緊急を要する 泌尿器科疾患 | くまびょうニュース | 国立病院機構 熊本医療センター

緊急を要する 泌尿器科疾患

【83号(2004.5)】

緊急を要する 泌尿器科疾患

泌尿器科医長
  菊川 浩明

 泌尿器科の救急疾患の特徴ついては、以前に"くまびょうNEWS 66号"に発表させて頂きましたが、今回は"明日まで待てない"泌尿器科救急疾患として、当院救命救急センター受診後、緊急手術となった症例を紹介します。 
 症例1 10歳代男性
  主訴:精巣部痛(下腹部痛) 朝方より急に睾丸の痛みが出現。当院受診となる。
  現症:右睾丸は対側に比べ上方に挙上し腫大。発熱なし。
 思春期の男性が急に睾丸の痛みを訴えた時、まず鑑別に挙がるのが、この精巣捻転(睾丸回転)症です。精巣を栄養する精索血管がねじれ、精巣が壊死を起こ す疾患です。速やかに"ねじれ"を戻さないと精巣がだめになり(ゴールデンタイムは約6時間)、将来男性不妊の原因ともなり得ます。朝方、発熱を伴わず睾 丸の痛み・腫れを訴える男子中高校生が受診したら要注意です。
 症例2 50歳代男性
  主訴: 陰茎痛 性交中に"ボキッ"と音がして陰茎の痛みが出現。
  現症:陰茎は腫脹し右方向に曲がっている。
 陰茎折症という病気?です。陰茎が勃起状態の時、陰茎海綿体には血液が流れこみ貯留していますが、無理な外力で海綿体を取り囲む白膜が断裂した時に発症 します。断裂部位の反対側に亀頭が向きます。海綿体内の血腫を除去し白膜を縫合します。このまま放置すると、勃起不全になる可能性があり、手術が必要で す。夜に多いようです。
 症例3 80歳代男性
  主訴:陰嚢部痛 外陰部全体が急に発赤し、高熱あり。
  現症:外陰部全体に発赤あり、一部黒色化している。
 フルニエ壊疽とよばれる壊死性筋膜炎です。時間単位で炎症が波及していき、敗血症を起こします。陰嚢を触診すると、細菌により発生したガスのため握雪感 があります。早急にデブリードマンが必要です。異臭が強く炎症が広がった部位には広範にドレナージが必要になります。基礎疾患にDMのあることが多いよう です。
  その他、尿路結石に伴う膿腎症、急性腎不全(腎後性)、腎・膀胱・尿道外傷なども緊急性が高いようです。泌尿器科疾患は救命救急センター総受 診者の約2%に過ぎませんが、やはり早急な治療が必要なものも含まれています。今回、独立行政法人化を迎え、泌尿器科は5人体制で診療を行う事になりまし た。泌尿器科領域であれば、救急以外の疾患に対してもすべてに対応可能ですので、登録医の先生方、今後ともどうぞよろしくお願い致します。