【第121号】 腎血管性高血圧について | くす通信 | 国立病院機構 熊本医療センター

【第121号】 腎血管性高血圧について

 【腎血管性高血圧について】

 腎血管性高血圧は、腎動脈が狭くなることで起こる高血圧であり,高血圧患者の約1%に認められます。

 中・高年者では動脈硬化が主な原因ですが、若年者では動脈硬化以外の原因で腎動脈が狭くなることがあります。重症で治療してもなかなか血圧が下がらない場合が多く、腎機能は正常なことも少なくありませんが、両側腎動脈が狭くなれば、腎機能障害を認めます。また、心機能が問題なくても心不全をきたす場合もあります。

 診断は、血液検査と腹部超音波ドプラー、各種血管造影などの画像診断で行われます。
 治療は、薬物療法と血行再建術が行われます。

治療1.薬物療法
 血圧を下げる薬を用いて血圧コントロールを行います。
治療2.結構再建術
 腎動脈狭窄に対してバルーンで拡張する経皮的腎動脈形成術が多く施行されています。最近、ステントが使用されるようになりました。また、外科的血行再建術を行うこともあります。

 40歳代女性で女性で最近急激に血圧上昇(220/130mmHg)を認め受診されました。2次性高血圧の精査加療目的で入院となりました。>

 腎機能は正常でしたが、血液検査で異常を認め、腹部超音波ドプラーで、左腎動脈の狭窄※が疑われ、MRI、造影CT上、左腎動脈に高度狭窄を認めました。また、腎動脈を造影すると(図1)、左腎動脈に高度狭窄を認めました。

※狭窄(きょうさく)とは、血管や器官、食道などの管部分の内膣が狭くなり、血液や飲食物などが通過しにくくなる状態。 図1


 血圧を下げる薬を内服してもらいましたが、なかなか血圧が下がらず、血圧=170-200/90-100mmHgでした。以上のような経過でしたので経皮的腎動脈形成術を行いました。バルーンで2回拡張しましたら(図2)、狭窄が無くなりましたので終了しました(図3)。

 その後、日に日に血圧が低下し、少ない量の血圧を下げる薬で血圧=120-130/70-80mmHgまで低下しました。6ヶ月後、血圧=120-130/70-80mmHgでした。また、血液検査で異常を認めず、造影CT上、狭窄を認めませんでした。

(循環器内科医長 藤本 和輝)



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 【腎血管性高血圧に使用される医薬品について】

 腎血管性高血圧に対する薬物療法には血圧を下げる為に降圧薬が用いられます。

1.
アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬
(エースコール錠、エナラプリルM錠等)
アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)
(ディオバン錠、ミカルディス錠、ブロプレス錠、オルメテック錠等)

 腎血管性高血圧は、血圧上昇作用のあるアンジオテンシンⅡ(ATⅡ)が過剰産生されることに起因します。その為、ATⅡの産生を抑えるACE阻害薬、ATⅡの作用をブロックするARBが第一選択薬となります。但し、これらの薬剤は腎機能を悪化させることがある為、両側腎動脈狭窄・単腎例・腎不全の場合には使用できません。これらのお薬は、少量から開始し、過剰な降圧や高K血症,腎機能に注意しながら用量を調整します。ACE阻害剤は副作用として、空咳があらわれることがあります。

2. カルシウム(Ca)拮抗薬(アダラートCR錠、バイミカード錠等)

 ACE阻害薬・ARBが使用できない場合又は効果不十分な場合は血管拡張作用のあるCa拮抗薬を選択することもあります。Ca拮抗薬は各薬剤により差はありますが、グレープフルーツとの併用により効果が強く(過剰な降圧)なることがありますので摂取を控えて下さい。

3. β遮断薬(各種)

 Ca拮抗薬でもコントロール不良の際は血圧上昇作用のある交感神経を抑えるβ遮断薬を併用することもあります。気管支喘息の患者さんは注意が必要です。なお、Ca拮抗薬・β遮断薬は急な中止によりリバウンド現象(血圧の急激な上昇)が起きることがあるので自己判断で中止しないで下さい。ご不明な点がありましたら医師・薬剤師にご相談下さい。

(薬剤師 藤野小百合)



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 【腎血管性高血圧の食事療法について】

 腎血管性高血圧は、腎動脈の一部が狭くなったことで、腎臓に入る血液が十分流れなくなったために発症する高血圧です。まずは、高血圧の症状を抑えることが大事で、減塩食について学びましょう。

生 活 習 慣 の ポ イ ン ト

規則正しい生活を心がける
肥満を解消し、標準体重を保つようにする
食塩の摂りすぎに注意する
ストレスをためないように心がける

食   事   の   基   本

(1)栄養バランスの取れた食事で標準体重を保つ
・自分の標準体重を計算してみましょう
 標準体重=身長cm×身長cm÷22(体格指数)
・栄養バランスの取れた食事とは
 主食(ご飯やパン・麺)・主菜(魚・肉・卵・豆 腐類)・
 副菜(野菜類)・小鉢 が1食に揃った食事

(2)食塩の制限をする=減塩を上手に行う方法
 ・薄味に慣れる→塩・醤油類を控える、醤油は出し割りを使う
・漬け物・汁物、ハム・ソーセージ・かまぼこ・ちくわ類の加工品は控える
 ・「かけて食べる」より「つけて食べる」
・香辛料(わさび、辛子、胡椒、カレー粉等) や
 香味野菜(レモン・ゆず・かぼす・青じそ・しょうが・ネギ類)、
 酢 を利用する
・薄味料理でも、たくさん食べれば塩分の摂りすぎになるので、
 食べ過ぎないようにする
・外食は控えるが、上手なとり方としては塩蔵品や加工食品が多い
 メニューは控える

減塩食の工夫をして、血圧の上昇を防ぎましょう。

その他、栄養に関する相談がありましたら、当院栄養管理室までいつでもご連絡下さい。

(栄養管理室長 椿 裕子)


診療科の特色

<循環器内科>

1. 診療体制

藤本和輝医長、宮尾雄治医長、古賀英信医師、本多剛医師、平田快紘医師
循環器専門医5名、内科指導医2名、内科専門医1名、内科認定医4名
日本心血管インターベンション治療学会専門医、指導医1名
日本心血管インターベンション治療学会認定医2名
熊本大学附属病院臨床研修指導医2名
熊本大学医学部臨床教授1名
日本循環器学会研修施設
日本心血管インターベンション治療学会研修施設

新病院ではCCU(4床)が新設され、医師が24時間常駐し、より多くの重症患者を迅速に対応できるようになりました。

2. 診療内容及び実績(平成21年1月〜12月)

入院患者数… 934名
平均在院日数… 10.7日
心臓カテーテル検査… 823例
経皮的冠動脈形成術… 327例
経皮的血管形成術… 27例
ペースメーカー植え込み術… 67例
CRTD(両室ぺ−シング機能付き埋込み型除細動器)… 5例
ICD(埋込み型除細動器)… 5例
急性心筋梗塞… 121例
血管新生療法… 3例



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国立病院機構 熊本医療センター
診療時間 8:30〜17:00
診療受付時間 8:15〜11:00
休診日 土・日曜日および祝日

  急患はいつでも受け付けます。  

 診療科   

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■感覚器センター 眼科、耳鼻いんこう科、皮膚科
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