院長からのご挨拶 | 病院について | 国立病院機構 熊本医療センター

院長からのご挨拶

写真:国立病院機構熊本医療センター院長 国立病院機構熊本医療センターのホームページにアクセスして頂きまして有り難うございます。
 当院は前身の鎮西兵団病院が創立された明治4年から数えて今年で創立146年になります。『日本陸軍史』によれば、明治維新に活躍し、日本陸軍の創始者と呼ばれた当時の兵部大輔大村益次郎の軍事組織充実計画の骨子に沿って、明治4年全国4カ所に鎮台が設置されましたが、大村の計画の中には鎮台と併せて軍医病院の設置も挙げられており、病院の設置も鎮台設置に併せて行われました。鎮西兵団病院の設置場所は明かではありませんが、当初鎮台のおかれた花畑旧藩邸内ではないかと考えられています。近代的な熊本鎮台病院は、現在の熊本城二の丸に明治9年2月に竣工しています。熊本鎮台病院の設計は、フランス軍事顧問団が関与し、後に建築された名古屋衛戌病院のものとほぼ同じ設計です。幸い名古屋衛戌病院は、愛知県明治村に移築保存されてあり、これを見ることにより熊本鎮台病院を偲ぶことが可能です。この建設竣工明治9年2月は、病院の周囲で激戦のありました神風連の乱(明治9年10月24日)及び、西南の役の熊本城急襲(明治10年2月22日)より早く、これらの争乱時には熊本鎮台病院はすでに存在しており実際にその時、多数の負傷兵の治療を行っていました。熊本鎮台病院は、その後、熊本陸軍病院、熊本衛戌病院、熊本第一陸軍病院と改称、戦後昭和20年12月1日、厚生省に移管され国立熊本病院となり、平成16年4月1日、独立行政法人国立病院機構熊本医療センターとなり現在に至っています。なお、戦災により熊本大学医学部附属病院の木造病棟が全焼しましたので戦前の熊本第一陸軍病院藤崎台分院が、戦後の一時期熊本大学医学部附属病院病棟として使用されました。
 当院は雄大な熊本城の二の丸の一角に位置し、春には周囲は桜が咲き乱れ、多くの花見客、観光客でにぎわいます。この恵まれた地に平成21年9月に新病院が竣工しました。延床面積41,789m2と旧病院の約1.9倍の広さになり、個室は有料個室108室を含め132室(旧28室)となりました。病床数は550床、33診療科、医療設備もCTはSIEMENS社製128列と64列、放射線治療計画用の3台、MRI装置も昨年3テスラを導入し、1.5テスラとの二台体制となりました。放射線治療装置はリニアック、ラルストロンを有しています。これらの施設と設備を活用して、「最新の知識・医療技術と礼節をもって良質で安全な医療を目指す」ことを基本理念に掲げて、専門性の高い医療を提供しています。
 また救急医療では、救命救急センターを中心に、年間約9,000台の救急車の搬送があり、脳卒中、心・血管疾患、感染性疾患など多くの救急患者を受け入れています。さらに当院の救急は外傷などのほかに、合併症のある精神科救急を受け入れていることが特徴の一つです。緊急に手術を必要とする合併症のほか、自殺未遂や薬物を大量に内服した方などの三次の精神科救急患者は、県下のほとんどの症例を一手に引き受けています。そして1年365日24時間、断らない救急医療をスローガンに病院全体で診療に当たっています。この断らない医療が評価され、平成21年には人事院総裁賞、平成24年には救急医療功労者厚生労働大臣表彰を受けています。また、熊本型ヘリ救急搬送体制で、当院は平成24年1月から防災ヘリ「ひばり」の基幹施設として、ドクターヘリとの連携を行い熊本の航空医療に貢献しています。当院は防災ヘリの基幹施設のため毎日ヘリ機乗の担当医師が待機しています。主に重篤な患者さんの病院間搬送を担当する防災ヘリと、現場に医師を運び救急対応するドクターヘリの連携により救命率は確実に向上しました。
 また、東日本大震災におきましては、震災当日にDMATを派遣し、その後も福島県に放射能測定チームを派遣し、さらに被災地住民の診療のために国立病院機構の一員として診療チームを派遣するなど積極的に被災地の救援活動を行いました。今後も災害拠点病院としての責務を果たす所存です。
 診療面では、救急医療のほか、がんの治療にも力を入れています。白血病、悪性リンパ腫の治療では、多くの 患者さんを治療しています。また、他人から移植する同種骨髄移植は当院が県内唯一の施設で、去年650例を達成しました。自家移植と合わせて、900例を超える移植を行っており、国内でも指折りの骨髄移植センターを有しています。さらに当院の小児科でも同種移植を手がけています。
 また、泌尿器科の膀胱がんの手術、婦人科の子宮がんなどの治療は全国的にも症例数が多く当院のもう一つの特徴です。これらの診療科では化学療法も積極的に行っています。そして、泌尿器科では、昨年3月から前立腺がん密封小線源治療も開始し、増加する前立腺がんの治療法の選択が幅広くなりました。
 外科は、熊本県ではじめて内視鏡視下手術を導入しました。大腸がんや胃がんの症例が多く、手術だけでなく、最近は化学療法、放射線療法などの集学的治療を行っています。消化器内科では、ウイルス性肝炎、肝硬変などの肝疾患が多く、さらに肝がんの症例ではラジオ波などによる当院独自の治療を積極的に行っています。また、内視鏡による粘膜下層剥離術(ESD)で、胃がん、食道がん、大腸がんの治療にも取り組んでいます。さらに、去年より最新の超音波内視鏡を導入し、肝臓、胆嚢、膵臓の診断・治療も格段に進歩しました。
 一方、昨年4月より腫瘍内科は4人体制となり、緩和ケアの専従医も着任しました。これにより懸案でした当院のがん診療体制が確立し、多種多様ながんに対して患者さんのご要望にお応えできるようになりました。
 また当院は、耳鼻科、歯科口腔外科、形成外科、眼科、脳外科、整形外科といった顔面や頭、頸部領域に関する診療科の垣根が低く、常に協力して診療にあたっていますので、この領域の外傷、腫瘍などの治療が容易に受けられるのも特徴の一つです。
 その他、循環器内科、糖尿病・内分泌内科、腎臓内科、神経内科、皮膚科、整形外科、麻酔科、心臓血管外科、病理診断科なども県内トップクラスの業績をあげています。
 教育、研修では、地域医療研修センターを有し、医師会、薬剤師会、看護協会などの協力のもと、医師のみならず多職種の医療従事者を対象とした生涯教育研修を実施し、年間延べ6万人以上に利用されています。
 さらに臨床研修指定病院として毎年20名(大学のたすき掛け2名、歯科医師2名を含む)の研修医を受け入れ、県下では熊本大学病院に次ぐ数の研修医を受け入れています。
 また、附属看護学校では高度・専門医療に対応できる看護師の育成に努めています。付属看護学校は昭和20年開設以来、総計2593人の看護師を養成し、熊本はもとより全国の医療に貢献しています。
 臨床研究部は国際医療協力をメインテーマとしてJICAの委託を受け毎年数十名の途上国医療従事者を受け入れ教育・実習を実施してきました。これまで約120か国、1504名の研修生を受け入れています。海外の姉妹病院(エジプト・スエズ運河大学、エジプト・ファイユーム大学、中国・広西医科大学、タイ・コンケン病院)と密接に交流し、エジプト、タイとは毎年、講師としての出張や研修受入れを行っています。さらに臨床研究部には熊本大学大学院医学教育部 外科再建医学講座 臨床国際協力学分野が設置されています。本分野は、社会人のための連携大学院です。当院に勤務する職員が、働きながら熊本大学大学院に在籍し、博士号を取得することができます。客員教授1名、客員准教授2名のもとに社会人大学院生6名を有し、平成23年3月に初めての医学博士号取得者を出し、昨年度は新たに1名が博士号を取得し、これまでの博士号取得者は3名となりました。
 当院は、これからも地域の急性期中核病院としての責務を果たすとともに、教育、研修、研究にも力を入れていく所存です。
 どうぞよろしくお願い致します。

2016年4月1日

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