いま、国立病院機構熊本医療センターで何が研究されているか<シリーズ104回> | くまびょうニュース | 国立病院機構 熊本医療センター

いま、国立病院機構熊本医療センターで何が研究されているか<シリーズ104回>

【228号(2016.6)】

いま、国立病院機構熊本医療センターで何が研究されているか<シリーズ104回>

ICU看護師の人工呼吸管理患者への離床場面における判断
-ショック期を離脱した患者を端座位とする場面を通して-


ICU病棟
 橋本麻里衣 星本みなみ 山床亜文 西山幸子 川内サユリ


 熊本医療センターICUは早期離床に積極的に取り組んでいますが、クリティカルケアを要する患者に対して離床実施可能か判断が難しく、取り組みに個人差が出ている状況です。そのため、本研究に取り組むことで人工呼吸管理患者に対する早期離床の実践向上に向けた示唆を得ようと考えました。

【目的】
 本研究でICU看護師が人工呼吸管理患者の離床場面でどのような判断をしながら看護実践を行っているかを明らかにすることです。

【方法】
 ICU看護師5名を対象とし、参加観察法による質的記述的研究を実施しました。看護師3名で患者を端座位とする場面を2回データ収集し、患者のどのような点を観察し判断しながら離床実践しているのかという視点から、特徴づける行為や語りに着目し概念化しました。さらに抽出した概念の関連性を検討し、その構造を分析しました。

【結果】
 離床時のICU看護師の臨床判断と看護実践を特徴づけるものとして51コード、9サブカテゴリー、5カテゴリーが導き出されました。(図1)


図1 概念図

【考察】
 〈離床実施に至るアセスメント過程〉より、早期から離床を開始することで、患者の心肺機能や筋力を入院前の状態により近づけたいという看護師の思いが明らかとなりました。また、ICUは生命の危機に直面している患者が多く、患者の今現在の状態を重要視してしまう傾向にありますが、超急性期である今、退院後の生活を見据えた上で看護として何ができるのかという点も考えていました。〈体位を変えることでのリスク回避〉からは、看護師はモニターや患者の状態に変化がないか確認を重ねることで、自信を持ちながら離床を実施することが明らかになりました。そして、これらのカテゴリーから〈その時の患者の状態に合わせた介助方法の検討〉へと繋がり、看護師は必要以上の介助にならないよう介入方法の検討を繰り返し、患者自身にできることは促すことで、患者の今の状態に合わせて離床方法を工夫することわかりました。
 〈患者を全人的に捉えた環境作り〉より、看護師は患者の離床意欲を引き出すために安楽な要素を取り入れることや、ねぎらいの言葉をかける特徴がありました。これらのことで患者の離床意欲を保ち、リハビリを継続させることで元の生活へ早く戻ってほしいという思いと同時に、辛い状況の中で離床に協力してもらい申し訳ないという気持ちも存在するということも明らかとなりました。看護師は患者を離床させる際、観察やアセスメント、工夫を凝らしていくことで、離床による効果を高めていくことで〈効果的な離床の実施〉を実現していました。

【結論】

  • 看護師は患者を離床させる際に、観察やアセスメントを重ねることで離床に伴うリスクを最小限とし、離床がより効果的なものとなるよう様々な工夫をすることが明らかとなりました。
  • ICU看護師は早期から離床を開始することで、患者の心肺機能や筋力を入院前の状態により近づけていました。