医学シリーズ No.227 神経内科(No.7) | くまびょうニュース | 国立病院機構 熊本医療センター

医学シリーズ No.227 神経内科(No.7)

【228号(2016.6)】

医学シリーズ No.227 神経内科(No.7)

パーキンソン病の画像診断

神経内科医長 田北 智裕

 パーキンソン病(PD)は、代表的な神経変性疾患の1つですが、50歳以上では100人に1人が罹患していると言われ、決して珍しい病気ではありません。

 治療法として根治療法はなく対症療法のみですが、それにより生活の質はかなり向上しますので、早期診断し、適切に治療を開始することが人生をより充実したものにするために重要になります。

 PDの診断は、これまでは神経症候を実際に評価し、病歴や薬の反応性などで判断することにより行われてきました。頭部MRIも随分発達してきてはいますが、PDに関しては「特別異常がない」ことがいわゆる特徴であり、鑑別すべき疾患が多く、非典型的な臨床症候を示すことも多いPDでは、実際の現場において専門医でも診断に迷うことが少なくありません。

 そういった中で、ここ数年で診断の大きな助けになりつつあるのが、次に挙げる2つの核医学検査です。

 1つは、[123I]MIBG心筋シンチグラフィ(MIBG心筋シンチ)です。PDは、その変性した神経細胞内にレビー小体と呼ばれる封入体を有するのが特徴ですが、この同じ特徴を有する疾患群を「レビー小体病」 と呼びます。レビー小体病には、PD以外に、レビー小体型認知症や純粋自律神経不全症などがありますが、これらの疾患ではMIBGが心臓に取り込まれにくいという性質があり、これを利用して診断の補助としています。MIBG心筋シンチでは、心臓(H)と上縦隔(M)に関心領域を設定し、そのMIBG集積の比率(H/M比)を計算し、判断します。その診断精度は、進行例では感度特異度ともに80%以上とも言われています。

 もう1つは、123I-イオフルパンSPECTです。123I-イオフルパンはドパミントランスポーター(DAT)に高い親和性を有し、別名DATスキャンとも呼ばれます。DATとは、ドパミン神経細胞が自ら放出したドパミンを再利用するために取り込むための蛋白質です。PDなど黒質線条体ドパミン神経細胞が変性する疾患では、その神経終末のDAT密度が低下しており、これを画像化して診断に利用します。PDでは線条体の背外側から低下する特徴があり、正常のコンマ型分布から円形へ変化しながら低下します。定量評価法としては、線条体領域と後方領域の関心領域の比(SBR: specific binding ratio)で評価する方法があります。ただ、PD以外の進行性核上性麻痺や多系統萎縮症、皮質基底核変性症などでもDAT密度低下を認めるため注意が必要です。血管性及び薬剤性パーキンソニズムや本態性振戦などとの鑑別が有用と考えられます。

MIBG心筋シンチ

DATスキャン