい)。

いずれの運動も痛みを我慢せず痛みを生じない程度で行って下さい。

筋肉強化運動

 また体重が1kg増加すると膝への負担は3〜10kgも大きくなります。肥満ぎみの方は減量も必要です。

 日常生活の中では和式トイレの使用、正座など膝に負担のかかる動作はしないこと、痛みがあれば杖を使用すること、ヒールの高い靴を履かないなどの注意が大切です。

(理学療法士 榮 彩人)



−*−*−*−*−*−     −*−*−*−*−*−

 【肥満の予防について】

 肥満とは、おもに過栄養と運動不足が原因で、体内の脂肪組織に過剰に脂肪が蓄積した状態をいいます。肥満の判定には、国際的に体格指数(BMI:body mass index)が用いられ、体重(kg)/身長×身長(m)で求められます。日本肥満学会では、体格指数が25以上を肥満としており、糖尿病や脂質代謝異常、高血圧などの生活習慣病を発症する要因となるため、肥満の解消が重要となります。

  肥満に繋がる食生活の背景

(1) 過食による摂取エネルギーの増加、運動不足による消費エネルギーの減少

(2) 1日2食の「まとめ食い」や「だらだら食い」、就寝前の食事摂取など、1回で多量に摂取する食習慣が挙げられます。

  具体的な7個のポイント

(1)1日3食、栄養価の配分を均等にし、夕食に食べすぎないようにする。

(2)砂糖使用量の多い料理や、揚げ物などの油料理は控える。

(3)毎食、野菜・海藻・キノコ類を積極的に献立に取り入れる。

(4)副菜に低エネルギーの食品を取り入れて、献立にボリュームを持たせる。

(5)「早食い」「まとめ食い」は控え、ゆっくりよく噛んで食べる習慣を付ける。

(6)就寝前の食事摂取や、脂肪や糖分の多い菓子等の間食、特に夜間は控える。

(7)糖分の多い飲み物や、アルコール飲料は控える。

  食生活に関わる相談等ございましたら、栄養管理室にご連絡ください。

(栄養管理室長 椿 裕子)


診療科の特色

<整形外科>

 各スタッフ(6人の医師)の専門分野である関節外科(膝関節・股関節・肩関節)、脊椎外科、リウマチ、外傷外科を中心に診療を行っています。外来日は月、水、金曜日で、手術日は火、木曜日となっています。尚、外来でのリハビリはありません。
 手術症例は年間1000例以上で、最近では救急患者が半数近くを占めるようになっていますので、ほぼ毎日手術を行っています。大腿骨頸部、転子部の骨折が300例近くと最も多く、脊椎手術150例、人工関節を100例以上行っています。手術後のリハビリは近医に紹介となりますので、全国でも早くから地域連携の取り組みを行っています。



−*−*−*−*−*−     −*−*−*−*−*−

国立病院機構 熊本医療センター
診療時間 8:30〜17:00
診療受付時間 8:15〜11:00
休診日 土・日曜日および祝日

  急患はいつでも受け付けます。  

 診療科   

■総合医療センター 総合診療科、血液内科、呼吸器内科
  糖尿病・内分泌内科、腎臓内科
■消化器病センター 消化器内科
■心臓血管センター 循環器内科、心臓血管外科
■脳神経センター 脳神経外科、神経内科
■感覚器センター 眼科、耳鼻いんこう科、皮膚科
■画像診断・治療センター 放射線科
■救命救急センター 救急科
■精神神経科 ■小児科    ■外科     ■整形外科
■リハビリテーション科 ■泌尿器科     ■産婦人科
■歯科、歯科口腔外科 ■形成外科  ■麻酔科  ■病理診断科