【第101号】 肝硬変について 肝硬変の治療に使用される薬 肝硬変と食事 | くす通信 | 国立病院機構 熊本医療センター

【第101号】 肝硬変について 肝硬変の治療に使用される薬 肝硬変と食事

* 肝硬変について * 肝硬変の治療に使用される薬 * 肝硬変と食事

肝硬変について

肝硬変とは、肝臓が高度の線維化を来たし、肉眼的な結節を形成した病態です。さまざまな慢性肝疾患の終末像であり、その原因にかかわらず、共通の形態を示します。

1.疫学と成因

わが国には約150万人の慢性肝炎患者と約30万人の肝硬変患者が存在すると推定され、これらを背景に年間約3万人に肝細胞癌が発生しています。肝硬変を来たす疾患・病因のうち約70%以上がHCV感染、約20%がHBV感染、約10%がアルコール多飲によるもので、その他、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、うっ血性心不全、Budd-Chiari症候群、ウィルソン病、ヘモクロマト-シス、薬物、糖原病IV型、ガラクト-ス血症、寄生虫、などが肝硬変を来たす原因としてあげられています。最近では非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)が原因として注目されています。

2.分類

機能的には代償期(肝機能が保たれている時期)と非代償期(肝機能が低下し、腹水、黄疸、脳症、出血傾向などの重篤な症状が出現する時期)とに分類されます。臨床的な肝機能の評価には、Child-Pugh分類が用いられることが多く、脳症、腹水の程度、血清ビリルビン値、アルブミン値、プロトロンビン時間値から、それぞれの項目のスコアを合計し、Grade A~Cに分類します。

3.検査

初期には異常を認めないことが多いです。進行すると、血清アルブミン値低下、プロトロンビン時間の延長、コリンエステラーゼ値の低下、総ビリルビン値の上昇を認めます。また、血小板数の減少を認め、その程度は肝組織の線維化の程度と相関するとされています。IV型コラーゲンやヒアルロン酸なども肝臓の線維化を評価するのに用いられます。AST(GOT)、ALT(GPT)は、それほど高値にはならず正常範囲のこともあり、肝硬変の重症度の判定指標にはなりません。画像では、腹部超音波、CT、アシアロ肝シンチなどで評価します。

4.治療

代償期の肝硬変では、肝細胞癌の早期発見を目指し、定期的な外来通院をしていただくことが大切です。非代償期では、病態に応じた栄養指導や薬物治療が必要です。

肝硬変における三大死因は肝細胞癌、消化管出血、肝不全です。合併症の有無が大きく予後を左右するため、定期的な外来診察と検査(採血や超音波、上部消化管内視鏡)が大切です。

(消化器科 片山 貴文)

肝硬変の治療に使用される薬

1.代償期に使用される薬

 代償期にはバランスのとれた食事、休養に加え、炎症を最小限にくいとめるための薬物治療が行われます。肝臓の炎症を抑える薬にはウルソデオキシコール酸などの内服薬や炎症の程度が強いときにはグリチルリチン製剤などの注射薬が使われます。

2.非代償期に使用される薬

 非代償期では、合併症に対する治療が中心になります。

  1. 浮腫・腹水:血液中のアルブミンが低下することによって、血液中の水分が血管外に漏れて、手足がむくんだり(浮腫)や腹部に水分が溜まりやすくなったり(腹水)します。このような症状には尿量を増やしてむくみをとるスピノロラクトンやフロセミドなどの利尿薬が使われます。
  2. 肝性脳症:肝臓の解毒力が低下して血液中にアンモニアが増えると、眠気・昏睡、異常行動などの脳の症状(肝性脳症)が見られます。またこのような場合には血液中のアルブミンの低下やアミノ酸のバランスが崩れて分岐鎖アミノ酸(BCAA)などが低下し、栄養状態が悪くなっています。ラクツロースなどのアンモニアを下げる薬や分岐鎖アミノ酸を豊富に含んだ内服アミノ酸製剤により血液中のアンモニアを増やすことなく栄養状態を改善します。
  3. 出血傾向:肝臓で作られる凝固因子と呼ばれるタンパク質や血小板が少なくなると鼻血が出やすい、歯茎から出血が目立つなどの出血傾向が見られるようになります。ビタミンKの補充や血液凝固因子の補充目的に輸血が行われることもあります。治療内容は患者様個人個人で異なりますので、医師の指示に従って治療を受けることが大切です。

(薬剤科長 冨澤 達)

肝硬変と食事

 肝硬変の食事療法は、代償期と非代償期とで内容が異なります。

代償期ではバランスの良い食事を適量に食べるという一般的な内容になります。ポイントは○適正エネルギー、適正たんぱく食を摂取するように。高たんぱく食は高脂肪食になりがちで、結果的に炭水化物や食物繊維量が少なくなります。穀類を主体に季節の野菜や海藻、きのこ、根菜類などを積極的に摂取するとよいでしょう。○1日3食を規則的によく噛んで食べましょう○腹8分目を目安に○インスタント食品などは控えめにしましょう。インスタント食品には化学調味料が多く含まれています。○近くで取れたものを。遠くからのものには防腐剤や殺虫剤などが多いためです。○夜遅くに消化の悪いものを取らないように、などが挙げられます。

 非代償期では腹水、脳症などの症状に応じた食事療法が必要となります。腹水や浮腫がある例では塩分の制限が必要です。普段から薄味に慣れ、漬物や加工食品、汁物の摂取を控えることが必要です。利尿剤の使用や、水分制限が必要な場合もあります。脳症を伴う場合は、たんぱく質の制限が必要です。便秘予防に配慮し、食物繊維を十分に摂取して便通をよくすることも必要となります。栄養状態の悪い肝硬変の場合は吸収のよいアミノ酸製剤を使用される場合もあります。

 このように病状によって食事内容が異なるため、医師の指導のもと、管理栄養士に相談しながら食事療法を進めていくことが必要となります。

(管理栄養士 村上 智子) 


診療科の特色

<消化器科>

現在消化器科は5人のスタッフと2人のレジデントが勤務し、毎日の外来診療、検査(上部・下部消化管内視鏡、腹部超音波)、病棟診療を行っています。

診療内容としては、胃や大腸などの消化管疾患、肝臓病、胆嚢胆管疾患、膵臓病をはじめ消化器病全般を幅広く扱っています。特に、肝臓癌では、造影超音波診断とラジオ波焼灼法には特に力を入れています。また、最近ではC型慢性肝炎におけるペグインターフェロン・レベトール併用療法の地域連携パスを作成し、地域の医療機関とさらに密な連携を図っています。

診療時間 8:30~17:00
(診療受付時間 8:30~11:00)


ただし、急患はいつでも受診できます。



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